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[sansha-ctr 90] 基研への援助申請の問題



sansha-ctrメンバーの皆様

  非常に急な連絡で申し訳ありませんが、基研の独立行政法人化に伴う問題に
関して報告をさせて頂きます。

  [sg-l 1536]をはじめとする一連のメールで既に議論されておりますように、
独立行政法人化の影響に伴って今後の基研をはじめとする研究所からの援助申
請の見通しが非常に不透明になることが予測されます。具体的な問題点につき
ましては、[sg-l 1536]の記述に譲りますが、基研のスタッフの方に昨日直接
お会いして話をうかがいましたところ、三者若手夏の学校の基研への援助申請
についての状況は以下のとおりであることがわかりました。

  ・2003年1月の基研研究部員会議については、既に従来どおり行なわれるこ
    とが確定しており、若手夏の学校など、諸々の研究会に対する予算も
    2002年と同程度の規模で確保されております。従って、2003年の基研への
    援助申請は従来どおりできるものと予測されます。

  ・しかしながら、2004年度以降につきましては、夏の学校などの諸々の研究
    会への援助の金額の削減、それ以前に現在ある制度の存続そのものからし
    てわからない、非常に見通しの不透明な状況にあります。

  従いまして、2002年度三者センター校京都大学と致しましては、
この問題に関して次期三者センター校である筑波大学様と議論をしたうえで、
夏の学校の三者総会の議案を見直したいと考えております。  

  議案書締切後に勝手を言って誠に申し訳ありませんが、非常に緊急かつ重要
な問題であることから議案書について再度見直しをさせて頂くことを何卒ご容
赦下さい。

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 京都大学大学院 理学研究科 物理学第二教室 素粒子論研究室 博士課程2年   
                                      東  武大                        
  Website: http://www-gauge.scphys.kyoto-u.ac.jp/~azuma/index.html    
                         E-mail: azuma @ gauge.scphys.kyoto-u.ac.jp     
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[sg-l 1536]を引用する


素粒子論Gの皆様

文科省による大学附置の全国共同利用研究所の見直し案
に関連して、基礎物理学研究所をとりまく環境は
急速に変化をはじめています。
7月4日、5日に行われた基研研究部員会議では
それについての詳しい説明があり、今週に入って
数研ー経済研との統合などに関する状況の変化も
生じています。
基研研究部員会議議長団としては、基研に関係する方々に
広く現状を知って頂き、研究部員を通じて意見を吸い上げて
いく事が急務であると考え、ニ宮さんが本日まとめられた
現状報告を以下に添付させて頂きました。
ご意見ありましたら、以下の議長団、sg-l, ntj-lなどの
メーリングリスト、研究部員などを通じてお寄せ下さい。

研究部員会議議長団
 初田哲男(hatsuda @ phys.s.u-tokyo.ac.jp)
 寺尾治彦(terao @ hep.s.kanazawa-u.ac.jp)
 三宅和正(現在出張中)
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基礎物理学研究所研究部員会議
議長団各位

先日(7月4日、5日)の研究部員会議におきましては、文科省による大学附置の
全国共同利用研究所の見直し案(文科省は再定義と記しています)を益川所長
並びに二宮独法化ワークシート委員長より詳しく説明を致しました。
今週に入り、独法化後の基研の地位にとって重要且つ緊急に決断を要する事案が
生じました。その事案を先ず所員会議において検討し、所員の総意で所員会議
としての態度は決めました。しかし基研の運営方式では、研究部員会議が基研の
運営方針等に関する一切の決定権を有し、研究部員会議が閉会中の期間は議長団が
責任を有する、一方、所は研究部員会議の決定を忠実に実行するという形に
なっております。今回の重要議案について所員会の態度をご連絡しますので、
申し訳ないのですが所としての態度表明の期限(来週7月22日(月))までに
研究部員会議としての決定を行って頂くようお願い申し上げます。
重要事案ですので少し長くなりますが、是非最後までお読み頂いてご判断下さる
ようお願い致します。

1.背景

独法化後の全国共同利用研は、文科省案では研究所の教官数に応じ、
Aタイプ(教官172人)、Bタイプ(164人)・・・Eタイプ(30人)に分類してあります。
今後、各大学附置研がどのタイプにはいるかは、文科省科学技術審議会学術分科会
(付置研究所分)特別委員会において審議が行われ、秋までに決まる予定です。
一方、教官数が30人未満の研究所は、各大学の学内措置の研究所として
Fタイプ(28人)Gタイプ(14人)・・・Jタイプ(2人)に分類してあります。
全国共同利用研と学内研の違いは、前者は所属大学を通じて配分される経常経費に
加え、員等旅費等の共同利用経費が文科省から直接配分されるが、
後者の学内研は大学から配分される資金のみで運営するという点にあります。

