Volume 27-3論文
光合成系の励起エネルギー移動と「時間とエネルギーの不確定性関係」
前田 展希 (北海道大学総合IR室)、矢吹 哲夫 (北星学園大学)、飛田 豊 (北海道科学大学)、石川 健三 (北海道大学理学部物理学科&慶應義塾大学自然科学研究教育センター)
素粒子論研究・電子版 Vol. 27 (2018) No. 3
2018年8月14日受理
[PDF]
概要
光合成系の励起エネルギー移動は、「時間とエネルギーの不確定性関係」に絡む量子過程であり、未だに完全な理解が得られていない。また、近距離にある二つの分子間の遷移が、フェルミの黄金律で表せるのかも、明確ではない。本著者たちは別論文(22)で、量子力学の基本原理に遡ってこの遷移を解析し、遷移確率にフェルミの黄金律の大きな補正項が、導かれることを示した。本稿は、「時間とエネルギーの不確定性関係」の観点から、短い時間スケールと広いエネルギー分布の現象が、自然に理解できることを示す。同時に、アインシュタインとボーアの「光子箱論争」や[EPR長距離相関]の問題との関連を説明する。
キーワード
量子力学の原理、光合成、励起エネルギー移動、高い量子効率、フェルミの黄金律の有限サイズ補正、時間とエネルギーの不確定性関係、EPR 長距離相関