日記 (7月)


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主な予定

  1. 7/1: 科目会議
  2. 7/15-17 基研研究会「ソフトマターの物理学」
  3. 7/18 M. Louge's seminar and mini-workshop
  4. 7/23-25 流体力学会
  5. 7/31 夏の学校
  6. 9/29-10/25 Dresden (参加は未定).
  7. 全然終らない本1(〆切はとっくにすぎた)
  8. 全然終らない本2(〆切はとっくにすぎた)

8月


7/31:

気が重い中、東京へ。

講義は前半は絵とかWebから拾ってきたmovieとかを見せている分には学生が熱心に 聴き質問も沢山あったが、式の入った理論解析になると一挙に沈黙してしまった。 粉体の親しみやすさと裏腹の数理構造の面白さにはあまり興味がないのは仕方がない か。理論物理の対象としては各現象に応じて別の道具が必要なのが弱点。一点だけに しぼって詳しく解説するというのはこういったgeneral audienceを前にすると難しい。 後半はやはり理論の素養がいるので先週の東北大でのセミナーとはレスポンスが大い に違った。大槻君を除いてはfollow出来ていないように見受けた。

懇親会では坂東さんと話した他、いろいろな学生が話しに来てくれたので楽しく 過ごすことができた。校長は長身でさっそうとした感じの女性であった。量子ホール 効果が専門であるにも拘らず僕の講義を聴きに来ていた。彼女は おそらく本郷に統計力学の研究室があったらそこに進学していただろうと思う。 それだけに本郷の状態に改善が見られないのは残念である。


7/30:

那須野さん急逝の報が昼前に入る。明後日学習院に訪問して議論する予定だっただけ に驚く。急拠行き先が告別式になるというのは何たる皮肉。

那須野さんとは学生時代から同分野のよしみで親交があった。彼が助手として赴任 してきたばかりの頃に小川君と一緒に甲斐さんの研究室を訪ね、用もないのに(単身者 なのに何故かもっていた)彼の家に一泊させて頂いたこともある。勿論現代物理最前線 でご一緒に原稿を書く機会があったのは今となっては本当によかったと思う。

那須野さんの個人的な親交を抜きにしても彼の逝去は非平衡物理全体での 損失だと思う。佐野さんが生物指向を明確に打ち出し、更に上の世代は もう実質引退している状態できちんとした実験が出来る人は彼をおいて他に なかった。また粉体物理という狭い分野で見たときに彼は唯一無二の 人であり、今まで電気系の教室にいたがために粉体を突っ込んで実験できなか った環境から開放された矢先での逝去は残念という他はない。

夏の学校の準備も何かふっ飛んでしまった。後半は先週の仙台のセミナーそのまま を使い回すことにする。

草刈り。汗だらけになった。着替えを用意してよかった。

今月は追悼の話が多くなったがDaniel Hongの追悼文も書いておこう。

Daniel C. Hong, a friend of mine, has passed away on 07/06/02. He had been recovering from the surgery but he had a sudden heart attack that morning.

He got Master of Science 1981 from Seoul National University, then moved to the US. He received PhD from Boston University under the supervision of H.Gene Stanley in 1985. He spent several years as a Postdoc at ITP (Santa-Barbara) and Emory (Atlanta) and became an Assistant Professor of Lehigh University in 1988. He was promoted to be a professor in 2000.

His early career began with fractals and polymer physics. His interest shifted to pattern formation, fracture mechanics and finally reached granular physics (including traffic flows). The characteristic of his research is that he is inspired by physical intuition and later he confirms the intuition by analytic calculation and numerical simulation. His intuition is supported by his wide cultural background, and his idea is easily acceptable for nonspecialists. For example, his recent research on adiabatic growth of Popcorn was reviewed by many places including Boston Globe, and Nature. His papers on Reverse Brazil nuts (with Stefan Luding), and on Fermi analogy in vibrating beds (with myself) are also introduced in many places.

He and his family were very religious. He and his friends bought a small house and reformed it as a small chapel. It is used for a guest house for those who visit his place. Actually I spent a couple of days during my last visit to Lehigh University last March. He was a very frank, kind and friendly person. When I stayed at University of Illinois at 1994, I suddenly received an e-mail from him. (This initiation was arranged by Y-h. Taguchi. ) After this mail, we communicated frequently as if we were real brothers. We have published several papers together, which are best-known among my papers.

