基礎物理学研究所・グローバルCOE公開講演会

解き明かされる

一般相対論的宇宙像

2009 43(金曜日) 13:30-16:30
京都大学基礎物理学研究所
湯川記念館パナソニック国際交流ホール
京都市左京区北白川追分町(京都大学北部キャンパス内)

参加申し込み(締め切りました)

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基礎物理学研究所、及び京都大学グローバルCOE普遍性と創発性から紡ぐ次世代物理学」では以下のテーマについて学部学生程度を対象とした講演会を行います。専門的知識を仮定せずに理論物理学の基礎的な話題について解説する予定です。

Gravitational Wave Astronomy after the First Detection(in English)


Albert Einstein
研究所所長 Bernard F. Schutz  

Bernard F. Schutz 教授はドイツ、ポツダムの重力に関するマックス・プランク研究所(アルバート・アインシュタイン研究所)の所長であり、相対論的天体物理学分野の長でもあります。また、近年急速に進展を遂げている重力波観測計画においても中心的存在です。その功績から2009年のHonorary Fellow of the Royal Astronomical Societyにも選ばれました。彼の1985年に出版された一般相対論の教科書は今も学生や研究者に広く愛読されています。

 
Schutz
教授

Gravitational wave detectors listen to "dark radiation", waves of gravity emitted by everything that accelerates. Because gravitational waves penetrate through everything, they will not only give us insight into the hidden regions of known systems, such as supernovae and gamma-ray bursts, but they can also reveal events that we have no other way of observing, such as mergers and recoils of black holes, radiation from cosmic strings, and the Big Bang itself. Once detectors have made the first observations, future upgrades and a widening of the network on the ground, the launching of space-based detectors, and improvements in our theoretical understanding all promise a truly revolutionary view of the universe we live in.

訳)重力波検出器は「見えない放射」(加速運動する万物が放出する重力の波)をキャッチします。重力波はあらゆるものを透過することから、超新星やガンマ線バーストといった既に知られている天体の隠された内部に迫ることができるのみならず、重力波でなければ見つけることができない現象をとらえることも可能にします。例えば、ブラックホールの合体や反跳、宇宙紐やビッグバン起源の重力波などです。ひとたび、検出器が重力波をとらえることに成功した暁には、その感度の向上や世界的な検出器のネットワークの構成、宇宙での観測、理論的研究による理解の深まり、それらの全てが融合し、我々の住む宇宙に関する真に革新的な描像をもたらすことを約束しています。


「インフレーション宇宙と時空のゆらぎ」(日本語)

京都大学基礎物理学研究所教授 佐々木節

佐々木教授は、相対論宇宙論の分野で世界的に活躍する研究者です。特に、インフレーション宇宙モデルにおけるゆらぎの生成と進化の理論の構築における多大な貢献は高く評価されています。その研究範囲は幅広く、ブラックホール摂動論、近年のブレーンワールド模型に関する研究、様々な分野で活躍されています。その功績が認められ、2007年にはフンボルト研究賞を受賞されています。


佐々木教授

私たちの住むこの宇宙は、約137億年前に超高温高密度の熱いスープ状態の中で誕生し、その後膨張をし続けながら次第に冷えて現在に至っていることが知られています。この熱い宇宙の進化の理論をビッグバン理論と言います。

では、熱い宇宙、ビッグバン宇宙が誕生する以前はどのような宇宙だったのでしょうか?この疑問に答える理論をインフレーション宇宙理論と言います。インフレーション理論によると、宇宙は、熱い宇宙の誕生前に急激な加速膨張をする時期があり、その膨張によって卵の宇宙が極めて短時間の間に巨大な宇宙へと変貌しました。

近年の目覚ましい観測技術の進歩は、驚くことにビッグバン以前のこのインフレーション宇宙理論の検証を可能にしつつあります。そのキーワードがインフレーション理論が予言する時空の揺らぎです。講演では、インフレーション宇宙で何が起こったのか、そして現在、それをどのようにして検証するのか、しつつあるのか、についてお話します。


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