日記 (2月)


主な予定

  1. 2/3-3/16 アメリカ(Cornell Univ. , TAM, Host James T. Jenkins
  2. 2/15: Department colloquim
  3. 3/11-14 Lehigh University
  4. 3/24-27 学会 (シンポジウム: ソフトマター物理の挑戦 講演)
  5. 4/12 夏の学校テキスト
  6. 5/27 地球物理合同大会
  7. 7/31 夏の学校
  8. 全然終らない本1(〆切はとっくにすぎた)
  9. 全然終らない本2(〆切はとっくにすぎた)

3月


2/28:

Jenkinsに計算間違いを指摘される。恥ずかしい。

とにかく間違いだらけの計算の中からもっともらしい結果が出てきつつある。 定性的にはいいかな。問題はどこかでファクターを落したせいか出て来た結果が 予め課した条件を満たさないことだ。しかしもう少しである。

(日本はもう3月だが)2月ももう終わりである。コーネルの滞在も後少しになって しまった。何とか成果を出したいものである。


2/27:

午前中は(訳の分からない摂動もどきはやめて)厳密解を求めることにした。温度と 密度一定の仮定をおいたので程無く 解ける。温度の決定方程式は近似しないと解くときの条件と矛盾するのでそこは 近似が入るがそんなに悪くない。午後にパラメーターを決めようとしたら 超越方程式になっていることに気がつく。うーん、どうしようかな。設定を 決めて数値的に解くことはそんなに難しくは無いが。

午後に猛烈に眠くなったので散歩して新聞を読む。それからグループミーティング。 僕の説明と稲垣さんの最近の結果の説明があった。DEMのパラメータの選択での 議論があった。


2/26:

とりあえず午前中にJenkinsの昔の論文の間違いを一つ訂正した。まだ摂動論としては singularな項が残ってそこが悪さをしている様である。

昼はまたTowerに行く。


2/25:

土曜の議論をノートにまとめる。幾つか疑問点としっくりこない所が出て来た。 まだ散逸率の計算が間に合わない。 また意味があるかどうかは別にしてシミュレーションと比較しないといけない。 手もとにあるシミュレーションの結果と合うかは別にしてself-consistentで あればそういう状況の流れと比較すればいいということだろう。 明朝までに結果を出さないといかん。先週のんびり積分の計算をしすぎたかな。

お、合ってると思ったのもつかの間。符号の間違いに気がつく。それを直すと おかしくなった。それ以前にちょっと この解はいろいろと変だ。singular perturbationになっているのかもしれない。 うーむ。やはり一筋縄ではいかない。

ここによると今年の冬は異常暖冬であることがよくわかる。滞在する側としては 大助かりである。昨日も春そのものだったからな。しかし温暖化の一環と見ると 喜んでばかりもいられないかも。


2/24:

午前にちょっと仕事をした後、木下さんに郊外に連れて行って貰う。

まずは目的地はIthacaから小1時間程の ここ。古今のガラスの 展示が素晴らしく作成の演示も含め楽しめた。特に興味を引いたのがパロマ天文台 の200インチの主鏡の失敗作が展示してあったこと。この巨大な鏡はCorningの会社 に受注したが最初に作ったものは自重のため歪みがひどく使えなかったので破棄、 2回目にやっと目的のものが出来た。パロマの望遠鏡の完成は確か48年位でその 技術的困難さから長らく世界最大の望遠鏡であったが技術革新故に 近年相次いで遥かに大きな 望遠鏡が作られるようになった。日本の「すばる」の主鏡もここで作られている。

次の目的地はSeneca Falls. 木下さんの三女のRayはここを 見れば分かる通りUniversity of Massachusettsで建築を教えている。 ここに詳しく経緯が説明してあるが彼女が大学院生のときに女性の権利宣言 した記念すべき場所の保存、復元作業のデザインを担当し、指揮をした。その 場所に案内して頂いた訳である。Rayとは一緒に高山に行ったことがある。

その後、日本食をご馳走になる。木下さんに「論文をまだ書いていますね」 と水を向けて「まだQEDの計算では世界一なのですか」と失礼なことを聞いたら 「当然」という答えが帰って来た。


2/23:

