\documentstyle[psfig]{article} \begin{document} \title{微分方程式の解き方} \author{数野一平 \\ 北海道大学} \date{\today} \maketitle \section{変数分離型} 次のような形をもつ微分方程式を解いてみよう。 \[ {dy \over dx} = f(x) g(y) \] この微分方程式の特徴は、右辺が $x$ の関数と $y$ の関数の積で 表されていることであり、「変数分離型」と呼ばれます。 変数分離型の微分方程式は、左辺と右辺に $y$ と $x$ の関数を 「分離」することによって解くことが出来ます。 \[ {1\over g(y)} {dy \over dx} = f(x) \] これではまだ分離されているように見えませんが、 左辺は $x$ で積分すると $y$ の積分に置き直せることがわかりますね。 \[ \int {1\over g(y)} {dy \over dx} dx = \int f(x) dx \to \int {1\over g(y)} dy = \int f(x) dx \] この両辺の不定積分が実行でき、 かつこれを $y$ について解くことができれば、 微分方程式が解けたことになります。 \subsection{具体的な例} さて、例として次の微分方程式を解いてみましょう。 \[ {dy \over dx} = {y \over 2x} \] 説明にある通り、変数分離を行います。 \[ \int {dy \over y} = \int {dx \over 2x} \to \log |y| = {1\over 2} \log |x| + C \] ここで $C$ は不定積分に伴う積分定数です。 これを $y$ について解くと、解が得られます。 \[ y = \pm \exp C \sqrt{x} = A \sqrt{x} \] $\pm \exp C$ を改めて $A$ とおき直しています。 微分方程式の解に現われる積分定数は、 通常、初期条件によって決まります。 例えば $y(1) = 1$ の場合には、両辺に $x = 1, y = 1$ を代入して $A=1$ と決まります。 下の図に、この微分方程式の解のグラフを示します。 点が数値的に解いた答え、実線が $y = \sqrt{x}$ です。 \psfig{figure=prog04.ps,width=5cm} \end{document}