計画班: B9

ゲージ場の量子論におけるフェルミ粒子とソリトン

研究代表者藤川 和男日本大学・教授
筒井 泉高エネルギー加速器研究機構・助教授

重要な成果

全ての幾何学的な位相は、第2量子化において明確に現れる隠れた局所的 対称性に付随したホロノミーとして理解でき、したがって全ての観測可能量はゲージ不変であることを示した。また、量子特異点の数理的分類とその物理的性質の研究を行い、それらが生成するBerry位相や双対性、さらには特異点上の量子圧と粒子の統計性の関係等、量子特異点の多様な物理効果を明らかにした。

年度毎の進展と成果

平成13年度

格子上の場の理論、特に新しいDirac演算子の可能性を考察した。また スピンと統計の定理の異なる角度からの理解を示した。さらには、 量子特異点の数理的性質を調べ、超対称性や双対性、Berry位相などの興味深い現象が生成される可能性を見出した。

平成14年度

格子上の場の理論におけるマヨラナ粒子の定義とかCP対称性の定義に かかわる問題点を中心に考察した。また 発散を持つポテンシャル系にも応用できるよう量子特異点の枠組を拡張し、特異点のスペクトルに対する影響を調べた。特に発散ポテンシャル系が古典再帰(caustics)現象を示す場合には、一種の状態複製が可能であることを示した。

平成15年度

格子上での超対称性の定義に関する考察を続け、またソリトン解を持つ 超対称な2次元模型に現れる一種の量子異常の考察を行った。さらに は、特異点で仕切られた量子井戸系で発生する量子圧の温度依存性を調べ、それが井戸中の粒子の統計性に大きく依存することを明かにした。また、これとは別に非可換性空間上の電磁場理論における(古典)解を構成し、非可換性に起因する異常分散関係と偏光条件を得た。

平成16年度

ニュートリノの基礎的な性質に関する考察を行った。また、時空が非 可換な理論におけるユニタリー性の問題点の考察を行った。さらには、 量子特異点の性質を制御することにより、量子計算のqubit素子として用いることが可能であることを示した。また、量子特異点を持つ可解系としてCalogero模型を考察し、$N=3$の場合に従来よりも一般的な量子解を得た。

平成17年度

幾何学的な位相と呼ばれるものの、位相的な性質とかその背後にある ゲージ対称性の起源に関する考察を行い、幾何学的な位相と量子異常の 基本的な差異を明らかにした。さらには、 量子論の非局所相関性の応用として従来のゲーム理論を量子化し、ゲームの安定解が持つ性質(ディレンマ解消など)に対する量子縺れ(エンタングルメント)の役割を詳しく調べた。

平成18年度

非断熱的および混合状態の幾何学的な位相は全てシュレーディンガー方程式に内在する「隠れたゲージ対称性」に付随したホロノミーとして理解できることを示した。したがって、全ての観測量はゲージ不変である。また、量子特異点と粒子の統計性に関する研究成果を まとめるとともに、量子的な非局所相関をゲーム理論に導入する量子ゲーム理論に関しては、Schmidt分解と呼ばれる複合量子状態表現に基づいて、計量可能な量子相関を持ち、かつ従来のアプローチを含む一般論を構築することに成功した。

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