やっぱりというべきかJenkinsとの議論で希薄での境界条件等を決める話に なってしまった。積分に時間がかかりすぎた。Area fraction 20%を希薄と 見るにはちょっと無理があるような気がしないでもないがとりあえず、かなり 乱暴な計算をするとスリップ、速度場、スピン、圧力、温度といった物理量が 全てfiiting parametersなしで決まる。(輸送係数は既に計算してある) 議論の最中にそこで計算しろ、と言われて すぐ対応できる程度の計算であった。(量の多すぎる)昼食をはさんで5時間 議論(とその場での計算)で疲れた。 大雑把に見積もったスリップはそれほど的外れ でもないかもしれない。計算の結果は週明け早々にはまとまってシミュレーションの 結果と比較する。インスタントという気もしないでもない。

Enskogの計算は継続課題になった。うーむ。時間がかかるからな。

初稿か, 面倒だ、、。しかし手早くチェックをいれる。これなら2月中に投稿かな。


2/22:

ともかく面倒な積分を1個1個ばらして個々の項を丁寧に計算するしかない。 Mathematicaに一挙にやってもらたかったが僕の使い方では どうも予め計算してから入力した方がよいとの結論に達した。それでゆっくりと 計算中。明日の議論までにメドをつけないと境界の話に移ってしまいそうで 恐い。

夕方は学生連中とビールを飲みに行く。キャンパス内の物理学科の近くの 建物で毎週金曜に$1でビール、つまみとソフトドリンクは飲み放題という 破格の条件で飲み会が始まる。最初3人で後から2人合流した。その二人に 促されて食事と普通でのパブでの飲み会と都合5時間近く駄弁っていた。騒々しい ので会話が難しい面もあったが学生時代に戻ったようで楽しい時間だった。

家族が風邪をひいているのでお見舞の電話をする。


2/21:

Contact Mechanicsで有名な K.L. Johnson のセミナー。2教室合同のため盛況だった。回転するシリンダー(rolling mills)の 間に両面テープを貼ってシリンダーを回すとテープはどうなるか?答えは 隙間がある程度大きいときは速く回転する方にくっつき、隙間が狭くなると遅く回転 する方にくっつく。こういう話を弾性論を使いながら紹介していた。さすがに円熟を 感じさせる。

計算はTexのノートを作りながら亀のようにゆっくりやっていたらノートを作ることに 時間ばかり取られてちっとも進展がない。


2/20:

昨日のネットワークトラブルはコンピューターの故障だったようだ。次のような ジョークを見たことがある。自動車会社首脳と ビル・ゲイツの対談でゲイツが「我が社なら価格を1/10にしてみせる」と言ったら すかさず「自動車でWindows並に不安定だったら人の命がいくつあっても足りない。」

Enskogの方は後単純計算をすれば希薄のときに計算 した結果が使えることので滞在中に計算を仕上げるメドは着いたと思いたい。 一昨日仕上げた計算を有効利用するためと労力の軽重を判断してChapman-Cowling の本に紹介してある方法でやることにした。希薄の分は違う方法で計算したので ちょっと整合性がないが時間がないので我慢。 ただ落ち着いてクリアな頭でやらないといけない類の計算なので眠くてどんよりした 頭ではなかなかうまく進まない。ともかく焦ると出来ないので落ち着いてやろう。

冬季オリンピックの成績と日本の国勢は関係ない。嘘だと思ったら冬季オリンピック の日本の成績を見てみたらいい。90年代になって急にメダルを量産するようになった ことが分かる。大体予想通りの結果だろう。

和田君からSSTの論文が届く。shearの問題なのに時間が入りようがないformulation は極めて変だが長距離相関の導出とか勉強になる。何よりreviewの部分が秀逸。

グループセミナー。strainsの問題が主な話題だったがどうも会話のピントが微妙に ずれているような気がする。

refereeの論文が舞い込む。ここの所分野がずれている上に移動もあったから3つ 続けて拒否したが今度はど真中だからやらないといけない。飛行機の中かな。

Jenkins一家と一緒に日本料理店に行きすきやきをご馳走になる。Jenkins Jr.は Suzuki methodでViolinを習っているとのこと。木下さんの所では子供も孫も習って いた(る)し、Hongの娘もSuzukiで習っている。アメリカでの浸透ぶりはものすごい。


2/19:

Enskogの計算はなかなか調子が出ない。こういうのは一度調子よく回りだすと 問題がないのだが。

そうこうしているうちに病気のHongとの間の話がどんどん進んで、結局、3月 11日から最後までLehigh大学の方に移動することになりそうだ。おまけに Jenkinsが連れて行ってくれるとのことだ。これはNatureにも紹介されたPRLの Hongのsegregationの論文を受けてJenkinsが最近PRLにkinetic theoryの立場 からsegregationの論文を書き(間もなくPRLに受理されそうな状況)似たような 結果を示しているというお互いに競合している間柄であるからである。僕にとっては ラッキーという他はない。(Hongはバスに乗ってこいとか言っていたがどこから どのように乗ればいいのか分からず途方にくれていた)。

