長さ の質量が無視できるたるまない糸の先につけた
質量 m の質点の運動を考えます。
垂線からの振り子の角度を x (rad.) とすると、
運動方程式は
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上のことは歴史的にも重要な「発見」だったのですが、 振幅が大きくなったときにはどの程度ずれるのでしょうか ?
この問題を考えるため、 初期条件が t=0 において x=x0 (>0), v=dx/dt=0 である場合を考えましょう。 運動方程式 (1)、 (2) より、この系のエネルギーは、近似しない場合、した場合にそれぞれ
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運動エネルギーは全エネルギーと位置エネルギーの差 (下図の曲線と実線の差) となるので、同じ x = x0 から出発すると 運動エネルギーは実際の場合、近似した場合よりも常に小さくなります。 このことは、エネルギーの原点をずらして x = x0 でエネルギーが 等しくなるようにすれば分かりやすいですね。 下図の点曲線と破直線の差は、破線の場合と比べて小さくなっています。
周期は 1/v の一周積分で評価出来ます。
この積分を求めるのは難しいので数値的に求めた結果を示しましょう。 ただし、被積分関数が x=x0 で発散しているので 高い精度で数値的に求めるには工夫が必要です。 一つの方法は、既に分かっている関数を差し引いて有限の関数の 積分に持ち込むことです。 ここでは近似した場合の周期を求める際に出てくる積分を利用しましょう。
f(x) の積分を数値的に評価して、求めた周期を下図に示します。
最初の角度が 90 程度 (
) でも 2 割程度の
ずれですから、それほど大きくはないといえますね。