計画班: D21

電弱対称性の破れのダイナミクスと、その宇宙論への応用

研究代表者吉村 太彦岡山大学大学院・教授
棚橋 誠治東北大学大学院・助教授
諸井 健夫東北大学大学院・助教授
久野 純治東京大学宇宙線研究所・助教授

重要な成果

宇宙と量子の世界をつなぐ重要な接点である、ニュートリノ質量の性格と 質量絶対値、混合角すべてを決定する新たな実験手段として、 準安定原子のニュートリノ対生成が有力な方法であることを提唱した。 暗黒物質の直接および間接的探索 に関わる原子核との弾性散乱過程および対消滅過程に対する電弱相互作 用による量子補正を評価した。 グラビティー問題を避けるために必要な宇宙再加熱温度の上限について、詳細 な計算を行った。 ヒッグスレス模型について詳細な研究を行い、この模型が現在の精密 測定と矛盾しないことを見いだした。

年度毎の進展と成果

平成13年度

吉村はトンネル効果が宇宙の環境中でどのように起こるのかを、実時間形式を 用いて基礎から研究した。棚橋は余剰次元ゲージ理論におけるカイラル対称性 の力学的破れの研究を行った。諸井はCurvaton mechanism に関する研究を行なっ た。

平成14年度

吉村は引き続き、環境中でのトンネル効果を研究し、バリアークロス現象が環 境からのエネルギー流入によって促進される機構を明らかにした。棚橋はリト ルヒッグス模型と隠れた局所対称性模型との関連を研究した。諸井はCurvaton mechanism に関する研究を引続き行なった。久野は超対称模型の予言するEDMと フレーバーの物理との関係を調べた。

平成15年度

吉村は宇宙のバリオン非対称生成に関して注目されているレプトン生成シナリオ が実験室でどのように検証されうるかを、様々な反応に関して研究した。 棚橋は余剰次元模型におけるトップ対凝縮の可能性を探った。 諸井はCurvaton がインフレーション模型に与える影響について議論した。 久野は電弱相互作用をする暗黒物質の対消滅過程に対する非摂動論的効果を評価 した。

平成16年度

吉村は黒エネルギーの存在をインフレーションと関連づけ、素粒子のエネルギー ハイラルキーと同時に解決する模型を提唱した。 棚橋はヒッグスレス模型における電弱オブリーク補正の構造を明らかにした。 諸井は長寿命粒子が宇宙初期の元素合成に与える影響について研究した。久野 は超対称模型の予言する暗黒物質と原子核との弾性散乱に対する量子補正を評 価した。

平成17年度

吉村は新たなレーザー増幅機構を用いてレプトン数非保存を検証する実験を提 案した。 棚橋はヒッグスレス模型における電弱補正の研究を行った。 諸井はグラビティーノが元素合成に与える影響について、精密な計算を行なっ た。 久野は暗黒物質直接探索の1つの方法として電子加速器を使うアイデアを提唱し た。

平成18年度

吉村は、準安定原子にレーザーを照射してニュートリノ対生成を促進する方法が、 ニュートリノのマヨラナ性を検証し、ニュートリノ質量行列を決定する 有力な方法であることを示した。 諸井は右巻スニュートリノが暗黒物質となる模型を提唱した。 久野は電弱相互作用をする暗黒物質の宇宙の残存量の精密計算を行った。 棚橋はスリーサイトヒッグスレス模型を提唱し、その高次補正の計算を行った。

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