Couple stressについて日本から衝突で消えるのは自明な気がするというメール。 一方Jenkinsはそんなことはないだろうという意見。どっちが正しいか。

Jenkinsは風邪で半分家で寝ている状態なのに早くもshearの問題で温度分布が どうなるかという計算をしている。焦らせるなあ。

そんな中で日本向けの原稿(応用数理の手直しと地球惑星合同学会の要旨) を書くと日本にいるみたいで妙な気分である。

そんなことを言っているうちにIEでFile transferをしたら抜けられなくなった。 ここのUnix machineにつながりっぱなしである。しょうがいないから全てのファイル を京都に移してから削除。一体Microsoftの考えることはどうなっているのか。 単に無知だからというだけでもないと思う。この方法を勧めた人もWindowsを普段 使っている人も抜け方が分からないなんてどうしようもない。理解を超越した 存在である。無駄な時間だ。


2/18:

ようやくJenkins and Savage理論に基づくMicropolar fluid mechanicsの計算 (御手洗さんの計算のチェックと若干の拡張)と ノートの作成が完了。土曜にあったfactor 2のバグが取れてまずはめでたしめでたし だが改めて計算力のなさも感じた。勿論この理論に基づくとcouple stressはゼロ になるし希薄極限と整合しない。Enskog理論の扱いはこれから。この調子では 間に合うかどうか。

カフェテリアで(多すぎる)昼飯を黙々と食べていたら杖が頭に降って来た。 足が悪いなら杖で遊ぶなと言いたい。痛かった。


2/17:

朝洗濯。天気がよくない(雪が舞っている)ので散策する気や図書館に行く 気も起きない。仕事にも 今一集中できず能率が悪い。

電話がいつも混線するので変だと思ってたら5つ位の院生がいる部屋が一つの 番号を共有しているらしい。それで一斉に鳴って電話を複数の人が取ると混線 する訳だ。

とくさっているのも何なので隣の建物にある工学部図書館に行きChapman and Cowling等のKinetic Theoryの本を借りて来る。貸し出し期間が6ヵ月という のはすごい。借りられる冊数も多い。

戻って来たらJenkinsが病気をおしてやってきており短い議論。彼はEnskog Theory の計算は面倒だという理由で避けた方がいいのではないかという意見。しかしそれ ではJenkins and Savageとつながらないので短期間に計算を仕上げてしまおうという 腹を固めた。いずれにしても彼との議論は刺激になる。


2/16:

Jenkinsが風邪で昼のmeetingがキャンセル。

Hongからメール。病気療養中なのに僕を呼ぶ気がまだあるのはありがたいことだ。

終日しこしこ計算。だいぶバグが取れたが微妙に結果が違う。おかしいな。

学生連中に夜の free concertに誘われる。ブラームスのコンチェルトとチャイコフスキーの5番。 こりゃいいや。

指揮は この人 で独奏は この人。どちらもCornellのfacultyの一員である。 ここを見ると オーケストラは1単位分の授業であることが分かる。技量についてはアマオケ として普通かな。ただだから楽しめた。


2/15:

計算がどうも合わない。よく理由が分からないがどうみてもこっちの方が間違って いそうだ。

昼食会はTA/RAのUnionに関する会議になったので殆んどの時間は喋る必要がなかった。 残りの10分位で集中的にインタビューを受けた程度で助かった。

セミナーは出来が今一つかな。懸念した通りIntroが長過ぎた。 講演中に質問があまりなかった。講演後に何人かが 突っ込んだ質問をしたりトラペのコピーを要求したり(御世辞で)褒めてくれたが 達成感はない。

これからDepartment Chairmanに招かれて夕食。Chairmanも大変だと思う。

Dinnerは Tim Healeyがホストとして 僕とRob Manning がゲストとなって大学の所有する ホテルのレストランで 食事を取った。(ホテル学科があって学生はそこで研修を受ける)。話題は学科の おかれた状況(再編の話とかがあるらしい) や経済の問題(韓国のときもだが日本の経済状況が話題となっていた)、 えらく古典的な問題を研究することで変人扱いされないかといった問題 など当たり障りのない話が多く、主に残りの2人で 会話していたかな。こちらから積極的に口をはさむという感じではなかったが 時折こちらに話を振ったりしてくれたが会話のリズムがちょっと変わる感じは 否めない。


