原子核基礎論A,B (2019 年度, 大西・板垣(前期) / 板垣・大西(後期))
原子核基礎論B (2019 年度後期, 板垣・大西)
2020年1月14日(火)は
月曜講義振替日(かつ博士論文公聴会期間)のため
原子核基礎論Bの講義はありません。
1/21(火)が最後の講義となります。
- 授業の概要・目的
原子核に対し、核子多体からなる量子多体系としてとらえるアプローチと、クォーク・グルーオンから出発したよりQCDに近いアプローチの両方に触れることにより、より幅広い観点から知見を得ることを目的とする。原子核基礎論Aでの復習など基本的な事柄を多く含みつつも、より今日的な問題を非専門家向けに平易に解説する。
後半では核子・ハドロン・クォークからなる物質 ( 核物質 ) の物性、および現象との関連について講義する。高温・高密度核物質研究について概観し、これを調べるための理論の枠組みとして入門的な有限温度・密度場の理論、QCD有効模型における相転移と相図、高エネルギー重イオン衝突における輸送理論について解説する。また最近の話題として、有限温度・密度格子 QCD と符号問題について議論する。
- 到達目標
核力、特に原子核系の特徴である非中心力や3体力の役割について学び、それが実際の核構造や中性子星の物理にどう関連しているか、理解を含める。また、シェル模型やクラスター模型など、核構造を記述するための基本的な模型の特徴やそれぞれの違いを把握し、さらに原子核のおける異なった描像の量子力学的な混合や競合について理解する。最近の中性子過剰核の物理の進展や、宇宙における元素合成を含む多様な核現象を基礎理論に関連付けて理解する。また、有限温度・密度におけるQCD相図研究の現状と、これを調べる上で必要となる理論の枠組みを把握する。
- 授業計画と内容
核力と量子色力学、核物質の性質、原子核構造に関して理論模型のいくつかをとりあげながら最近の発展を紹介する。
担当:板垣(Sec.1-Sec.4)
- 核力・特に非中心力や3体力(1回)
- 原子核構造を記述するための種々の模型の最近の進展(2回)
- 最近の中性子過剰核の物理の最近の進展(2回)
- 原子核構造における異なる状態の混合や競合(2回)
担当:大西(Sec.5-Sec.9)
- 高温・高密度核物質概観(1回-->0.5回)
(11/18, お話部分なのでスライドのみで軽くやります。)
- 有限温度・密度における場の理論入門 (2回) (11/18, 12/3)
- QCD有効模型における相転移と相図 (2回)(12/10, 12/17)
- 有限温度・密度格子QCDと符号問題 (1回, 1/21)
- Slide:Lec2019b-4
Report(4回目, Rep:10-11)が最後のページにあります。
〆切は1/28。
- 高エネルギー重イオン衝突における輸送理論 (2回, 12/24, 1/7)
- Slide:Lec2019b-5
Report(3回目, Rep:6-9)はSlideの最後のページにあります。
〆切は1/28。
(1月末〆切と伝えていましたが、単位報告〆切が1/31なので、レポート〆切を早めます。)
- 履修要件
特になし
- 成績評価の方法・観点及び達成度
出席状況により評価するが、積極的な姿勢も考慮に入れる。
小レポート試験の成績(80%) 平常点評価(20%)
【評価基準】到達目標について、
A+:すべての観点においてきわめて高い水準で目標を達成している。
A :すべての観点において高い水準で目標を達成している。
B :すべての観点において目標を達成している。
C :大半の観点において学修の効果が認められ、目標をある程度達成している。
D :目標をある程度達成しているが、更なる努力が求められる。
F :学修の効果が認められず、目標を達成したとは言い難い。
- 教科書
使用しない。
分野外の方にも理解しやすいように、基本的な事柄に多く触れます。
- 参考書等
授業中に紹介する。
- 授業外学習(予習・復習)等
講義のpptは公開するので、見直しておく。
- その他(オフィスアワー等)
※オフィスアワーの詳細については、KULASISで確認してください。
原子核基礎論A (2019 年度前期, 大西・板垣)
7/16は出張のため休講ですので、7/9が前期最後となります。
- 授業の概要・目的
まず原子核の基本的性質、およびスピン・アイソスピン依存性や斥力芯の存在などの核力の基本的性質について概観し、中間子交換や強い相互作用の基礎理論である量子色力学(QCD)に基いてそれらの起源について議論する。また、密度や温度を変化させたときの核物質の性質・状態方程式について概観する。
次に、原子核の性質を理解することを目的に、核子の多体として見た場合に核構造を記述するためにどのような描像があり得るのか、基本的な模型から現代的なアプローチまでを概観し、多様な現象のいくつかを解説する。
- 到達目標
半径や質量、殻効果などの原子核の基本的性質、スピン・アイソスピン依存性や内部斥力芯の存在など核力の現象論的特徴を把握し、これらがどのような観測データから導かれるかを理解する。また核子・中間子自由度、およびQCDに基づく核力の起源、核力から原子核を記述する理論的枠組み、核物質の相図と状態方程式について、その概要を把握する。
核力の理解を基礎に、核構造を記述する基本的な模型から平均場理論やクラスター理論など現代的なアプローチの基本概念とその手法について理解する。宇宙での元素合成を含む多様な核現象を基礎理論に関連付けて理解する。
- 授業計画と内容
核力と量子色力学、核物質の性質、原子核構造に関して理論模型のいくつかをとりあげながら最近の発展を紹介する。
担当:大西(Sec.1-Sec.3)
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はじめに(原子核の基本的性質)
(3コマ, 4/9, 4/16, 4/23)
- レポート1回目:スライド33ページ目、〆切:4/23(火)講義終了時
- レポート2回目:スライド64ページ目、〆切:5/14(火)講義終了時
(4/23に資料のレポート部分(Sec.1(b))を更新しました。)
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核力とその起源(2-3コマ)
(2コマ, 4/30, 5/14)
- レポート3回目:スライド27ページ目(最後のページ)、〆切:7/2(火)講義終了時
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核物質の相図と状態方程式
(2コマ, 7/2, 7/9予定)
- レポート4回目:スライド40,41ページ目(最後の2ページ)、〆切:7/23(火)。
大西居室(基研 K407)レポート提出袋、あるいはpdfにしてE-mail:ohnishi_at_yukawa.kyoto-u.ac.jp (_at_ -> @) に
提出のこと。
- 参考資料
中性子星の物理の物理基本的性質
担当:板垣(Sec.4-Sec.8)
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核力再説(1コマ)
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液滴模型と核物質(1コマ)
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シェル模型と平均場模型(2コマ)
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クラスター模型と第一原理計算(1コマ)
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最近の話題(講義の途中でもとりあげる)(1コマ)
不安定核の構造、宇宙の元素合成
- 成績評価の方法・観点及び達成度
レポート試験の成績(80%) 平常点評価(20%)
平常点評価には、出席状況および討論への積極的な参加の有無を参考にする。
Akira Ohnishi