Volume 15-2放談室用エッセイ
50 Years of Y-T Relations
亀淵 迪 (日本大学理工学部)
素粒子論研究・電子版 Vol. 15 (2013) No. 2
2013年4月10日受理
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概要
この度、Ward-高橋の恒等式で知られるカナダ Alberta大学名誉教授高橋康氏が逝去されました。この機会に、高橋氏について更に知りたいと思う人も少なくないのではと思われる。本稿は筆者が以前に書いた(口頭発表のみ)、いうなれば「高橋康論」であり、現在も本質的に意見は変わっていないので、そのまま披露することにした。1950年に名古屋大学の‘E研’(素粒子論研究室)に入って以降今日に至る氏の経歴を辿り、その学風がどのように変わっていったかを中心に考察を進める。とくに11年間を過ごしたアイルランドのDublin Institute for Advanced Studiesでは、ヨーロッパ物理学の伝統とその真髄を体感する機会に恵まれたが、この経験が氏の学風の基礎となったと思われる。要するに氏は大器晩成型の理論家であった。
キーワード
Y. Takahashi、Ward-Takahashi identity、generalized Ward relations、Dublin Institute for Advanced Studies