計画班: B10

有限時空系の場の量子論と量子系のダイナミクス

研究代表者大場 一郎早稲田大学・教授
中里 弘道早稲田大学・教授
山中 由也早稲田大学・教授
中村 博樹早稲田大学・助手(H14〜16年度)
湯浅 一哉早稲田大学・講師(H13〜17年度)
森田 健司早稲田大学・助手(H13〜15年度)
宮本 学早稲田大学・助手 (H16〜18年度)
奥村 雅彦早稲田大学・助手 (H16〜18年度)
太田 幸宏早稲田大学・助手 (H16〜18年度)
峰 真如早稲田大学・助手 (H18年度)

重要な成果

量子情報処理に不可欠な量子ビット間の相関について、ゼノン型観測によって量 子系の純化、量子絡み合いの抽出などが可能となることを示した。また、BECの 励起状態を取り扱う場の量子論をゼロ・モードセクターや複素固有値セクターま で含めて無矛盾に構成し、有限時空における場の理論の一つの典型を与えた.

年度毎の進展と成果

平成13年度

量子ゼノン効果を環境自由度を考慮して再吟味し,対象系に頻繁な観測を施すことで環境系が``純化''される現象 (ゼノン型観測による状態純化) を発見した. また, 高エネルギー重イオン衝突実験で有限時空領域に生成されたハドロン物質の大きさをHBT効果で評価した.

平成14年度

中性原子Bose--Einstein凝縮に関し, 空間並進対称性の破れた実験状況を考慮し, 適切な基底状態の特定と非凝縮相を取り扱うための場の理論的手法を開発し, この系におけるGoldstoneモードの重要性を明らかにした. また, 散逸系カオスを確率状態拡散法に基づいて量子化,量子--古典対応を議論するとともに,量子散逸系における半古典近似の開発を試みた.

平成15年度

並進対称性が破れたBose--Einstein凝縮系でGoldstoneモードを扱う2つの方法の間の関係を明らかにした.また, ゼノン型観測による状態純化法の応用として,エンタングルメント抽出や量子ビットの初期化の可能性を示した.さらに, 高エネルギー重イオン衝突実験で有限時空領域に生成されたハドロン物質の大きさをHBT効果で評価した.特に不透明粒子源の効果を詳細に解析した.

平成16年度

Kaneが提案した半導体量子コンピュータに関し,時間に陽に依存したSchr\"odinger方程式を可能な限り厳密に解いた結果に基づいて,これまでに提案されていた量子演算の構成法では,演算エラーが避けられないことを明らかにした.また, 高エネルギー重イオン衝突実験によって有限時空領域に生成されたハドロン物質に関し,2体のみならず3体の相関に着目し,ハドロン物質の熱平衡達成度を評価した.

平成17年度

``積分核''を導入したLangevin方程式に基づいて新しい短時間スケーリング則を導出し,臨界点近傍における系の情報を効率良く抽出できる可能性を明らかにした.また, 不安定多準位系の束縛状態が現れる機構をFriedrichsモデルに基づいて調べた. また, 並進対称性が破れたBose--Einstein凝縮系に関するGoldstoneモードを考慮した枠組みの自己無撞着性を調べ, 特にWard--Takahashi恒等式を保持していること, 非同値真空が実現していることを確かめた.

平成18年度

初期相関が存在する状況での弱結合極限によるマスター方程式の導出法を数学的に整備し, 量子開放系のダイナミクスにおける初期相関の物理的な役割・効果を調べた. また, 並進対称性が破れたBose-Einstein凝縮系の外部擾乱に対する応答へのゼロ・モードの効果を有限温度下で評価する枠組みを提案し, 数値計算によってその効果を調べた. また Lindblad型マスター方程式におけるKraus表示の解の導出法を明らかにした.

国際会議招待講演

国内会議招待講演

査読付国際誌

プレプリント

学会発表リスト

解説書

ホームページ

研究補佐員の雇用