1999年 夏の学校素粒子パート研究会(場の理論)
Talkの概要

Index:[橘 基さん] [永谷 幸則さん] [新田 宗土さん] [鶴丸 豊広さん] [野秋 淳一さん]
Talker: 橘 基さん(京大基研;PD)
Title: 「異次元空間で超対称性を破る」
Abstract:
ここでは超対称性(supersymmetry)を自発的に破る 全く新しいメカニズムを提唱します。キーワード は「異次元」(extra dimensions)で、そこでの 空間のトポロジーが大変重要な役目を果たします。 あなたは異次元空間の存在を信じますか?

Talker: 永谷 幸則さん(京大基研;PD)
Title: 「我々はブラックホールから生まれたか?:ブラックホール外部構造と宇宙のバリオン数の起源」
Abstract:
標準模型の真空を背景としてミニ・ブラックホールのホーキング輻射を考えると、 ブラックホールを取り囲む電弱ドメイン壁が出現することを示します。

この電弱ドメイン壁にCPを破る位相があると、サハロフの3条件が満たされ、 ブラックホール質量とCPを破る位相に比例したバリオン数が生成することを示 します。

さらに、宇宙初期において質量が数百キログラムのブラックホールが支配的で あったと仮定すると、我々の宇宙のバリオン数の起源となり得る事を示します。


Talker: 新田 宗土さん(阪大理;D3)
Title: 「超対称理論における大域的対称性の破れ」
Abstract:
N=1の超対称性がある理論の低エネルギー有効理論は、 一般に非線形シグマ模型で記述される。
そのターゲット空間は、K"ahler多様体となっているので、 K"ahlerポテンシャルを決めると有効理論は決定される。
このトークでは、大域的対称性が自発的に破れる理論での、 非線形表現によるK"ahlerポテンシャルの構成法と、 その幾何学的意味を解説する。

Talker: 鶴丸 豊広さん(KEK田無)
Title: 「 O(3) 非線形シグマ模型のトポロジカル項について」
Abstract:
1+1次元及び2+1次元の O(3) 非線形シグマ模型 (NSM) を、群 SU(2) の元を変数として持つゲージ理論として扱い、それぞれのトポ ロジカル項について再考察する。

まず2+1次元のトポロジカル項であるホップ項を考え、この項がソリトン数 が零の配位以外では唯一には定義出来ないことを示す。

十分遠方にある静止した反ソリトンを仮定することによりソリトン数がいつで も零にできることに着目し、その下でホップ項の値が物理的にも数学的にも唯 一に定義できることを示す。

次に1+1次元の O(3) NSM の持つソリトン項が、ヤン・ミルズ理論のテー タ項と同様に、大域的ゲージ変換のユニタリ表現のに相当するものとして現れ ることを議論する。


Talker: 野秋 淳一さん(筑波大理;D2)
Title: 「Domain-wall フェルミオンを用いた格子QCD」
Abstract:
格子場の理論では、「格子上のフェルミオンの定式化」がひとつのネックです。
ごく最近、domain-wallとよばれる定式化によって、これまで頭を痛めていた困難の いくつかが解消されることがわかり、新しい定式化として有望視されています。
今回のトークでは格子場の理論の基礎的な入門から始めて、"domain-wall QCD" の なんたるかを解説し、最後に現在筑波大学のグループによって行なわれている 数値シミュレーションの結果を紹介します。

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