計画班: A6

超弦理論に現れる様々なブレーン及び真空の行列を用いた記述とその有効性の研究

研究代表者郷六 一生福岡工業大学・教授
多田 司独立行政法人理化学研究所・副主任研究員
早川 雅司名古屋大学・理学研究科・准教授
菅本 晶夫お茶の水女子大学・教授
瀬尾 幸市岐阜市立女子短期大学・教授

重要な成果

超弦理論の構成的定式化の模型であるIIB行列模型から、その時空を定めるメカニズムを解明する際にはHeisenberg代数で表現される非可換幾何学からのアプローチが非常に有用になること、また行列による表現は非可換幾何学と密接な関係にあることを示した。そして、非可換幾何学と行列の対応を用いて、高次元空間に埋め込まれた空間の曲がりを表現する方法について調べるとともに、その際に現れるゲージ/弦理論対応の有用性に基づき量子色力学の非摂動的な側面、及び曲がった時空間における量子論を格子正則化等も用いて追求した。

年度毎の進展と成果

平成13年度

超弦理論の構成的定式化の模型であるIIB行列模型について、その時空をあらわすメカニズムを解明するべく、モデルを平均場近似およびそれを発展させた近似手法を用いての解析を試みた。また様々なブレイン解の振る舞いとそれによる宇宙論的モデルの解析を通して行列模型の正しい物理的な解釈へと繋げることを試みた。

平成14年度

行列による表現はHeisenberg代数で表される非可換幾何学と密接な関係にある。このため行列を用いて時空を表現する際には非可換幾何学からのアプローチが非常に有用になる。これにより、これまでとは次元の異なるソリトン的なブレーン解を構成することができた。また同様の解を時間に依存するようにもできる。この点は宇宙論の観点から見たときに大変興味深く、その宇宙論に与える影響を調べて宇宙初期、また現在の宇宙の状況に関する重要な情報を得ることができた。

平成15年度

超弦理論の構成的定式化の模型であるIIB行列模型について、その時空をあらわすメカニズムを解明するべく、非可喚超空間を表現していると思われるフェルミオニックな解を超行列模型で見つけた。そして、その解が非可喚超空間での交換関係を満足するがゆえに、それは非可喚超空間での行列模型とみなしてよいことを示した。

平成16年度

弦の理論の非摂動効果の源を理解しようとするテーマのもとで、総括班特に川合と多田、早川らの緊密な連携の元に行われた研究として、弦の理論のダイナミクスの解明へ向けての中心的な研究を行った。

平成17年度

本課題の研究テーマに広く応用が期待できる基礎的研究として、行列を用いて曲がった空間を記述する手法の確立を試みた。非可換幾何学と行列の対応関係を用いて、高次元空間に埋め込んで空間の曲がりを表現する方法について調べるとともに、最近川合らによって導かれた行列を微分作用素として捉え、空間の曲がりを行列に含める方法についても検討した。

平成18年度

D-braneもしくはNS-brane、Orientifoldなど、多様な古典解近傍のダイナミクスを調べるのにどのような行列による記述が適しているか探究するため、量子色力学の非摂動的な側面をゲージ/弦理論対応から理解する試みや曲がった時空間における量子論をゲージ/弦理論対応からと格子正則化から追求する研究を主に遂行した。

国際会議招待講演

国内会議招待講演

シンポジウムの開催

査読付国際誌

プレプリント

学会発表リスト

その他