計画班: C19

数値的手法にもとづいたゲージ理論の非摂動的効果の解明

研究代表者鈴木 恒雄金沢大学総合メディア基盤センター・教授
久保 冶輔金沢大学自然科学研究科・教授
中島 日出雄宇都宮大学工学部・教授

重要な成果

鈴木はQCDの閉じ込め機構が、可換な双対マイスナー効果で理解できることをゲージ不変に示した。久保は離散群に基づくフレーバー対称性が低エネルギーで実現されている可能性があり、 標準理論やその拡張された理論が持つフレーバー問題を 緩和することのできる有力は候補であることを見いだした。 中島らは、 Landauゲージの九後・小嶋カラー閉じ込め条件について、非クエンチ数値実験において初めて成立するという数値結果を得た。

年度毎の進展と成果

平成13年度

鈴木は、高エネルギー研究所の共同利用計画に採択されO(a) improved clover fermion 作用でのfull QCDの計算機シミュレーションをはじめた。中島は九後・小嶋閉じ込め条件の検証をLandau gauge 格子 QCD の数値シミュレーションで始めた。久保は、高次元スカラー場の理論のくりこみ群の流れを非摂動くりこみ群を用いて調べた。

平成14年度

鈴木は、Nf=2のclover fermion作用の$16^3\times 8$の格子でfull QCDで、有限温度相転移を研究し、相転移温度を決定した。中島は九後・小嶋閉じ込め条件と Gribov-Zwanziger 理論の予想の関連を調べた。久保は、余分な5次元目が小さな円にコンパクト化されている SU(2) ゲージ理論を非摂動論的に解析 を行った。

平成15年度

鈴木は、Nf=2のclover fermion作用の$24^3\times 10$の格子でfull QCDで、有限温度相転移を研究し、相転移温度を決定した。中島は、より大きい格子、$48^4$、$56^4$ 格子でLandau gauge 格子 QCD (SU(3)) の数値シミュレーションに取り組んだ。久保は、5次元の内1次元がコンパクト化された $SU(2)$ 格子ゲージ理論の相構造を更に詳しく調ベた。

平成16年度

鈴木は、新しく理化学研究所との協定で大規模Linux clusterとSX7ベクトルスーパー計算機を共同利用を始めた。新しくゲージに依存しない閉じ込め機構の本質をさぐる研究を始めた。中島らは、$56^4$のより細かい(格子定数が小さい)格子で log U型のシミュレーションを始めた。久保は、5次元で定義されているSU(5)ゲージ対称にもとずく超対称統一理論の赤外収束性に関しての研究を始めた。

平成17年度

鈴木は、格子での通常のモノポールが存在しないランダウゲージでも双対マイスナー効果が見られることを発見した。中島は、Unquenched Lattice Landau Gauge Simulation によるクォークプロパゲータの計算を行った。久保は、5次元が連続空間ではなく、離散的、つまり格子上にコンパクト化されていると5次元目に正多角形の対称性がごく自然に存在する。この正多角形の対称性がフレーバーの対称性になっていることを具体的に示し、素粒子の模型を構築した。

平成18年度

鈴木は主として理研の計算機を用いた精密計算機実験で、ゲージ選択に依存しない形で可換な閉じ込め機構が働いていることを発見した。久保はフレーバーの対称性と陽子崩壊モード、暗黒物質の関係について調査を行い、 フレーバー対称性は様々な形で実験的に検証可能であることを明らかにした。 中島はLandauゲージQCD(SU(3))のゴースト凝縮の可能性を調べた。現在までの解析ではゴースト凝縮は0とコンシステントである。

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