基礎物理学研究所 市民講演会

「宇宙を探る」

2013年3月17日(日曜日)13:30〜16:30
京都大学基礎物理学研究所パナソニックホール
京都市左京区北白川追分町(京都大学北部キャンパス内)


申し込みは終了しました。
締切日 3月3日(日)


会場への交通

基礎物理学研究所が主催する市民の方々に向けての講演会です。 理論物理学の最新の話題を、できるだけわかりやすく解説します。 皆さまのご参加をお待ちしております。


「宇宙を創る」

京都大学基礎物理学研究所 教授 田中 貴浩

田中教授の専門分野は「重力理論・宇宙論」で、様々な研究が国内外で高く評価されています。 最近では「ブレーン重力の研究」に対する業績が認められ、2012年には日本学士院学術奨励賞を受賞されています。

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田中 教授

宇宙の進化に関する研究は、理論的予測と観測による実証という 形で見事なまでに着実な進展をみせています。その発展の歴史を 振り返ると、どうしてここまで見事にシナリオが構築されてきた のだろうかと驚かされます。

近年、宇宙の進化に関する研究は観測的に更なる飛躍的進展をみ せています。これまで、理論上の予測でしかなかった宇宙の最初 期の歴史についてさえ、観測的な制限が得られつつあります。

その一方で、我々、理論の研究者は宇宙に関する多様な理論モデ ルを提案し、盛んにその性質に関する研究を進めています。理論 モデルが観測と比較できるところまで理解を成熟させるために、 多くの論戦が交わされています。本講演では、その研究の前線へ の入り口を紹介できればと思っています。


「ブラックホールを創る」

京都大学基礎物理学研究所 教授 柴田 大

柴田教授は「一般相対論的宇宙物理学」の分野を中心に活躍をしておられます。 特に、一般相対論的天体現象に対する数値相対論を用いたシミュレーションにおいて、 柴田教授は世界をリードしておられます。 2010年には「数値的一般相対論の開拓およびその応用」に対して、 日本学術振興会賞を受賞されています。

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柴田 教授

宇宙の中でもっとも重力の強い天体はブラックホールです。 あまりにも重力が強いため、質量を持たない光でさえ、 ブラックホールから逃れることができません。

ブラックホールは、太陽の数十倍の質量を持つ恒星の進化の 最後に誕生したり、あるいは中性子星と呼ばれる超高密度の 天体2つが合体して誕生すると考えられていますが、その 誕生過程を観測したことは人類史上ありません。誕生の瞬間を 直接観測することが、現代宇宙物理学の最重要課題の1つと されています。

一方、ブラックホールがどのように誕生するかについては、 理論的な計算によって推定することができます。 ブラックホールのような強重力天体は、アインシュタインが 導きだした一般相対論の法則にしたがいますが、その基礎方程式を 解くことによって原理的に解明できるからです。もっとも、 この方程式は大変複雑な方程式であるため、大規模コンピュータを 用いた高度な数値計算が不可欠になるのですが、最近そのような 計算が可能になりました。 その結果、ブラックホールがどのように誕生するのかについて、 コンピュータを用いて再現することができるようになったのです。 本講演では、どのようにブラックホールが誕生するのかについて、 最新の成果を紹介したいと思います。


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