計画班: B12

ゲージ場の理論の非摂動的解析方法の開発と応用

研究代表者青木 健一金沢大学・教授
平山 実富山大学大学院・教授
寺尾 治彦金沢大学・助教授

重要な成果

長距離相互作用を持つ系を有限レンジスケーリングで解析する方法を新たに開発し、 拡張イジング模型での局在化相の発現を示して相構造を求めた。 Skyrme模型とFaddeev模型の厳密解やエネルギー値に関して新しい 種々の知見を得ることができた。 (超対称)標準模型における階層性を導く模型の考察と、その動力学の 非摂動繰り込み群による解析を行った。

年度毎の進展と成果

平成13年度

非摂動くりこみ群を量子色力学におけるカイラル対称性の解析に用いるための 基本的な枠組みの検討を行った。 Faddeev模型の運動エネルギー項にある重み関数を付け加えた模型や,相互作用 項にある重み関数を付け加えた模型は厳密に解けることを示した。 大きな異常次元によって素粒子の質量階層性を導く超対称模型の研究を行った。

平成14年度

非摂動くりこみ群の典型的な近似としての局所ポテンシャル近似の性質について 深く理解するために、1次元の量子系における量子古典相転移の解析に応用した。 Skyrme模型の一群の2変数厳密解を得た。この解は相互作用定数に依存し,バリ オン数密度0を持つものである。 5次元理論の赤外固定点の性質に着目し超対称フレーバー問題を解消する機構を 与えた。

平成15年度

1次元量子系のモンテカルロシミュレーションによる解析を行い、非摂動くりこ み群による解析結果とあわせて、臨界摩擦に対する予想を提出した。 Skyrme模型の一群の3変数厳密解を得た。この解は楕円関数$\wp$で記述され、0 でないバリオン数密度を持つものである。 素粒子の質量行列を導くフレーバー対称性と超対称フレーバー問題の関係につい て考察した。

平成16年度

1次元量子系の新しい解析方法として、Decimation Renormalization Group(DRG) を定義し、調和振動を解く新しい方法を与えた。 SU(2)ゲージ場がメロン配位をとる時のFaddeev-Niemi場$\bfn$が monopole-antimonopole対と看做せるものであることを示した。 デモクラティック型の質量行列を繰り込みによる効果で実現する模型を考察した。

平成17年度

1次元イジングスピン系において臨界摩擦を評価するために、DRGを長距離相互 作用が存在する場合に拡張し、臨界摩擦予想が指示されることを示した。 先に得ていたSkyrme模型の3変数厳密解の特別な場合としてdomain wall解が存在 することを数値的に示した. 超対称標準模型の小さな階層性問題を解消するような新しい模型を考案した。

平成18年度

有限密度量子色力学におけるカイラル対称性、カラー対称性の相構造を非摂動く りこみ群で解析する方法の基礎的な解析を行った。また拡張イジング模型を 用いて長距離相互作用のある系の有限レンジスケーリングによる解析方法を 開発した。 Skyrmionのprofile functionとしてこれまで最善とされてきたものとは異なる 関数形のものを考察し, よりよいエネルギー値を得た. 標準理論を超えるヒッグス模型の考察とその動力学の非摂動繰り込み群による 解析を行った。

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