\documentstyle[11pt,a4,psfig]{article} \begin{document} \section*{空気抵抗がある場合の物体の落下 (説明例)} 物体の重力自由落下の運動方程式は 鉛直下向き方向を速度の正の方向として \[ m {dv \over dt} = mg \] となり、これを積分して \[ v(t) = gt + v_i \] となることは勉強しましたね。 (質量を $m$、重力加速度を $g$、初速度を $v_i$ としています。) この自由落下では「物体の質量や大きさに関係なく」運動が決まります。 しかし、実際の落下においては空気抵抗があるため、 質量や大きさに依存して落ちる速さは変化します。 ここでは速さの2乗に比例する空気抵抗がある場合を考えましょう。 物体の形として球を考えると、空気抵抗は半径の2乗にも比例するので、 運動方程式は \[ m\frac{dv}{dt} = - \gamma a^2 v^2 + mg \] となります。 この運動方程式に従う物体の速度はどのように変化するのでしょうか? 初速が 0 の場合を考えると、 短い時間では速さが大きくないので空気抵抗は無視できるはずであり、 自由落下と同様に変化します。 \[ v(t) \simeq gt \quad (t \ll \sqrt{m/\gamma a^2 g}) \] 一方、速度が大きくなってくると重力と空気抵抗がつりあって 速度は一定の値に近付きます。 釣合の条件からこの値を求めることができて、 $t$ が大きいときには \[ v(t) \simeq v_0 ,\ \quad v_0 = \sqrt{{mg \over \gamma a^2}} \quad (t \gg \sqrt{m/\gamma a^2 g} = v_0/g) \] となります。 実際にこの運動方程式を解いてみると、 \[ v(t) = v_0 \tanh{gt \over v_0} \] となり、上の定性的な理解が正しいことが分かります。 \psfig{figure=teach071.eps,width=10cm} \end{document}