計画班: C17

CPの破れと標準模型を超える物理

研究代表者小林 誠高エネルギー加速器研究機構・ダイヤモンドフェロー
林 青司神戸大学・教授
岡田 安弘高エネルギー加速器研究機構・教授

重要な成果

ニュートリノ質量を説明できる大統一理論やフレーバー対称性を持った理論 などいろいろな種類の超対称模型でB中間子、K中間子のCP破れや稀崩壊過程、 レプトンフレーバーの破れ過程の計算を行って、これらの観測量の標準模型 の予言からのずれのパターンの模型による違いを明らかにした。そして、 この結果を現行のBファクトリー実験の結果の解釈と関連する実験の将来計画の検討に役立てた。

年度毎の進展と成果

平成13年度

高次元ゲージ理論においてゲージ・ヒッグスを具現する5次元SU(3)ゲージ理論を提唱し, オービフォールド化と細谷機構により、望ましいゲージ場、ヒッグス場の出現と、望ましいゲージ対称性の破れが実現する事を示した。近年明らかになってきたニュートリノ振動関して、擬ディラックニュートリノシナリオが成立するかどうかを詳しく検討した。

平成14年度

大統一理論やフレーバー対称性を持った理論などいろいろな超対称模型で様々なフレーバーチェンジングニュートラルカレント過程やCPの破れを計算し、Bファクトリー実験に対するインパクトを明らかにした。将来のレプトンフレーバーの破れの探索実験のため、ミューオン原子中のミューオン電子転換過程転換確率を、いろいろな原子核で詳しく計算した。ニュートリノの3世代混合の振動確率を2世代混合で扱う新しい近似公式を導いた。

平成15年度

小さなニュートリノの質量を生成する機構であるZee模型について、宇宙論的な制限を満たす現実的な模型を構築した。様々な超対称模型でB中間子の稀崩壊過程について計算を進め、Super B factory 計画の検討に役立てた。また、超対称シーソー模型で、ミュー粒子−電子転換過程に対し重いヒッグス粒子の交換による新しい寄与があることを指摘した。

平成16年度

高次元重力理論の元で、重力、ゲージ場、ヒッグス場を統一し、ヒッグス質量への2次発散する量子効果を除去する試みを行った。ニュートリノの質量がマヨラナ質量であるかを調べるために考えられる2重ベータ崩壊以外の様々な過程を検討した。ヒッグス2重項を複数ふくむ模型で電弱相転移の際にバリオン数が生成されるシナリオを考え、コライダー実験でのヒッグス粒子の物理へのインパクトを調べた。

平成17年度

B 中間子がタウレプトンを含む終状態へ崩壊する過程を超対称模型で考え、超対称の破れの構造をどのように解明することができるかについて調べた。余剰次元を用いたゲージヒッグス統一模型と超対称性の理論の関係を調べ、前者の理論に量子力学的超対称性が隠されていることを見出した。

平成18年度

ニュートリノの質量生成をTeVスケールの物理によって説明する左右対称模型をタウ粒子やミュー粒子のレプトンフレーバーの破れの過程によって探る可能性を検討した。ゲージヒッグス統一シナリオの電弱精密 測定による制限を考察し、高次元理論であるにも関わらずS, Tパラメター の特定の線形結合に関しては 有限量として予言可能であることを示した。また、磁気単極子の電気二重極能率を超対称性のあるモデル で詳細に調べて、その生成機構を明らかにした。

国際会議招待講演

国内会議招待講演

授賞

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