計画班: A4

超弦理論の代数的及び幾何的構造の解析

研究代表者上原 正三宇都宮大学・教授
青山 昭五静岡大学・教授
河合 俊哉京都大学数理解析研究所・助教授
粟田 英資名古屋大学大学院・助教授

重要な成果

5次元超対称ヤンミルズ理論の解析をおこない、自己双対とは限らない一般の定重力場と結合した場合の分配関数、いわゆるネクラソフの公式が、一般の ゴパクマ--ヴァファ不変量の母関数でもあることを見いだした。更に、この一般のネクラソフの公式の位相的頂点作用素による構成を、三角型ライセナース模型の励起状態であるマクドナルド関数を用いて与えた。

年度毎の進展と成果

平成13年度

Fedosov の方法を用いて Kahler 商空間の量子変形を行い,Kahler商空間のファジイ構造を示すことに成功した。また、楕円的に拡張した E_8 ワイル群(楕円アルチン群)の q-変形(楕円ヘッケ環)を解析し、表現の既約性の q 依存性を見いだした。

平成14年度

超面が一次元コンパクト化した空間へ巻き付いたモードが量子論的にも超弦と見做せるかを調べ摂動1次まではよいが2次では発散項がキャンセルしないことを具体的に示した。切断を有し Hirzebruch 曲面を底空間とする 3次元楕円 Calabi-Yau 多様体にコンパクト化した F 理論と、E_8×E_8 混成弦を K3 曲面にコンパクト化した理論との双対予想に対して、不変式論の立場から新たな知見を得た。

平成15年度

不安定 D-brane が、1次元低い安定な D-brane とともに tachyonmatter に崩壊していくという、空間的に一様ではない漸近的解を見つけた。QCD の Dijkgraaf-Vafa 理論の Whitham 変形の研究において、Whitham 変形された場合における QCD の自由エネルギーの計算方法を定式化した。

平成16年度

M理論の S^1 コンパクト化であらわれるaffine Lie 代数の行列表現を与えることに成功し、さらに、T^2 へのコンパクト化でも、連続パラメーターを2種類導入することで行列表現を与えることに成功した。超楕円曲線の量子変形を記述する Whitham 方程式の導出し、2次元の位相場理論と同じ可積分構造があることを発見した。 また、この理論にフェルミオンが結合した場合を研究し、その有効スーパーポテンシャルをグルイーノ凝縮の秩序パラメーター展開の3次の冪まで計算した。

平成17年度

Ω背景上でのネクラソフの分配関数とDブレインのモジュライ空間の関係を、幾何的手法およびゴパクマ--ヴァファ不変量のアイデアを用いて考察し、N=2 超対称ヤンミルズ理論に対するネクラソフの公式は SU(2)_L × SU(2)_R のスピン表現のキャラクターに分解できることを示した。

平成18年度

超膜理論を2次元トーラスへコンパクト化することによって、その作用から具体的に(p, q)-string の作用を導くことに成功した。K\"ahler多様体 G/H 上の非線形シグマ模型を線形化して、共変不変な形式に定式化した。ゴーストを導入することによって G 対称な Kac-Moody 代数のカレントとプライマリーを構築する方法を確立した。これは、K\"ahler多様体G/Hの幾何構造を利用した Kac-Moody代数の自由場表現の新しい方法である。

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