Volume 4-4レビュー論文
中国の核実験と周辺住民の被曝 --カザフスタンから垣間見られた放射能汚染--
羽倉 洋行一瀬 昌嗣
素粒子論研究・電子版 Vol. 4 (2010) No. 4
2010年8月31日受理
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概要
中国は新疆ウイグル自治区内シルクロード沿いの複数の場所 (いわゆるロプノール核実験場) において、1964年から1996年まで32年間にわたって核実験を行った。そこで継続的に行われた46回の核実験を通じて大量の核の灰が広範囲に降り注ぎ、とりわけ大規模な3回の地表核爆発の影響による犠牲者の数は、広島や長崎を上回ると推計されている。現在入手可能な資料から、推計の根拠となった隣国カザフスタンでの被害を紹介し、今もなお犠牲者を出し続けていると考えられる中国の核実験の実態を考察する。そして、放射線防護学の知見と人道的な見地から今後なされるべき方策を検討する。
コメント
第1版2010年6月23日受理
キーワード
中国の核実験、地表核爆発、放射性降下物、核の砂、カザフスタン、ロプノール核実験場、被曝線量、放射線障害、固形癌、湯川・朝永宣言