計画班: A1

行列模型を用いた超弦理論の非摂動的効果の研究

研究代表者北澤 良久高エネルギー加速器研究機構・教授
石橋 延幸筑波大学・教授
磯 暁高エネルギー加速器研究機構・助教授
西村 淳高エネルギー加速器研究機構・助教授
湯川 哲之総合研究大学院大学・教授
菅原 寛孝総合研究大学院大学・理事
青木 一佐賀大学・助教授
夏梅 誠高エネルギー加速器研究機構・助手
浜田 賢二高エネルギー加速器研究機構・助手

重要な成果

現実的な4次元ドジッター時空は等質空間の一例であるが、非可換等質空間を超弦理論の非摂動論的定式化をめざすIIB行列模型において研究した。 有効作用のラージN極限における振る舞いを、超対称性とパワーカウンティングにより決定し、4次元において最小化されることを示した。 この結果は、超弦理論の非摂動論的真空が4次元ドジッター時空である可能性を示唆する。

年度毎の進展と成果

平成13年度

北澤は非可換空間上のゲージ理論で ゲージ不変な演算子(ウイルソンライン)の相関関数の研究を行い、対応する超重力多重項に対応する演算子の具体的な構成を行った。 磯は非可換球面上の行列模型を構成してその上のゲージ理論の量子効果を計算した。 石橋は膜の理論の量子化を試み量子異常の出現を議論した。浜田は背景場時空独立性をもつ新しい4次元量子重力のモデルを提唱した。 湯川は4次元重力の数値計算を行い浜田の計算との整合性を示した。

平成14年度

北澤は磯らが構成した非可換球面上のゲージ理論をより一般的な等質空間へ拡張した。 磯は非可換球面の上でGW関係式を満たすディラック演算子とカイラル演算子を構成し、コンパクトな非可換空間でのカイラリティの実現を明らかにした。 浜田は新しい4次元量子重力模型をインフレーション宇宙論へ適用した。

平成15年度

北澤は非可換等質空間上でのゲージ理論の量子効果を計算し、4次元非可換等質空間が有効作用を極小化する安定点であることを2ループまでの計算で見いだした。 石橋は非臨界弦での非摂動効果を行列模型、ループ方程式などの立場から議論し、Dインスタントンの化学ポテンシャルの普遍性を示した。 磯は非可換超空間の上の行列模型を構成し古典解としてその上のゲージ理論が出てくる事を示した。

平成16年度

北澤はウイルソンラインの相関関数をより詳細に計算し様々な非可換空間の安定性を議論した。 磯は北澤が求めた超重力多重項の演算子をより詳細に求め、それが凝縮したときの有効理論について議論した。 浜田と湯川は、浜田が提唱した4次元量子重力模型から宇宙背景輻射の原始スペクトルを導出し、WMAPで観測された大角度でのスペクトルの鋭い落ち込みを量子重力効果として説明した。

平成17年度

北澤は球面より高い対称性をもつ非可換空間の量子効果を計算し、有効作用が次元のみに依存するユニバーサルなスケール則を示すことを支持する結果を得た。 またグラビトン演算子の二点関数を計算して4次元的な振る舞いを示す事ができた。 石橋は化学ポテンシャルの計算を2行列模型まで拡張した。 磯はブラックホールからのホーキング輻射を量子異常という現象から説明した。 西村はローレンツ対称性の自発的破れの可能性を行列模型で調べた。

平成18年度

浜田と湯川は、新しい量子重力模型での相転移を解析しインフレーション時期の重力ゆらぎの発展方程式を計算している。 西村は有限温度での行列模型の振る舞いを調べている。

平成19年度

石橋はOsp不変な弦の場の理論においてDブレーンに対応すると考えられる BRS不変な演算子を構築しその性質を議論した。

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