2.基研の状況

基研は所員23名ですから独法化後は全国共同利用研のタイプに入らず、
京都大学の学内措置の研究所のF又はGタイプとなります。
そのため、基研の教官数が何とか30名以上になるよう益川所長を先頭にあらゆる
方策を検討して参りました。その方策として他の研究所との統合が考えられます。
学内の研究所で、基研と統合し得る研究所は、研究領域が一部(数理物理学)
交流のある数理解析研究所と考えるのが最も自然で且つ唯一の所です。
そこで、6月の数研の協議員会に出席した益川所長から、数研に基研との統合の
意志があるかどうかお考え頂きたい、との申し入れを致しました。
その後数研では教授会を開催し、この件を検討し、柏原数研所長から益川所長に
電話にて、両研究所のみの統合は全く考えない、との回答がありました。
数研は教官数44名で全国共同利用研のDタイプになると予想され、
他の研究所と統合する理由は何らかの内在的なこと以外ありません。

3.重要かつ大至急7月22日までに決定すべき事案

今週月曜日(7月15日)に数研の柏原数研所長より、益川所長に次のような案の
申し入れがありました。「数研としては、数研と基研との2研究所の統合は
全く考えないことは、以前に返答したとおりである。しかし、新たに次の提案を
したい。現在国立大学附置研究所であるが全国共同利用研究所でない
経済研究所(教官数24名)を含めて、数研−経済研−基研の統合ならば、
話し合いの場についてもよい」
京大においては、総長、副学長(2名)総長特別補佐(3名)が本部
(あるいは執行部)を構成し、各部局への指示・指導などは一切ない運営形態で、
各部局が独自の意志で行動しています。今回の数研からの提案に関しては、
本部の金田副学長が3者の話し合いの席をご好意で設けて下さるそうです。
但し、諸々の手続きの関係上、7月22日(月曜日)中に基研は、この案に賛成して
話し合いの席に着くかどうか返答しなければなりません。ここでご注意願いたいのは、
今回の件については一度話し合いの席について、曖昧な態度で結論を引き延ばす
ような政治的なふるまいは許されません。話し合いの席に着く場合には、
真剣に統合に向けて席に着く覚悟が必要です。

4.所員会での討論と結論

この数研−経済研と基研の3研究所統合案について、7月15日の所員会において
慎重かつ熱心に討議をしました。結論として、今回の統合案はお断りする、
ということが全会一致で決まりました。討論内容の主なものでこの報告書に
記すことのできるのは以下に記します。

4−1.運営形態が比較的似通っている数研−経済研(合計68名)と基研(23名)
        とではあまりに共同利用研としての運営形態が異なり、基研の
        自主的運営が損なわれる。
4−2.3研究所が外見上1つとなって、内では3部門的に自主運営を行うことは
        実際上無理である。
4−3.数研−経済研は、比較的研究上の交流もあり、共同研究著作もある
        くらいである。一方基研と経済研は今日まで全く交流がない。
4−4.これまで基研が素粒子論・核理論・宇宙物理学(理論)・物性論の
        全国的コミュニティーにおいて果たしてきた役割、活動を推進することが
        上記1,2の理由に関連して難しくなる。
4−5.むしろ、省令に記載されない学内研究所になっても、外部資金等
       (科研費等)により、共同利用活動はこれまでよりは規模は小さくなるが
        努力すれば遂行できる。
4−6.国際交流の拠点としての活動は今後一層活発にすることも可能である。
4−7.教官数30名の条件を満たしていなくても、共同利用活動と国際交流拠点
        としての役割を評価されれば、全国共同利用の附置研究所として選定される
        こともあるかもしれないので、この可能性を全力を挙げて追求する。
4−8.独法化後6年を経て第1期は終了し、文科省によって全国共同利用研の
        見直しが予定されている。その時、基研が省令に載っていないのは
        国内的にも国際的にも全くおかしい、と思われるようにこれから
        基研は努力しよう、と全所員は決意を新たにした。

繰り返しますが、文章にして全国にe-mail等で流しうる討論内容は以上です。
以上のような議論を行い、所員会としては、全会一致で数研−経済研−基研の
3研究所統合案の話し合いの席に着くことをお断りする、という結論となりました。

5.今後の基研のとるべき方策

研究部員会議の席上でも強調されましたが、文科省は秋には省令による大学附置研と
学内措置による研究所とに分類を決めます。
(なお、大学附置研(現在58研究所)のいくつか(現在19研究所)が
全国共同利用研で、残りは経済研のように全国共同利用研でありません。)
その期限までに考え得るあらゆる方策を模索するつもりです。しかしこれらの方策は
公開してしまうと実現の可能性はなくなりかねませんので所長一任と願います。
又、文科省案に対する対案は、京大の研究所長会議からすでに文科省に提出しました。
そこでは多岐にわたり研究者の考えから出る案が出ています。
例えば大学附置研は教官数30以上というのは一見合理的だが研究内容を精査して
決めるべきだ、等。最後になりますが、今回の数研−経済研−基研の3研究所統合案が
、文科省の大学附置研の再定義をクリアーする唯一の案でなく、いくつかの他の案も
あり得ます。これからも益川所長を先頭に全力を尽くし、クリアーできる道を
探ります。
なお独法化における研究所に関する問題は、7月4−5日の研究部員会議議事録に
詳細な資料と共に記載されています。議事録は大至急作成中で来週中には
研究部員の皆様に配布できますのでご覧下さい。

京大基研所員会議
(文責 二宮正夫)