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Journal of Integrated Creative Studies
ISSN: 2424-0370
編集長 村瀬雅俊

〒606-8502
京都府京都市左京区北白川追分町
京都大学基礎物理学研究所内
Email : future yukawa.kyoto-u.ac.jp

本誌について

 本誌Journal of Integrated Creative Studiesは、2015年3月に電子ジャーナルとして創刊された査読制に基づく学術誌である。ジャンルを問わず意欲的な英語論文・日本語論文を受け付ける。その学術的動機は、2013年度-2014年度に採択された、京都大学統合創造学創成プロジェクトにある。
 
 本誌が扱う主要なテーマは、「創発現象」である。それは、宇宙の創生にはじまり、生命の起源やこころの進化から、病の発症や文明の誕生・崩壊など多岐にわたる。もちろん、私たち人間の主観的なこころのはたらきによる創発現象も存在する。アインシュタインによる相対性理論やダ・ヴィンチによるモナリザは、こうした創発現象の成果である。そして、こころの病も創発現象の一つといえる。
グローバル化時代を迎え、現代社会は、技術・環境・政治・経済といった多様なシステムと人間が複雑に絡み合う巨大な「生きた」システムと化してしまった。その結果、現代社会が見せる予期せぬ問題の発生も、また創発現象の一つといえる。多くの場合、切迫した問題は多様な学問の境界領域で発生する。そのために、個々の学問を深く理解していても、問題自体が発生することを予想することは不可能に近い。ここに異分野交流による新たな学問統合を「統合創造学」として創成を目指す意義がある。
 
 巨大な「生きた」システムを全体として理解するには、一度に、一つの方法、一つの範囲、一つの尺度で捉えようとする従来型の方法論は使えない。例えば、ある空間領域に関心を向けるならば、それよりも小さな領域と大きな領域を並行して捉えるとともに、一つの領域の時間過程に関心を向けるならば、それよりも速く変化する過程と遅く変化する過程にも注目する必要がある。必然的に、臨床医学・経済学・生物学・認知科学・政治学・地球環境学・生態学・教育学・看護学など、全く異なるシステムを扱う学問間の対話が要求される。
 
 多様な学問領域が扱う諸問題は、見かけは異なるが、「創発現象」に着目するならば、その本質は極めて単純かもしれない。一見して無関係な学問領域において、共通する根本問題が存在するように思われる。その問題とは、「創発現象を介して、状況の変化を契機に破綻してしまう脆弱なシステムが存在する一方で、自律的に回復するシステムも存在する。両者の違いは何か?」という問題である。
 
 本誌では、全く異なる学問領域からの原著論文やレビュー的な総説など、ジャンルを問わず、意欲的な原稿を査読性のもとで掲載していきたい。

Journal of Integrated Creative Studies
編集長 村瀬雅俊


 
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