2/14:

朝電球が切れているので苦労して外してもう一回電気をいれたらヒューズが飛んだ。 (ブレーカーが落ちた)。一体どうなっているのだ。

午前中は明日の発表の準備とJenkinsとの議論。collisionによるCouple stress が消えてしまう直観的説明として回転は衝突の反転不変量だから1回微分がかかった 量は対称性から消えるというもっともらしいものを議論中に思い付く。彼はsource termに回転が現れるのに納得していないようす。 とりあえず御手洗さんの計算のチェックをすることに なった。 Couple stressに関しては秋にやった計算を高濃度に拡張するしか方法がないようだ。 すぐには出来ないからセミナーが終わったら腰を据えて計算しよう。

昼飯の際もいろいろな話がでる。ハードコアのAlder転移での川村さんの理論 (PTP 1980)を評価していた。kinetic theoryから高濃度系にアプローチする方法に know howを沢山持っている。


2/13:

朝Jenkinsがcollision originのcouple stressがゼロになることを示した論文を もってきた。一昨日の計算が間違っていなくて良かった。しかしcouple stressは 変な量だ。

昨日の日記に記した通りnon-Maxwellian termsを議論するには通常のperturbation しかない。そこで非弾性の摂動に現れる積分の評価に早速つまづく。

昼食後メインの図書館に行くがそこには物理関係の本はなかった。代わりに朝日新聞 を見つけてざっと読む。

Group Meeting. 斜面流についての議論. 底から膨潤して流れ出しているのにスリップ がないというのは確かに変だ。指摘されるまで気がつかなかった。後半はIvanaの話 だったが(strain-stress relationを確立したいのは分かったが) 今一つ具体的な目標が掴めなかった。

会議の案内。行かないだろう。


2/12:

加湿器を使ったから乾燥はまし。電気(ポットならぬ) やかんが届いたから下宿先で茶が飲める。

朝の議論でJenkinsはCouple stressがゼロになるのに納得がいかぬ様子だった。 non-Gaussianだったら残るだろう。Jenkins and Richmanや中川さんのD論が 使えないことには納得した。non-zeroのCouple stressをちゃんと導出すると 言っていたから競争になる。しかしセミナーの準備があるからな。 (しかし中川さんが学生時代はハードな理論家だったとは知らなかった。)

Louge の所で少し議論。まだ突っ込んだものにはなっていない。

午後はひたすらセミナーの準備。大体の枠組は出来た。後は手書きで概念図とか を書くことにしよう。トラペがなくなったので続きは明日。


2/11:

ようやくよく眠れたが乾燥のため粘膜が痛い。

午前中にnon Maxwellianの扱いを考えるがMoment equationではなく線形化 Boltzmann-Enskogには非可換性の効果が残るので摂動をするとかしないと いけないことに気がつく。

JenkinsがJenkins and Richmanの方法を使って計算してしまうぞ、と言うので 焦る。Grad展開を使ったあの論文はTechnical noteを取り寄せて御手洗さん と頑張ったが結局よく分からなかったので他の方法がいいのだが。とりあえず local Maxwellianでどこまで計算できるかを見てみよう。数時間の 雑な計算によると消えてしまった。

Pollackに送ったメールが返ってくる。田崎さんの祖父に「ノーベル賞を 取ってしかるべき」との評だった。


2/10:

相変わらず朝早く目が覚めて終日眠い。

洗濯をして大学に来てからキャンパスの散策をした。North CampusにあるBeebe Lakeの まわりを歩く。ここの滝もなかなかのものである。

昼を食べてそろそろ始めようかとしたらJenkinsが来る。彼は既に境界条件の計算を 始めており着々と研究が進行していることを窺わせた。日曜にも学校に来て僕と 議論をしたり学生の相手をしたり歳なのに元気なことに感心する。こちらは 昨日のノートを渡したり問題点を幾つか指摘したり(それにちゃんと答えや文献が すぐ返ってくるのはさすがである)したが、何せ体調が万全ではない。(ちょっと風邪 気味)。圧力が決まった程度か。


2/9:

またしても4時半起きだが昨晩は8時すぎには寝たので睡眠は十分。ということで 朝飯前にJenkins & Savageの問題点を整理する。この扱いはJenkins自身も語るように dense caseのみ有効でlocal Maxwellianを仮定している。しばし考えた結果分 かった。Enskog近似だと相関関数は2個の接触粒子の中間点の座標の関数になって いるから一般的に見える彼らの展開をそのまま使うとEnksog theoryと一致しない。 ということで朝にEnskog theoryの非弾性バージョンを書き直す。幸か不幸か枠組 は弾性系と変わらない。ということで輸送係数の決定に何の障害もない状況になった。 Jenkinsに言わせるとpacking 57 %まではこれでOKとのことである。その後のfrictional flowについてもアイデアがあるとのこと。また彼も境界条件の計算を始めたので うまく僕の計算とコンバインできればRapid granular flowの世界は一新する(かな?)。

10時にJenkinsが迎えに来て近郊を車で案内してくれた。大学の北に滝があるのは 昔見たから知っていたが、下の方にはより日本ではちょっとない巨大な (高さ50m位で幅もそのくらい)滝があるのには驚いた。 Cayuga lake に沿って北上し すぐ西側にも高さ100m位の滝があった。日本だったら厳当の感でも書くか観光地と して店が並ぶかしそうだが人気がない。その後、2番目に大きな (データベースによるとSeneca lakeの方が面積が大きいぞ。どちらも霞ヶ浦より ちょっと小さくサロマ湖より大きい) Finger lakesである Seneca lake を見てCayugaに戻って湖畔で昼飯。昼ご飯の話題は朝の計算とJenkinsの 計算の話。しかしよく気にかけて貰っている。

夕方より 木下 先生の処に呼ばれる。言うまでもなくQEDの大家として知られていたCornellの名誉 教授である。前にお宅におじゃましたのが76年のオリンピックの最中だったから 随分ひさしぶりであった。当時は僕よりちょっと上の秀才3姉妹におそれをなした ものだった。彼女らはその道で成功していると聞く。先生御夫妻は さすがにお年を召された感は否めない。一緒におじゃましたのは稲垣さんと ここのMaterial Science and EngineeringでAPをしている 鈴木さん。Cornellは広いようでもCampus問題があることと、会話の中で ノーベル賞を取った誰それの話題が自然にでてくるのが印象的であった。特に Chu(1997受賞) だったかの1人目の奥さんは離婚の際に「今後ノーベル賞を取ったとき、 その賞金の半分を渡すこと」という一文をつけてちゃんとその半分の額をせしめた 話とかK.G. Wilsonが奥さんのためにCornellを離れたという話 は日本ではちょっと聞けないかもしれない。しかし皆Wilsonは消えてしまったと いう評で彼への点が辛い。Betheと比べられたりしたら災難だろうとも思う。


2/8:

4時半に目が覚めた。まだ時差を感じている。

朝は学生の相手で潰れてしまった。結局どこをどう訂正したのか何も書いていない じゃないか。

昼はコロキウムのspeakerを囲む大学院生との昼食に参加。Pollackとかいう 生物物理のおじさんでともかくよく喋る。speakerを大学院生(主にM1)が囲む というのは面白いシステムだと思う。 talkそのものも過激で「セル」に 書いてあることは間違いだという内容で、自分の本を宣伝していた。それなりに 実績があって認められている人の様だが、彼の主張が本当なら面白い。

来週のコロキウムがちょっと憂鬱になる。まずは昼食の際にまくしたてることが 関門かもしれない。

計算をちょっと実行するがうまくいかない。Jenkins and Savageのlocal Maxwellian を外しても枠組はうまくいく筈なのでその様に書き直しているのだが頭が働いて いない。

その後、昨日のセミナーを発表したPhD candidate(Jenkinsと共同研究をしていて supervisorがスペインに滞在中)の発表の手直しや細かいコメント、質問をする。 昔とった杵づかということになるかな。Jenkinsの微にいり細にいった指導も印象的 であった。更にその後、境界条件について非常に短い 議論。

という感じで意外と時間がない。


2/7:

ようやくID cardとコンピューターのIDを入手。

inspect flyのWangの講義を聞こうと思ったら間に合わなかった。外から覗いた らrandom walkなんかやっていて聞く必要はなさそうだ。

Civil engineeringで混相流のセミナー。モデルは複雑(というよりむちゃくちゃ 沢山のPDEを連立している)だが、fitting parametersを極力抑えて実験を再現でき ているのはたいしたものだ。

