概要
課題名 | 宇宙論的非線形・非摂動重力現象の研究 |
種別 | 日本学術振興会 科学研究費補助金 基盤研究(A) |
課題番号 | 21244033 |
採択年度 | 2009年度~2013年度 |
研究機関 | 京都大学 基礎物理学研究所 |
研究の目的
最近の様々な宇宙論的観測が「標準宇宙模型」と矛盾がないという意味で宇宙論は大きな成功を とげており、今後も精密宇宙論における観測の進展が期待されている。その一方で、宇宙の主な 構成要素であるダークエネルギー、ダークマターが何であるのかは大きな謎として残っている。 これらの議論の基礎である一般相対論は、すばらしい成功をおさめてきた。しかし、観測・実験 との直接比較という観点では中性子星まわりの弱い非線形重力を除くと線形近似の範囲における 精密検証がなされてきたに過ぎない。一様等方宇宙模型における一般相対論の成功も、 ダークマターやダークエネルギーの存在を仮定した上で成り立つものであり、 一般相対論の強い観測的証拠とは言い難い側面がある。しかし、今後の宇宙背景放射や重力波などの 観測における進展が非線形重力効果を実際に観測と比較可能なものにすると期待されている。 その意味で、重力の非線形性に関する研究は非常に重要な局面にある。
こうした現状を踏まえて、本研究においては、重力の非線形性に注目し、相対論的・観測的宇宙論における重要課題について、堅実かつ系統的に今後の研究の土台となる理論研究を発展させることが目的である。具体的には
(1)インフレーションモデルにおける非線形ゆらぎの生成
(2)拡張された重力理論からの観測可能量に対する予言
という二つのテーマを軸に、重力の非線形性について一段深い理解を得、以後の研究の土台となり、観測との比較にまで結びつく理論の枠組みの確立を目指す。