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12月
安定性の議論は今のままではナンセンスだ。ということで原稿書きの筆が止まる。
全面的にカットするか。
講義は懸念していた通りに進む。飛行機が飛ぶネタで一回持たず。スケーリングとか
翼面荷重の話まで済んでしまった。天体の話は阪上さんがやってしまったので、
残りをどうするか思案のしどころである。
月曜はよくつぶれるので講義がやや駆け足だった。鏡像法をあれで分かってくれる
とは思えない。
11月末〆切の原稿を書き始める。
日曜であるが会議は続く。Huddsonの実験は蔵本さんが理論で描いていた世界をきれい
に再現していた。蔵本さんは講演で新たな研究に意欲的なところを示していた。
昼食を佐野さん、Shwalter, Knblochと取って終り。今回の会議はちょっと興味の
中心からずれていたし、会議と講義で4つも聴けなかったのだが、ポスターが97も
あり若い人達の元気な様子が印象的だった。
年賀状の印刷。
Roesslerの講演がキャンセルになったので田中ダンと原田の両君の口頭講演が
入ったが、両方ともポスターとは別内容の興味深い研究を紹介し、堂々たる
ものだった。前途揚々といったところか。
午後は昨晩におおまかな道筋をつけた4/3の計算を終了させる。とりあえず
1-domainの場合は出来た。multi-domainsの場合も出来ると終了。
1コマ目に授業を済ましてOCNNに参加。昼はC.K.Chanと佐野さんと一緒に議論を
しながら食事を取る。面白い実験だと思う。講演はあまり趣味が合わない。
ポスターを幾つか聴く。それなりにレベルの高い研究がある。SSTの議論もしたが
噛み合わず。Prefect μwallの可能性を否定しない限りSSTは否定できないの
一点ばりでバカバカしくなる。そもそもSSTに有利な証拠は一つとしてないし、
不利な状況証拠はいくらでもあるのに、そんなおよそ科学的とは思えない議論を
しても不毛だろう。
OCNN2004に参加。と言っても午前後ろの方で聞いていただけ。反応拡散系の話は
それなりに面白く活発な議論があったが、積極的に絡んで行きたいとは思わない。
昼から教育委員会の会議に出席(時間を間違えて遅刻)。それから戻ると2つ講演が
終っていて午後はポスターのみになってしまった。ポスターセッションは1時間半
程真面目にやって後は立ち話。他のを聞くのを忘れた。
物理学会での領域11のシンポジウム(佐々のイントロ、僕の他、伊藤伸、笹本、田崎
の各氏の講演)が採択される。反SSTの話をするともめるかな。
4/3ではなくて5/3になってしまった。おかしいな。
高田さんのセミナー。運動論の基礎的なところから始めて最先端の話までうまく
まとめていた。緻密な準備をされていたので境界条件を含めてポイントがよく
分かった。歴史を踏まえた研究には重みがある。
卒研。ようやく論文を読み終る。しかしもう時間がなく、未だに方法論やゴールが
見えて来ない。今年はここ2年みたいに
順調にいっていない。
固有値の対応が面倒。むしろスペクトルの問題の方が簡単そうだというので計算。
運動論で線形解はようやく求まった。後は固有値。
京大の11月祭に久しぶりに行く。しかしあまり見る所がない。
午前に議論。重力の影響を排除したshearがやはり重要だろうという話になる。境界
条件は問題。更に定常から非定常に分岐してstick-slipになって止まるところまで
考える必要がある。
朝1コマ目から授業。鏡像法の話をする。省略して結果を書いたところがちょっと
変だったかもしれない。
その後、研究会に参加。プロジェクターが落ちまくって、おまけに代わりの
プロジェクターとノートパソコンの相性が最悪だった。結局、USBで他のマシンに
移しての講演になった。僕の講演に関する質問では
Mattitusが完全に誤解していたことになかなか気がつかず応対に苦労した。松下さん
には良い質問を貰った。その点は真面目に考えないといけない。他の講演では小林さん
の講演から量子渦乱流の最近の発展が分かり、なかなか良かった。
午後、辰己君と議論。講演で聞き洩らした詳細とガス系の実験について話し合う。
少なくともガス系のshear viscosityが直接計測可能であることが分かったのは
大きな収穫だった。
朝、学校に行くと辰巳君がセミナー室で寝ていた。いろいろ雑務を済ます。
午前の途中から研究会に参加。内田君の話はモデル化=>シミュレーションという
流れで、結果の解釈までもっと議論できればと思った。粟津君の話は相変わらず
ユニークだが、本当に意味があるかはまだ判断できない。辰己君の粉体上の転がり
の話はなかなか面白い。ミクロプロセスが見えて来るともっと面白い。狐崎さんの
バクテリアの理論解析はありがちなモデルに落していたけど、しっかりした解析
で現象論としては上出来の部類か。鈴木さんの長距離相互作用系の安定性に
関する議論は丁寧な解析で好感を持ったのだが、本人は双極子系に興味が移っている
ようでやや残念である。
懇親会に参加した。馬鹿?話が盛り上がり、珍しく二次会に参加。
シュレディンガー音頭を久しぶりに堪能した。家に帰ると午前様(1時近く)だった。
午前御手洗セミナー。御手洗流の鮮やかな切口が印象的。kinetic theoryがかくも
うまくいくというのは驚くべきことである。層をなして流れているという描像は
正しくなく、むしろ相関を壊しながら流れているというべきか。
研究会。(本では見ていたけど)河村さんの砂丘のシミュレーションは文句のつけよう
がない。横山さんの噴流火炎のモデルは複雑すぎるが、湯川さんのは単純すぎ(いつも
の伸泰ワールド)。山崎さんの講演では私のやり残したことの扱いに不満が残る。
