素粒子論研究・電子版

ビッグバン宇宙論によれば，宇宙は最初非常に高温だったが，膨張するに従い次第に冷えたとされる．この際，相転移が起きて，対称性が高い状態から自発的に素粒子の標準理論で記述されるような対称性の低い状態に移行したという解説がよくなされる．だが，これは場の量子論的にきちんと定式化された理論に基づく主張なのであろうか．どなたかこの件に関する原理的疑問に答えて頂けないものだろうか．

2 - 超弦理論における時空のコンパクト化木村哲士

総説、講義ノート

2 - 超弦理論における時空のコンパクト化

木村哲士

素粒子論研究・電子版　Vol 19 (2014) No. 2

2014年10月31日受理

これは平成26年(2014年)10月14日から16日にかけて実施した茨城大学大学院での集中講義用のノートである。このノートでは、1985年以来のヘテロティック弦理論におけるCalabi-Yau空間を用いたコンパクト化という、超弦理論ではもはや古典的ともいうべきコンパクト化の議論を行う。超弦理論における時空のコンパクト化では超対称変換と幾何学に深い関係があるため、超対称性とKilling方程式、特殊ホロノミー群多様体なども合わせて紹介する。ここまでは標準的な教科書でも紹介しているテーマだが、さらに最終章では2014年現在の発展を紹介する。

超弦理論、コンパクト化、Calabi-Yau空間、フラックスコンパクト化

キーワード

3 - 湯川秀樹先生の初めての一般講演大久保茂男

3 - 湯川秀樹先生の初めての一般講演

大久保茂男

素粒子論研究・電子版　Vol 19 (2014) No. 3

2020年3月17日受理(2014年11月10日受理版 )

PDF(更新版)

湯川秀樹先生は大阪帝国大学助教授で３１歳の秋、その名と中間子論が一般の世に知られる前に、徳島の中学の深井源治校長に依頼され、はじめての一般向けの講演を中学生に対して行った。その記録を深井源治校長は湯川先生に送付し、湯川先生が大事に保管していたことがこのほどわかった。湯川先生の最初の社会的活動である。講演受諾の経緯、講演の内容、定年退官後の両氏の講演に対する述懐などが紹介される。

湯川秀樹、四国の秋、中間子論、科学の社会還元、はじめての一般講演、渦の音、徳島中学講演、深井源治校長

キーワード

typoの修正

変更点

Volume 20

2015年10月19日発行

1 - 一般相対論と計量符号中西襄

論文

1 - 一般相対論と計量符号

中西襄

素粒子論研究・電子版　Vol 20 (2015) No. 1

2015年2月18日受理

アインシュタイン方程式は計量符号の情報を含まない．にも拘わらず，一般相対論はローレンツ計量を持つとされている．この問題を量子アインシュタイン重力の立場から考察する

一般相対論, 時空計量, 計量符号, ローレンツ計量, 量子アインシュタイン重力, アフィン空間

キーワード

2 - 仙波敬先生を偲ぶ矢野忠

追悼文集

2 - 仙波敬先生を偲ぶ

矢野忠

素粒子論研究・電子版　Vol 20 (2015) No. 2

2015年7月14日受理

昨年の10月に89歳で亡くなられた仙波　敬先生を知人・友人・門下生等が追悼した追悼集であり、さらに仙波先生の業績のあらましと論文リストを編集したものである。

3 - 場の理論の位相的ソリトンとその役割衛藤稔

講義録

3 - 場の理論の位相的ソリトンとその役割

衛藤稔

素粒子論研究・電子版　Vol 20 (2015) No. 3

2015年8月5日受理

この講義録は、2014年度原子核三者若手夏の学校において行われた講義のうち、衛藤稔氏による位相的ソリトンに関する講義（素粒子パート/場の理論）をまとめたものです。この講義では、位相的ソリ>トンに関する基礎的な内容から始めて、古典解やモジュライ空間、量子効果および応用についてキンク（ドメインウォール）とボーテックスを題材に解説されています。