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電子版 Volume 35
2021年10月3日完結
Volume 35-1
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修士論文
2021年4月19日受理
超弦理論のトーラスコンパクト化モデルによる素粒子標準模型のフレーバー構造の再現
菊地 渉太
(北海道大学 理学院宇宙理学専攻)
概要
近年、Higgs粒子の発見によって素粒子の標準模型が確立された。 しかしながら、標準模型は重力の記述ができないことや、フレーバー構造の起源を説明できないことなどの問題を抱えている。 そのため、標準模型を超える物理が必要とされている。超弦理論はそのような標準模型を超える物理の候補の1つである。それは10次元の理論であり、余剰な6次元は現在の技術では観測できないほど小さなコンパクト空間になっていると考えられる。本研究では特にトーラスコンパクト化に焦点を当てた。我々はトーラスの持つモジュラー対称性がフレーバー構造の起源になっていると考え、超弦理論のトーラスコンパクト化に基づくフレーバー構造の再現を研究した。特に、$T^2/\mathbb{Z}_2^{\rm (t)}$ twisted orbifold、$(T^2\times T^2)/\mathbb{Z}_2^{\rm (per)}$ permutation orbifold、$(T^2\times T^2)/(\mathbb{Z}_2^{\rm (t)}\times \mathbb{Z}_2^{\rm (per)})$ permutation orbifoldに注目し、その上の波動関数の持つ世代とモジュラー対称性を調べた。また、そのような波動関数を用いて可能な3世代フレーバーモデルを分類した。さらに、1つのモデルに基づいてquarksの質量と混合角の再現を試みた。
キーワード
flux compactification、torus compactification、flavor structure、modular symmetry
Volume 35-2
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2021年7月5日受理
数学科の M1 向けに学部の古典物理を書き直し特殊相対論を導入する
尾田 欣也
(東京女子大学)
概要
数学科のM1むけに3コマなんか物理の話をせよ、という講義のノート。数学科の学生が学部1、2年生で習う初歩的な力学と電磁気学の知識を前提とし、数学科の学生に馴染みのあるLie群の言葉を用いて、ガリレイ対称性からローレンツ対称性、ポワンカレ対称性を議論し、特殊相対論の導入まで行きます。付録に電磁気を微分形式の言葉で書く、というのも載せました。
Volume 35-3
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2021年10月3日受理
熱場ダイナミックスにおける拡張された量子距離について
中川 弘一
(星薬科大学)
概要
熱場ダイナミックス(TFD)を用いて,任意の2つの熱力学的量子状態間の差分が如何にして記述可能であるかということについての研究がおこなわれた[1].TFDは,熱力学的量子状態自体に焦点を合わせることにより,統計系を議論するための定式化をおこなう役割をする.この体系において,熱力学的量子状態は熱力学的量子状態ベクトルによって表される.したがって,2つの熱力学的量子状態の差分は,関連する熱力学的量子状態ベクトルの内積を用いて明確に定義される.文献[1]では,関連する2つの熱力学的量子状態の差を定量的に測定するための熱力学的量子距離が導入され,典型的な応用例が示された.その結果,熱力学的量子距離の概念には統計システムに関する多くの情報が含まれていることを明らかされ,臨界指数や量子-古典クロスオーバーポイントなどのいくつかの特性パラメーターを取得することに役立つことが知られている.本稿では,熱力学的量子距離の性質を再考し,文献熱力学的量子距離における量子-古典クロスオーバーに関する結果を再検討する.
キーワード
熱場ダイナミックス、量子距離、量子―古典クロスオーバーポイント、量子情報幾何、非平衡熱力学
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