麹菌, 甘酒
甘酒の原理
(~20140323
)
甘酒等のできる原理についての推測 .
甘酒をつくる際に使う乾燥米麹は,米に麹カビを生やして
おいてから乾燥させたものである.
麹カビは普通のカビの一種で, 麹カビの中にもたくさんの種類のカビが
あるが甘酒, 味噌などをつくるための食用の麹カビは無毒であるといわれている.
完全にすべての要素が人畜にどのように作用するのか
解明されているわけでもないようであるが,
歴史ある日本の食文化におけるお家芸なのでとりあえず信じてよい気がする.
(ただ, 一般にバランスが大事なので麹菌だけ過剰に
食べていてもよくないかもしれない. )
この食用の麹カビの種類もいろいろバリエーションがあるようだが
だいたい真っ白の「モフモフ」なカビである.
(少し黒色や黄色が見えることもある. )
このように目にみえるカビは,
(カビ胞子から生えてくる)(あまり目にみえない)
カビ菌糸がカビ胞子を作った状態のものである.
この麹カビはでんぷん(やたんぱく質)を分解する様々な酵素を生成する.
(どの段階で生成するのかよく知らないが, )
とにかく米にモフモフの麹カビができている状態
(つまりカビ胞子までできている状態)において酵素は生成されている.
このあとカビ自体が死滅したとしてもすでに生成されている
一定量の酵素はでんぷんを分解することになる
(でんぷんの加水分解).
唾液に含まれるものを含む豊富な種類の酵素が含まれているらしい.
数値は正確ではないが,
- カビ菌糸はたぶん40℃以上では死滅し,
- 酵素は60℃あたりで分解されてしまい,
- カビ胞子は湿度にもよるが100℃あたりで死滅する.
よって, たぶん乾燥米麹は, 酵素を含んだまま菌糸は死滅し, カビ胞子は
生きたままの状態のものであると思われる.
甘酒のできる過程
米に水を加えて40--50℃あたりにし, 乾燥米麹を加える.
酵素によるでんぷん等の分解は, 酵素が分解されない範囲で温度が高い方が
有効に行われるということでこの温度になる.
また, 水を加えることによってカビ自体の繁殖のスピードは抑えられ,
特に米が水で十分に覆われているとカビ胞子ができるまでには至らない.
これで4,5時間でんぷん等を分解して出来上がり,という単純な原理であるようだ.
出来上がった甘酒を火を入れずに保存すると, 少し酸味が出てくる.
(酸味がある方が好きという人もいる. )
これはそろそろカビ胞子から菌糸が”発芽”してきた状態と思われる.
つまりここからカビ自体による発酵の過程に入る.
カビは生きているので, 水分がなくなればいつでもカビ胞子を出す状況にある.
たとえば甘酒を濾して(液体の部分のみを飲み),
残った粕を放置すれば麹カビ胞子が生える.
特に, 30℃から35℃で湿度高めだとすぐ生える.
(ただし長時間放置すると自分自身で分解した生成物によって
死滅する可能性あり. 特にアルコール臭が強くなると
死滅するようであるが, そもそも
麹菌でそんなにアルコールを生成できるものなのか, つまりアルコール臭の
正体からして今のところいろいろ不明.
一般にお酒を造るときは麹菌とともに酵母菌を使い,
麹菌ででんぷんをショ糖, ブドウ糖に分解したのち酵母菌でそれらを
アルコールに分解する.
)
効能
酵素による分解物がまずよい栄養物であろう.
酵素自体も体によいという話もあるが, 酵素は
「胃で分解されて意味なし」という意見もあるようで, 不明.
麹カビ胞子は腸に届いて”発芽”して善玉菌として働く, それが
一番重要という意見もある.
そういう観点からすると, 結局腸内はバランスが大事なので
麹菌, 乳酸菌, 納豆菌?... とバランスよく取り入れるのがよいのかもしれない.
「甘酒」 に戻る