計画班: C20

超対称ゲージ理論の非摂動ダイナミックスに基づくフレーバー物理

研究代表者安江 正樹東海大学・教授
日置 善郎徳島大学・教授

重要な成果

広く知られているフレーバー$SU(N_f)$対称性及び$SO(N_f)$対称性の磁気自由度による記述に対して、電気的自由度による 記述を定式化した。インスタントン効果に着目した対称性の自発的破れと南部・ゴールドストーン場による構成が特徴である。 また、このような非摂動効果の高エネルギー加速器実験における現象論的な検証のための解析方法を整備した。

年度毎の進展と成果

平成13年度

$SO(N_c)$群に基づく強結合理論で、フレーバー$SU(N_f)$対称性 の自発的破れを無矛盾に記述する有効超ポテンシャルの構築に向けた研究を開始した。また、非摂動ダイナミックスの発現を調べるため $e\bare\to t\bart \to \ell X$ 反応において,終状態レプトン角分布を調べ,角分布が$tbW$結合にはほ とんど依存しないことを見出した.

平成14年度

平成13年度に見出した現象の成立条件を調べ,新しい定理「脱結合定理」を発見した. また、$SO(N_c)$群に基づく強結合理論で$N_f\geq N_c$の時、フレーバー$SU(N_f)$対称性が自発的に $SO(N_c)\times SU(N_f-N_c)\times U(1)$に破れる真空の存在を明らかにした。

平成15年度

更に$SO(N_c)$群に基づく強結合理論で、$N_f= N_c-2$の時、フレーバー$SU(N_f)$が自発的に$SO(N_c)$に破れる真空の存在を明らかにし、インスタントン真空と密接に関係していることを指摘した。 非摂動ダイナミックスの発現の解析には高い精度が要求されるが、閾値エネルギー付近のトップ生成時には、従来よりも遥かに高い解析精度を達成できることを示した。

平成16年度

$SO(N_c)$群に基づく強結合理論で、$N_f \geq N_c-2$の場合を統合的に調べ、ホロモロフィー性、アノーマリーの一致・インスタントン効果の再現、を示した。 また、非摂動効果が更によく現れる光子光子衝突でのトップ・反トップ生成崩壊過程に関す る詳細な解析を行い,幾つかの情報が得られると期待できることを明らかにした.

平成17年度

前年度の成果を踏まえ、$SO(N_c)$群に基づく強結合理論のフレーバー物理への具体的な応用に備え、 新たなフレーバー対称性発現の可能性として、ニュートリノにおける$\mu-\tau$対称性に着目し、 CP対称性の破れと$\mu-\tau$対称性の破れの連携を詳細に調べた。同様に、トップおよびヒッグスの非標準相互作用を、 $\gamma\gamma$ コライダーでのトップ対生成・崩壊反応を詳細に調べ,精度の高い解析が可能であることを明らかにした.

平成18年度

CPの破れのパラメータとフレーバーニュートリノ質量項の位相の一般的な関連を調べ$\mu-\tau$対称性の破れの性質を 明らかにした。更に、$\mu\bar\mu$ コライダーに着目し,トップ相互作用の非標準相互作用でCP対称性の 破れがある場合には,縦偏極ビームを用いた非対称性の測定が有効であることが明らかとなった.

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