計画班: D24

弱電磁理論における非摂動効果とバリオン数生成

研究代表者青山 秀明京都大学大学院・教授
松田 哲京都大学大学院・名誉教授
山本 克治京都大学大学院・教授

重要な成果

N重超対称性において、これまで知られていなかった多次元へ拡張した場合の 代数構造が判明し、具体的なモデルの構築が可能となった。 余剰次元空間については、 宇宙定数が余剰次元のカシミアエネルギーに起因するとして、 WMAP観測の宇宙定数の値から余剰次元空間の大きさをサブミリメーター程度と 評価を得た。 超対称弱電磁模型ではポテンシャル平坦面上での多元スカラー場運動により 粒子数非対称が有効に生成されることを見出し、これによるレプトン数生成と ニュートリノ質量の関係を明らかにした。

年度毎の進展と成果

平成13年度

虚時間経路積分法の非摂動効果の研究でバレー法の新しい定義を提唱し、1次元 非調和振動子の解析からN重超対称性を見出した。レプトン数については、ヒッ グストリプレット場を含む超対称弱電磁模型で、複数スカラー場の多元運動によ る有効な生成機構を示した。

平成14年度

N重超対称性については、Type-Aモデルだけでなく、より広範囲のモデルを探索 し、一般論を目指す研究を行った。レプトン数については、超対称標準模型、超 対称シーソー模型でも多元スカラー場運動による生成機構をニュートリノ質量と 関連づけて調べた。

平成15年度

N重超対称性については、代数的関係を検証する新たな方法を発見し、多次元へ の拡張など多くの可能性を調べた。余剰次元については、宇宙定数が余剰次元の カシミアエネルギーに起因するとして、WMAP観測の宇宙定数の値から余剰次 元空間の大きさをサブミリメーター程度と評価した。超対称ヒッグストリプレッ ト模型では、レプトン数生成をさらに詳細に検討し、ニュートリノの質量・混合 やレプトンフレーバー変換過程との密接な関係も調べた。

平成16年度

N重超対称性については、Type-Bを越える拡張を検討し、新しいモデルをほぼ確 定した。また、場の理論への適用も検討した。余剰次元空間については、2次元 トーラスを考え、そのカシミアエネルギーをモジュライパラメーターの関数とし て求めた。超対称シーソー模型では、レプトン数生成を詳細に検討し、それに関 わるパラメータへの制限を求めた。

平成17年度

N重超対称性では、多次元への拡張、特にN=2の3次元拡張を詳細に調べ、具体的 なモデルの構成を検討した。空間的余剰次元については、それが予言するミニブ ラックホール生成に関与する一般化された不確定性関係の研究を進めた。超対称 弱電磁模型では、種々の新奇粒子を含む拡張を考案し、レプトン数生成をニュー トリノの物理と関連づけて検討した。

平成18年度

N重超対称性については、これまでの成果を受けて、3次元2重超対称性代数モデ ルの構築がほぼ完成した。 空間的余剰次元については、2次元トーラス余剰次元空間を考え、そのカシミアエネルギーを モジュライパラメーターの関数として求めた。 さらに、空間的余剰次元が予言するミニブラックホール生成に関与する 一般化された不確定性関係の研究を進め、ミニブラックホール生成断 面積の精度を上げた評価を試みている。 超対称弱電磁模型の拡張では、バリオン数やレプトン数の生成とともに、 インフレーションの実現やダークマターの生成について調べた。

国際会議招待講演

授賞

査読付国際誌

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