It seems that he was always bothered by his health problem. He told me that he was in bed in 1993 or 94. When I met him at Trieste last summer, I was shocked that his face had been changed. Last December, he became seriously ill after his paricipation in Gene Stanley's 60th birthday celebration meeting in Italy. When I stayed at Cornell last February, he invited me to resume collaborative work, since his health condition became better. However, I realized that his condition was very serious when I visited Lehigh. Although he could not walk by himself, he had strong wish to study physics again. Now, I am studying hydrodynamics of the inelastic Maxwell model which is a subject I got during my stay at his place. I would like to dedicate this work to him.


7/29:

夏の学校の準備。Web上からmoviesを拾って来たがあまりいいのがない。本論は 明日固めることにしよう。明日の草刈りは面倒だ。

会議。

「ながれ」の事典という本の項目の執筆依頼が来る。うーん原稿は一体いくつ溜って いるのかな。


7/28:

子供(次男)の音楽発表会。うまく弾いていたようだ。

「誰がバイオリンを殺したか」を読む。バイオリンの変質はあったであろうが それが神秘性を失わせたのかどうか。パガニーニが悪魔的であったというのは よく聞くが本当はどうであったろうか。「クロイツェルソナタ」みたいな話は バイオリンの悪魔的な調べを前提にしているが。ストラディバリの価値は骨董品 としてのそれというのは明快な立場ではある。


7/27:

本堂さん情報。この指揮者, 佐々のそっくりさんだが 性格や考え方もそっくりとの こと。某日某コンサート後の打ち上げで同席して盛り上がったとか。

土曜の仕事の峠は越えたか。


7/26:

午前の飛行機で帰る。家に着くと2時位。ちょっと休憩してから大学へ。会議を して明日の会議の準備。


7/25:

宿から山を歩いて登って東北大の理学部に行く。仙台はちょくちょく行くが理物に 行くのは久しぶりだ。汗をふきながら早川美徳さんや永弘君とまず衝突の議論。 ランダム格子は粒界に相当し、粒界の面同士が滑べるときに散逸があるのではという コメント。ランダム格子である必然はありそう。

何故か駒場の加藤雄介さんが来ていて夏の学校以来15年振りにあった坂井さんらと 一緒に昼食。昼食後、倉本さんや横山さん, 川勝さんといった懐かしい人たちと雑談したり、 本堂さんと議論したりしていた。

セミナーはそういった懐かしい人達を前にしてMicropolar fluidとMaxwell model の話をする。門外漢の人も眠ることなく質問してくれて良かった。まあ成功かな。

セミナー後、7人位で飲みに行く。川勝さんの京大では絶対無理なハイレベルな 学部の授業に驚きつつ明日(26)の試験は皆白紙でしょうとからかう。他にもいろいろ 話が盛り上がる。明日の試験作りのある川勝さんを除き2次会へ。楽しい時間であった。


7/24:

ずっと流体数理のセッション。午前では船越さんの話が非中性プラズマの話に 使えるかとも思ったが直接解いた方がよほど楽だし情報も多そうという結論。 坪田さんと昼食をとって、全体講演で南極でのインセキの冒険談を聴く。 午後のセッションで は坂上さんの話はいかにも数学らしいHilbert変換を使った現実と似て非なる モデルの爆発解の詳細な解析、坪田さんのGross-Pitaevski方程式や渦糸乱流の 話、大木谷さんの渦のつなぎ替えの話はそれぞれ面白かった。 僕の話はそこそこかな。坪田さんと大木谷さんとの間に「と」風の発表があった。 流体でそっちに走るというのはちょっと珍しい気もする。

ホテルの移動。


7/23:

朝5時起きで伊丹から仙台へ。風邪が移ったのか寝不足が続くせいか体調不良。 午前の宇宙の話と津波の全体講演までは面白かったが、その後飽きる。早々に 退散。ホテルでぐったりしていた。


7/22:

子供の発熱騒ぎと熱帯夜のせいで寝不足。

午前にMaxwell modelの計算は完了せず。午後は発表の準備。東北大での セミナーは先週と大差ない。流体力学会は議論込みで20分で極性流体で出しているから 新しい話はできないと判断。

夕方には嫁さんもダウン。


7/20-21:

計算のチェック。粘性率に関しては独立な計算が収束しているようなので概ね信頼 できそうである。一方、熱伝導率はまだまだ。

週末は子供が発熱したので御手洗祭には行けなかった。


7/19:

研究会が続いたのでちょっとお疲れ休みモード。また来週、再来週にもあるのだが。 事務書類を幾つか仕上げる。

4年の中間発表会をやってみる。Fokker-PlanckとLangevinの数値解析をやらせて みた。特に何もサンプルプログラムを与えていないが何とか結果を出している。 とは言ってもまだまだという感じであった。。


7/18:

