素粒子論グループの皆様、

素粒子メダル選考委員会委員長の久野純治氏より、
2026年度第26回素粒子メダルの選考結果が報告されましたので、転送いたします。

授賞式は秋の学会の素粒子論懇談会において行われます。
よろしくお願いいたします。

素粒子論委員会 素粒子メダル係
北原鉄平

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素粒子メダル選考結果

選考委員会

久野純治(委員長)、諸井健夫(副委員長)、青木慎也、北野龍一郎、鈴木久男、橋本幸士

選考経過

本年度は、素粒子メダルに1件の推薦があり、この1件を選考対象としました。

この1件の推薦について、委員全員で推薦業績の主要論文、関連論文などに目を通しました。
その後、5月1日にオンラインで選考委員会を開催しました。全委員での意見交換と受賞者の決定を行いました。

その結果、委員の総意として、推薦のあった業績は、素粒子メダルに相応しいとの結論に至りました。
詳しい受賞理由については、下記をご覧ください。

〈素粒子メダル〉

○ 石橋延幸氏

「共形場理論における石橋状態の導入」

[受賞理由]

Nobuyuki Ishibashi, “The Boundary and Crosscap States in Conformal Field Theories”, Mod. Phys. Lett. A 4 (1989) 251.

石橋延幸氏の論文 “The Boundary and Crosscap States in Conformal Field Theories” (1989年) は、二次元共形場理論における境界状態およびクロスキャップ状態を明示的に構成する方法を初めて体系的に提示し、閉弦背景中の開弦理論を代数的に扱う道を開いた画期的な業績である。
本論文で導入された構成は、今日「石橋状態」として知られ、Cardy条件に基づく境界共形場理論の整合性の議論、オリエンティフォールドの定式化、さらにDブレーンを閉弦チャンネルで表現する理論的枠組みの確立において基礎的役割を果たしてきた。
これにより、境界を持つ共形場理論の体系的な記述が可能となり、弦理論の発展に大きな影響を与えた。さらに、この構成は弦理論にとどまらず、AdS/CFT対応や物性理論における境界現象の解析など、境界を持つ共形場理論を扱う多様な分野において共通の理論的基盤として広く用いられている点においても重要である。
本研究は特定の模型に依存しない普遍的な理論的枠組みを単著論文として提示した点に顕著な独創性があり、境界を持つ世界面を物理的対象として扱う研究の発展を大きく促した。
石橋氏は、石橋状態と IKKT 模型の業績で2000年に西宮湯川記念賞を受賞しているが、本論文は発表から35年以上を経た現在もなお国際的に広く引用され続けており、その学術的価値と持続的な影響力は極めて明確である。
以上の理由により、本業績は素粒子・弦理論および関連分野の発展に顕著な貢献を果たしたものであり、素粒子メダルを授与するに値するものと認められる。

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