研究も徐々に始まる。Jenkins and Savageの枠組は使えるかどうかをチェック。 どうもinelasticityがあっても基本はOKのようだ。おかしいな。何はともあれ その枠組でMicropolar fluidを導くのはそれほど難しくはない(不可能ではない、 という意味)。Jenkinsとの議論でflat boundaryはおいておいてbumpy boundary を解析することになった。理由はcollisional flowが維持できることやboundary からの反射がchaoticで流体力学が境界間際まで使えることが期待できるためである。 Steveのchute flowの実験装置も見る。


2/6:

時差のせいか3時半に目が覚める。御蔭で眠くて仕事にならない。Jenkinsの議論を 検討しているとますます眠くなる。

落丁と思ったのは気のせい。学生食堂で巨大な鳥の足がでてきて食べ切れなかった。 値段と量を落してくれ。

Group meeting. 英語の下手さを自覚。

タイ料理屋でWelcome party. M.Louge夫妻とKeastとJenkinsの学生達が参加。 おいしかった。Micheal は夏に日本に来るとのこと。


2/5:

氷点下15°くらいでさすがに寒い。しかし昨日みたいな風や雪がないだけまし。

昼前にCornell Storesに行く。買った本が落丁であることに気づく。明日交換して 貰おう。

昼はJenkinsとS. KeastにIthaca CollegeのTower restrantに連れて行って貰う。 Ithacaの町やCornell大、 Cayuga lake が一望でき眺望は最高。その後、 Jenkinsと何をやるか議論。やはりMicropolar fluidが有効かどうかと回転がある 場合の境界層をどう扱うかに集中しようということに合意した。勿論彼の立場は Micropolarは不要で境界条件にくりこめばいいというものであって彼の昔の論文を 貰う。それから稲垣さんとDavid Yoonと(昨日行った)香港で晩飯。食後は時差の せいか眠くなる。まだ研究が始まったという感じではない。


2/4:

朝食は非常にいいものだった。これが代金に含まれるのであれば是非とも食べない といけない。ここに宿泊している人と大家のSusanと一緒に食事を取った。

paper work. International student officeはうまくいく。securityをJCB cardで 行う点も問題なかった。一方で図書館のIDの発行はうまくいかず。computer account が発行されるまでお預け。雪が降って寒い。

昼は稲垣さんとJenkinsの学生(Korean-Canadian)と取る。Vetonamian restrant. 味は日本人向。 彼はM1で kinetic theoryを勉強し始めたところらしい。彼女がいるので他の人と 馴染む点も含めていろいろと助かる。一方でJenkinsの学生、PDFが少ない点に驚く。 稲垣さんの他にはM1(もう一人は女性。稲垣さんが自動翻訳機にかけた僕のDEM note を勉強しているとのこと。またTriesteに来ていたらしい。 )が2人しかいない。

朝から暫くして雪が降り出し、昼過ぎには吹雪になった。やはり寒い。

Computer IDも取れず(昼前に稲垣さんのIDを使ってmail checkを簡単にしたが 不充分 )研究を始めるには時差と寝不足で眠い。また吹雪で探索や買物には適さない のでどうしようかと思っていたところでJenkinsが送ってくれると言ったので それに乗って下宿で仮眠をとる。夕食は香港(Chinese fast food). 安くて味も OK。ちょっと買物をして戻る。


2/3:

長い一日。午前は新宮神社にお参りしたり本屋に行ったり。京都駅では知志 が別れを惜しみ涙目になっていた。

空港ではsecurity checkが厳しくなっていた。2回靴を脱ぐはめになったし、 コンピューターは毎回のようにチェックしていた。40でこの風体では不審人物 に見えるのは仕方がない。しかし余計に疲れる。

Flightでは乗り継ぎの時間が長く、同じ目的地に行くもう一つ早い便を指をくわえて 見送る他はなかったのが2回。(気をもんでいた)荷物は先にIthacaに着いていた。

到着は深夜であったがIthacaはそれほど寒くはなかった。Jenkinsと稲垣さんが 迎えにくる。住居は普通の民家を下宿用に改造したもの。場所 は大学のごく近くだが台所もないし冷蔵庫もない。いろいろ考えて いるうちに時差と暑さと乾燥のせいもあって眠れなくなった。


2/1:

金君の論文を投稿。Preprint.

落ち着かないので何もできない。

来年、初めて4年生の卒研を指導することになった。

お、今日で40歳ではないか。四十にして惑わず、か。迷ってばっかりだが。