計画班: D22

ダークマターの測定とその構造の解明

研究代表者表 實慶應義塾大学・教授
青木 健一郎慶應義塾大学・教授
岩崎 愛一二松学舎大学・教授
肥川 隆夫大妻女子大学・教授

重要な成果

ダークマターの測定とその構造の解明を目指す本計画班では、「ダークマターを構成する素粒子の正体」、「宇宙初期におけるその生成メカニズム」、「宇宙質量密度に占めるその割合の測定」の3つの課題を取り上げ、それぞれの側面で重要な成果をあげたが、素粒子物理学が存在を予言したアクシオンをダークマターの候補として考え、その測定法を提案した論文「Ultra High Energy Cosmic Rays and Gamma Rays Bursts from Axion Stars:Proc. 9th Marcel Grossman Meeting on General Relativity」は、具体的に観測的な検証法を指摘している点で極めて重要である。

年度毎の進展と成果

平成13年度

弦理論と関係の深いlarge $N$ 極限の2次元QCDのふるまい、特に質量不等式に ついて解析した。アクシオン星と中性子星との衝突を起源とするガンマー線バー ストの発生メカニズムを提案した。リー環に値をもつソリトン方程式を、関数間 の積をモヤル積に置換えた方式で導いた。重力レンズ効果を利用したダークマター の測定法を調べた。

平成14年度

有限温度の非平衡の格子場の理論における線形応答、局所平衡の破れ方について、 第一原理より定量的に求めた。炭素 カルシウム等の原子核中でアルファー粒子 が凝縮する可能性を、渦糸励起の視点から議論。Moyal量子化におけるワイル順 序の真空とノーマル順序の真空の同等性を示した。ダークマターによる重力レン ズ効果を数値的に解析した。

平成15年度

超弦理論の非対称オービフォルド真空における摂動論的 2 ループ次の宇宙定数 を計算して解析的に求め,その性質を明らかにした.クォーク物質にカラー強磁 性相が存在する可能性を提案。ヒルベルト空間を参照せずに関数とスター積のみ を用いた量子化法を調べた。非一様宇宙における多重レンズ効果を解析した。

平成16年度

超弦理論の非対称オービフォルド真空の構築のしかた,そしてその摂動論的な性 質を調べた.カラー強磁性相の一般的性質を議論。重力レンズ効果を用いて非一 様宇宙における光の伝播方程式を導出。

平成17年度

非平衡の格子の場の理論における第一原理からの運動論的な解析的計算と数値シ ミュレーションとの結果がどのように一致するか $\phi^4$ 理論を用いて明らか にした.中性子星内部に存在しうる、カラー強磁性相にあるクォーク物質の統計 的性質を議論。逆散乱法を用いて5次元アインシュタイン方程式の静的な解を無 限個求めた。量子化された場の理論において場を対角化する表示を提案した。

平成18年度

非平衡状況での場の理論の古典的な振る舞いについて、$\Phi^4$理論の熱輸送係数とその振る舞いを解析的に調べ、摂動論と数値計算で得られた結果の関係を明らかにした。また非平衡物理の量子力学的振る舞いについて調べ、これらの系の一般的な性質を明らかにした。光円錐量子化法を用いてクォーク物質中のグルーオン状態を調べ、中性子星の持つ強磁場の起源とハドロン内部のカラーグラス凝縮がこの解析で明らかになったグルーオン状態で説明できる理解できる可能性を指摘した。 類似性を議論。5次元のアインシュタイン方程式とアインシュタイン・マックスウェル方程式の定常的な解を、逆散乱法を用いて系統的に求めた。

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