計画班: C18

強結合場の理論の摂動的および非摂動的解析

研究代表者中村 純広島大学・教授
大川 正典広島大学大学院・教授
小平 治郎高エネルギー加速器研究機構・教授
中澤 直仁島根大学・助教授(H13年度)

重要な成果

物質を構成する素粒子であるクォークは単体では測定されないが、量子色力学QCDはこの閉じ込め相から 非閉じ込め相への相転移を予言している。 超高温状態を実現する超高エネルギー重イオン反応の実験で、米国ブルックヘブン国立研究所で この相転移温度を超えたと考えられているが、そこで見いだされたものは予想に反して、自由な クォークガス状のものではなく、強く相互作用する完全流体と考えられる物質であった。 我々は格子QCDシミュレーションにより、初めてこの物質の粘性係数を計算し、 完全流体に近い非常に低い粘性係数を得た。

年度毎の進展と成果

平成13年度

(中村) 非閉じ込め相でのハドロン中のクォークが強く相互作用している兆候を見いだした。 (中澤) 3次元量子重力理論の2+1分解が確率過程として記述できることを示した。 (小平) B 中間子の光円錐分布関数を解析した。Drell-Yan 過程でのレプトンのヘリシティー分布等が核子のパートン分布関数を決定する上で非常に有効であることを示した。

平成14年度

(中村) 符号問題の無い2色QCD の相構造を調べた。 (大川) 重いクォークを含むハドロン行列要素の計算をNRQCD クォーク作用を用いて行なった。また、K 中間子崩壊過程でのCP 非保存の強さの測定を行った。 (小平) 重いクォークの有効理論を用いることにより$B$ 中間子の光円錐波動関数が2フォック近似の下で解析的に解けることを見出した。

平成15年度

(中村) $\sigma$中間子について、非結合ダイアグラムが大きく寄与していることを見いだした。 (小平) RHIC領域の偏極陽子-陽子反応における$J/\Psi$生成の二重スピン非対称性を計算し、偏極核子内のグルーオンの分布関数に重要であることを指摘した。 (大川) I=2 パイ中間子散乱の位相差を格子シミュレーションにより計算した。$\eta '$ の質量の計算を行った。

平成16年度

(中村) 有限温度でのクォーク・反クォーク間の力を数値シミュレーションにより調べた。格子QCDでグルーオンの輸送係数を計算した。 (大川) NRQCD クォーク作用を使い、重クォーク・軽クォーク中間子、重クォーク・軽クォーク・軽クォーク重粒子系の展開パラメータを測定した。 (小平)重いクォーク質量極限で、B中間子の包含崩壊を形状関数を使って決定した。

平成17年度

(中村) 近年、クォーク・クォーク間(ダイ・クォーク)ポテンシャルを計算した。 (小平) 偏極Drell-Yan反応に対するQCD補正を計算した。小$Q_T$で重要になるソフトグルーオン効果を再加重により、$Q_T$分布を調べた。 (大川) 現実世界に対応する$Nf=2+1$のQCDシミュレーションによりハドロン 質量の計算を行った。

平成18年度

(中村) Gribov-Zwanzigerの閉じ込めシナリオを検証するために、クォークポテンシャルの中の瞬間相互作用部を計算した。 (小平) 偏極陽子Drell-Yan反応に対し、大小全領域の$Q_T$に対し、各領域で有効な計算法で解析を行い、断面積を系統的に導出した。 (大川) シュレーディンガー関数法により、$N_f=0, 2, 3$に対する$O(a)$改良Wilson作用のパラメータを決定した。

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