計画班: A2

超弦理論の時空構造と対称性

研究代表者米谷 民明東京大学大学院・教授
風間 洋一東京大学大学院・教授 (H17--18年度)
加藤 光裕東京大学大学院・助教授
橋本 幸士東京大学大学院・助手 (H14--16,18年度)
小竹 悟信州大学・教授 (H15--18年度)
糸山 浩司大阪市立大学大学院・教授 (H15--16年度)

重要な成果

有意義な重要成果は多々あるが、最も独創的な成果は、米谷によるD粒子の量子場理論の構築へ向けた着想である。 本テーマについては18年度のいくつかの国際会議で準備的な内容について発表し、現在第1論文を執筆中である。 この着想により、弦理論の最大特徴である、開弦と閉弦の双対性や、時空不確定性に現れている短距離時空構造などを量子論における最も根源的な双対性である粒子と場の双対性と関連させた新たな定式化の可能性が開けた。 また、D粒子の力学の非摂動的な定式化へ向けた新たな可能性を示唆している。

年度毎の進展と成果

平成13年度

米谷は、supermembrane 理論と 行列模型の関係について,S双対性に基づかずに matrix string 理論の導出を行った. 加藤は,超対称性を非摂動的に定義されたゲージ理論で実現させるための研究に着手し,市松構造の着想を得た.

平成14年度

米谷は,holographic principle の立場からPP-波極限を用いてAdS/CFT関係を調べるときに存在する困難を,トンネリング描像により解決した. 加藤は,市松格子の導入により、ゲージ場とstaggered fermion の格子場理論の厳密なフェルミ的対称性を構成した. 橋本は,D−ブレーンの力学,特にタキオンの凝縮を研究しゲージ場の振る舞いを明らかにした.

平成15年度

米谷は,PP-wave 極限の研究を発展させ,共形不変性がない一般のD-ブレーン背景で同様な極限を定式化し,ゲージ理論の2点関数を求めた. 加藤は,市松格子構造を持つゲージのみの系で相構造を解析的および数値的方法の両面から分析した. 橋本は,不安定なD-ブレーンの記述に現れるタキオンの分析を進めた. 糸山はDijkgraaf-Vafaの提案に関して超固有値模型を提示し,行列模型曲線を導いた. 小竹は,可解模型の研究を行い,そこに現れる様々な多項式の性質を明らかにした.

平成16年度

米谷は,PP-波極限のholographic principle の定式化を精密化し,3点相関関数を正しく与える弦場理論およびboundary-bulk 関係式を導いた. 加藤は,格子超対称性の連続極限を議論するための考察を進めた. 橋本は,不安定Dブレーンの研究を進め,弦場理論を用いた解析法を開発した. 糸山は,N=2超対称性の部分的自発的破れの現象の研究を進めた. 小竹は,可解模型の構造を支配する多項式の具体的構成を行った.

平成17年度

米谷は,Dブレーンの量子場理論への出発点として,1/2BPS状態に限ったDブレーンのFock空間とそこに作用するDブレーン場を構成することに成功した. 風間は,超弦理論の共変的量子化に関する pure spinor 形式における作用原理の定式化を行った.加藤は,格子超対称性の連続極限を調べた. 小竹は可解模型と共形場理論の関係を調べ,様々な多項式を固有状態とする量子力学系の対称性を調べた.

平成18年度

米谷は,D粒子の場の理論の構築へ向けた端緒を開き、さらにウィルソンループのホログフィー、1/2BPS相関関数と行列模型のS行列との関係を明らかにした. 風間は、double spinor formalism を membrane の作用原理に応用した.加藤は共変的弦場の理論の新しいゲージ条件を提唱した. 橋本は、Dブレーンの組み替え機構および量子色力学との対応を論じた.小竹は、厳密に解ける量子力学系でのsinusoidal coordinate におけるHeisenberg表示を調べ、その数理を明らかにした.

国際会議招待講演

国内会議招待講演

授賞

報道リスト

シンポジウムの開催

査読付国際誌

プレプリント

学会発表リスト

解説書

ホームページ

その他