家に帰って4/3乗則の計算。今度はすんなり解けそうだが、時間切れ。
スライドが沢山あったので1コマは楽勝で持つと思ったのだが、絵は早く進むので
時間が余って焦る。
ノート作り。時間がかかる。
来年度の集中講義を田崎秀一さんに依頼する。
西野君のSST仕様のシミュレーションの結果(その2)。先週の予想通り熱流の一次で
決まる様だ。温度勾配の向きによって圧力の大小が異なる。もともと壁に沿っての
熱流の効果でそうなると予想していたのだが、そのあたりは微妙。むしろKnudsen効果
での有効温度が勾配によって変わることの方が効いているかもしれない。
光藤君の発表練習。
来週の授業は11月祭でお休み。そのため急拠、レポートの提出期限を一週間遅らす
ことになった。
輸送係数を求める公式の枠組。
授業に國仲君との議論に会議。年を明けたらいろいろ事務的な仕事が多そう。忘れない
ために列挙しておいた。
COE-PDFの研究成果発表会。折しも論文がEPLにacceptされたばかりの
Xuさんの発表のスライドは格段に良くなっていたが、
質疑応答はもう一つだった。それに続く3つの内容はいずれも異方性をもった
超伝導絡みで活発な質疑応答があり圧倒された。
夕方はCOE-PDFのパーティー。最後の方は腹が出たの、生え際が後退しただのといった
おっさん臭い話になった。
上田君のセミナー。今まで2回の話は崩壊していたが、今回のはまともだった。
格子熱伝導で分布関数の非ガウス性を数値的に調べる話。(相互作用)
ポテンシャルが非対称であれば分布が非対称になる。
熱浴の影響も然り。問題は熱浴の選択によってバルク分布関数の対称性に影響を
与えるかということ。影響はないと思うが、あったらちょっと驚く。
考えてみると偶関数なのに熱流があるというのは不思議なことだ。
卒研は先が見えない。
クリスマスの夜に泊り込んで教務の会議をするという信じられないような話に
巻き込まれてしまった。
授業準備に馬鹿みたいに時間がかかる。パワーポイントに移しても今年で終りだと
思うと意味がないのだが、それだけ尚更準備に時間をかけてしまう皮肉。その割に
授業に反応がないので余計に疲れる。
光藤君と議論。
ようやくちょっと前進か。全く牛歩戦術をわざと取っているみたい。
SST仕様のシミュレーション。(まだ不定要因が多いが)
どうやら温度勾配の1次で決まるような感じだ。
就職話を聞く。
木曜の発表会のためにXuさんが練習を行うが、焦点がぼけていた。もともと聴衆が
中途半端で難しい発表会であるが、現状では駄目だろう。
SST論文についてのコメント:
ようやくSSTの長い論文が出た。大変な労作であって、著者の努力には頭が下がる。
またくどい位の詳細な記述と(少なくとも現在の)同様な試みとの比較検討もなされ
ており、著者の狙いがより明確になったと言える。
しかし、言うまでもないことであるが著者の主張には賛成できない。
SSTの一番の問題点は非平衡定常状態が
あるか否かではなく、系を分割して接触させようとする点にある。正直な所、
著者達が何故、系を分割、結合をしたがるのか理解に苦しむのだが、操作論的
熱力学の構成のためには必要不可欠な操作なのだそうだ。しかしそこに最大の
弱点とずるさが入り込んでしまっている。
その弱点とはperfect μ-wallとかperfect p-wallというおよそ科学論文に相応しく
ない無定義用語を導入して、分割をしても系の性質は変わらないとしている点に
尽きる。更に「ずるい」のは我々の論文を引用する際にFIOがあった例とし、更に
perfect μ-wallではないからSSTによるMaxwell relationと整合しないことは
問題ではないという書き方をした点である。
ところで非平衡定常熱力学において熱流に垂直に置いた壁(或はずりに平行な壁)を
持って来る必然性があるのであろうか?Derrida-Lebowitz-Speerや最近のASEP等の
研究が示していることは、(詳細釣合を破ったモデルを用いて)境界条件によって
駆動される流れが非ガウス的な定常状態を作り、それが分配関数で記述されること
である。勿論、特殊なモデルの結果を一般的に論じることはできないし、それらを
変分法(或は母関数)を用いて記述する必然性もない。しかしそれは可能なアプローチ
であることは認めざるを得ない。その場合には勿論、境界条件によって流れが
決まり、そのことによって分配関数が決まっている。
翻ってBoltzmann gasの場合も流れがあって安定な定常状態が存在する。従って
その定常状態を熱流ベースに記述することは可能であるし、実際、我々が求めた
陽な分布関数は熱流の関数となっている。この解は壁の影響がない限り正しい。
しかし一旦、壁を流れに垂直に設定してしまうと上流側はせき止められ、下流側は
流れが枯渇する。いくら定常的に流しておいたとしても壁(=ダム)がない流れと
すっかり様相が変わる。おそらくはperfect μ-wallというのはダム(壁)があっても
その影響が流れに及ぼさないものなのだろうが、その実現は極めて難しいと思う。
例えば1次元格子熱伝導は長い歴史がある研究テーマであるが、まさに温度差を
与えた時の伝導状態を議論しており、途中に熱源をつけたり、外したりしたら
結果が大きく変わる。
我々が定常状態として興味があるのが、ダム(壁)によって流量をコントロールした
操作にあるのか、それとも上流と下流にダム(壁)があったとしても一定の流量がある
中流の状況なのかを明確にする必要がある。少なくとも私や多くの人の
興味は流れがあるときの定常状態ではなかろうか?
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10月
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