現在実験を通じて知られている力の種類は4つあり、 そのうち電磁力、弱い力、強い力の3つは標準模型によ って統一的に記述することができる。この標準模型は 場の理論の枠組みの中で構成されており、quark、lepton、gauge boson、Higgs bosonといった粒子が登場する。一方、残る重力ま で含めた統一理論は、場の理論ではなく超弦理論で記述 されると期待されている。超弦理論に登場するのはstring、 D-braneといった高次元に拡がった物体であり、特にD-brane に関してはそれが拡がっている時空上での場の理論を考え ることができる。今回は特にD2-braneと呼ばれる空間2次元 に拡がった膜状の物体に関して、その膜上での(1+2)次元の 場の理論との対応を通じた考察を行う。具体的にはD2-brane と反D2-braneが完全に重なった配位を用意し、この配位に 存在するstringのsupectrumを調べることで、D2-反D2上の(1+2) 次元の場の理論に登場する粒子を予測する。結果はアーベリアン ヒッグス模型と呼ばれるものになり、この模型を使ってD2-brane と反D2-braneの対消滅のメカニズムを調べてみる。
ここ1年ほど、超対称性のない QCD を解析する 手段として type 0 の超弦理論が注目されている。 この理論と type II 超弦理論の間の双対性について、 brane の configuration がどのように変換されるかに 注目しながら説明する
ここでは、M 理論および 超弦理論の非摂動的定義の候補である 行列理論のうち、タイプ IIA および IIB 弦理論を記述する行列模型 を考えます。タイプ IIA 弦理論は、2次元超対称ゲージ理論であらわされます(以下、 IIA Matrix String Theory と呼びます。) タイプ IIB 弦理論には、2つの異なった非摂動的定義があり、 一つは 0次元超対称ゲージ理論であらわされるもの(IKKT model)で、 もう一つは 3次元超対称ゲージ理論であらわされるもの(IIB Matrix String Theory)です。
ここでは、IIA および IIB Matrix String Theory について、これらの理論を 位相的場の理論に書きかえることにより、分配関数を厳密に計算します。 結果は、IIA Matrix String Theory については、以前 Kostov-Vanhove らによって 得られた低エネルギー極限での表式と一致していることがわかりました。 したがって、この結果は彼らの予想した exact quesi classics の証明を 与えていることになります。
また IIB Matrix String Theory については、Moore-Nekrasov-Shatashvili らによ るIKKT model の分配関数の厳密な結果と一致していることがわかりました。
今後、IIB 弦理論をあらわすこれら二つの行列模型の間の関係を更に調べることは、 Lorentz 不変性と S-duality 不変性を明白に持つ新たな模型を構築する際に 役立つと思われます。
Schild型弦の作用は1970年、A.Schildによって考案された作用であり、弦理論の様々な分野で使われている興味深い作用である。 ここではSchild型弦の作用に焦点を当て、 その作用に関する話題と作用の2次元面上での超対称化の試みについて述べる。我々はSchild型作用のポアソン括弧構造に重点を置き、その構造を保ちながら作用の 超対称化を試みた。現在、弦の理論では2次元と10次元上でのポリヤコフ型作用の超対 称化と10次元上での南部-後藤型作用とSchild型作用の超対称化が成されている。
しかしながら2次元面上で南部-後藤型作用とSchild型作用の超対称化は成されて いない。 まず、最初にSchild型作用を2次元World-Sheet上で大局的な超対称性を持つ 作用に拡張することを考え、いくつかの変形を行った。 次にSchild型作用を 2次元World-Sheet上で局所的な超対称性を持つ作用に拡張することも考え、 Neveu-Schwartz-Ramond型作用の2次元超対称化で使われるSupervierbeinを使って 作用を変形した。 その変形の結果について考察する。
1994年の Seiberg-Witten の論文により、N=2 SU(2) 超対称ゲージ理論の 厳密解が得られたことは我々の記憶に新しい。それ以来、その他のゲージ群や 種々の表現に属する物質場を持った理論への拡張が、多くの研究者によって 盛んに試みられている。このような拡張を行う際に有効な手法は数多く存在するが、 その中でも最も系統的かつ一般的なものは、いわゆる ``Geometric Engineering'' と呼ばれるものであろう。ここでは、Geometric Engineering による N=2 超対称ゲージ理論の解析についての簡単な解説を行う。また、最近筆者によって 得られた、N=2 SO(2N) 超対称ゲージ理論についての新しい結果についても 触れる予定である。