Volume 47-2
修士論文
一般化対称性の破れた相における分配関数のふるまいについて
前田 潤 (京都大学 素粒子論研究室)
素粒子論研究・電子版 Vol. 47 (2026) No. 2
2026年11月2日受理
[PDF]
概要
理論の相構造を解析する際に重要となる概念として対称性がある.例えば,対称性の自発的破れ (SSB)のパターンを調べることで多くの相を分類することができることが知られている.しかし,SSB パターンだけでは相が区別できない例として,対称性に保護されたトポロジカル相 (SPT 相) と呼ばれる相が発見された.SPT 相は対称性を壊すような摂動を加えると自明な相に連続的に移ることができるが,対称性を保つような摂動では自明な相に連続的に移れないような相である.SSB パターンと SPT 相を調べることで,与えられた対称性を持つ理論のギャップを持つ相の分類が可能となった.
通常,SSB は秩序変数の期待値によって調べられ,SPT は境界付きの多様体上で理論を考えた時の対称性演算子の境界への作用の仕方によって調べられる.このような SSB と SPT を同時に調べることのできる量として背景ゲージ場付きの分配関数がある.背景ゲージ場付きの分配関数は,離散対称性の SSB 相ではデルタ関数のように振る舞い,SPT 相では可逆な場の理論の分配関数によって表されることが知られている.一般のギャップを持つ相は部分群への SSB と SPT 相が混じった相になるが,その場合の背景ゲージ場付きの分配関数はこれらの積によって表される.
また,近年対称性の概念が大幅に拡張され,従来では対称性として捉えられなかったものに対しても対称性として考えることができるようになった.このような拡張された対称性を一般化対称性という.一般化対称性に対しても SSB や SPT などを考えることで,従来の対称性では調べられなかったさまざまな理論の相構造が調べられるようになった.
本修士論文の大部分はこの一般化対称性に関するレビューである.一般化対称性は主に高次形式対称性と非可逆対称性と呼ばれるものに分けられる.本論文ではこれらを理解する上で重要となるゲージ場やアノマリーなどの概念を説明し,これらの対称性を具体例を多く示しながら説明している.また近年発展してきている SymTFT と呼ばれる概念についてもレビューを行った.一般化対称性は物理では馴染みの薄い様々な数学の概念を用いるが,それらについても付録などで説明を行っている.
本修士論文の研究パートである 8 章では,一般化対称性のうち特に可逆な離散対称性の場合において,背景ゲージ場付きの分配関数が従来の対称性の場合と同様に振る舞うことを様々な観点から示した.また,連続対称性の SSB の場合は南部-Goldstone 粒子が生じギャップが閉じるため,離散対称性の場合とは異なるふるまいを示すと考えられるが,我々は U(1) 対称性の SSB 相の低エネルギー有効理論において背景ゲージ場付きの分配関数を具体的に計算し,離散対称性の場合とどのような違いが現れるかについて調べた.その結果,SSB 相で創発するソリトン的対称性と元の対称性の間の混合アノマリーに着目することで,離散対称性の場合と連続対称性の場合の分配関数のふるまいが説明できることが判明した.
通常,SSB は秩序変数の期待値によって調べられ,SPT は境界付きの多様体上で理論を考えた時の対称性演算子の境界への作用の仕方によって調べられる.このような SSB と SPT を同時に調べることのできる量として背景ゲージ場付きの分配関数がある.背景ゲージ場付きの分配関数は,離散対称性の SSB 相ではデルタ関数のように振る舞い,SPT 相では可逆な場の理論の分配関数によって表されることが知られている.一般のギャップを持つ相は部分群への SSB と SPT 相が混じった相になるが,その場合の背景ゲージ場付きの分配関数はこれらの積によって表される.
また,近年対称性の概念が大幅に拡張され,従来では対称性として捉えられなかったものに対しても対称性として考えることができるようになった.このような拡張された対称性を一般化対称性という.一般化対称性に対しても SSB や SPT などを考えることで,従来の対称性では調べられなかったさまざまな理論の相構造が調べられるようになった.
本修士論文の大部分はこの一般化対称性に関するレビューである.一般化対称性は主に高次形式対称性と非可逆対称性と呼ばれるものに分けられる.本論文ではこれらを理解する上で重要となるゲージ場やアノマリーなどの概念を説明し,これらの対称性を具体例を多く示しながら説明している.また近年発展してきている SymTFT と呼ばれる概念についてもレビューを行った.一般化対称性は物理では馴染みの薄い様々な数学の概念を用いるが,それらについても付録などで説明を行っている.
本修士論文の研究パートである 8 章では,一般化対称性のうち特に可逆な離散対称性の場合において,背景ゲージ場付きの分配関数が従来の対称性の場合と同様に振る舞うことを様々な観点から示した.また,連続対称性の SSB の場合は南部-Goldstone 粒子が生じギャップが閉じるため,離散対称性の場合とは異なるふるまいを示すと考えられるが,我々は U(1) 対称性の SSB 相の低エネルギー有効理論において背景ゲージ場付きの分配関数を具体的に計算し,離散対称性の場合とどのような違いが現れるかについて調べた.その結果,SSB 相で創発するソリトン的対称性と元の対称性の間の混合アノマリーに着目することで,離散対称性の場合と連続対称性の場合の分配関数のふるまいが説明できることが判明した.
キーワード
一般化対称性、高次形式対称性、非可逆対称性、アノマリー