Lougeを囲んでの研究会。Lougeとの議論でMicropolar fluidをやらねばと思った。 今のMaxwell modelの仕事を早々に片付けてともかくMicropolar fluidを満足の いくように完成させねばと強く思う。彼のシミュレーションはよりシステマティック なのでそれを説明することを考えよう。研究会は割とうまくいったのではないかと 思う。Lougeは疲れも見せず全てのtalksに関心を持って色々質問をしていた。彼の talkは工学分野の発表に慣れていない人にはちょっと難しかったかもしれないが はねかえり係数が1を越える話と、collsional flowとfrictional flowを両方 とも記述しようとするもので含蓄が深いものであった。


7/17:

今日は面白い話はない。礒部君は他人の話を聞いていないな。非圧縮になるのは 希薄極限と言っておろうが。分子運動論のイロハを知っていれば間違えないこと なのだが。しかし(体積粘性率がゼロという意味で)非圧縮としても温度揺らぎが 大きいので定温のNSとはまだ差がある。

研究会は参加者が多く、ソフトマターの分野の研究者間の議論が出来たのはよかった。 全般でオーラルは同じグループの同じような話が多くバランスが悪かった。 シミュレーションが過剰で、成熟していることは感じたが(少数の例外を除くと) 80年代から質的には全く変わっていないという印象も持った。工学的にはともかく 理学としてアピールするにはもうちょっと新味が欲しいところ。

慌てて明日の準備をして子守に帰る。


7/16:

研究会2日目。古沢さんの発表はやはり面白い。奥村さんの話はいわば平均場 近似を使ってその有効性をデモしたのだがへき開などの界面での現象を捉えていない。

ポスターは真面目にやった。極端に若い学生と極端にシニアとに聴衆が分かれる。 川崎さんがBen-Naimの仕事を知っているのに驚く。学生時代より熱心に話を聴いて くれたのでは。(一応昨日の結果は基本的にOKだったので良かった)。懇親会でも 川崎さんの方から話が出来たのは良かった。


7/15:

午前にバグを修正して計算すると嘘の様に簡単になる。せいぜい4次のモーメントが 出て来る位と思ったらそれも分子、分母でキャンセルして結果は解析的に求まった。 粘性率の表式は有限のはねかえり係数で発散するなどもっともらしい。ほんまかいな。 新たな間違いを誘発しているとは思うが、とりあえずこれで手を打って明日の発表を しよう。木曜までにはもうちょっと改善しているかもしれない。

研究会1日目。川崎さんの発表は整理されておらず。質問の仕方が悪かったかな。 とりあえず2次元気体の運動論の歴史的帰結を聞けたことは収穫。後、内田君の 発表が良かった。物性研究に原稿を頼む。


7/14:

バグ発見。やっぱり泥縄の計算では避けがたいかな。普段から整理しておかないと 駄目。実はこのバグの発見で6重積分をする必要がなくなりそうなので嬉しい面 もある。7月のシリーズでは間に合わないのは残念だ。


7/13:

土曜は長時間の会議で潰れる。今日は時間がないので会議の後に次回の会議の 準備をしておいた。ということで来週の研究会の準備はまだまだ。

独法化に伴ってか文科省の口だしはますます多くなってきたようだ。所員30人以下の 部局は研究所として認めず、それ以下の研究所はセンターに格下げをさせようという 案があるらしい。その案を受けて某研究所はすったもんだしている。

某掲示板ではそれなりに知られた 同業者の名前が晒し者にされている。彼がしたことが事実だとしたら 彼の素行は異常であるが、もし何者かが彼に嫌疑がいくようにしむけたとしたら 犯罪である。どちらにせよ大変な世の中になったものだ。


7/12:

長い時間かかってようやく計算終了。計算が正しければ粘性率は極めて大きい。 4重積分は既知のものと値をチェックしたが残りの部分でバグをいれていないとも 限らない。普通多重積分はモンテカルロでやるのであろうがちょっといいプログラム を探したり考えたりするには時間が足りないか。時間切れという感じで集中できな かった。

午前は期間外試験を2つ。ちょっと問題が多かったかな。ざっと見たところ 書けている。


7/11:

前期の授業終了。あまり盛り上がらなかった。

会議を2つ北部キャンパスで。どうもカリキュラムの会議は雑談みたいになって しまう。その後、学生の発表練習を見る。

6重積分を強引にプログラムを組む。一応動くが時間がかかりすぎて結果がでそうも ない。ちょっとアルゴリズムを変えるか解析的に単純化してから積分するべきか。


7/10:

モーメントの類は簡単に積分できるが粘性率とかはずり方向の自由度がある。 ガウシアンではないので重心座標と相対座標の分離ができないのでまともに 6次元積分をする必要がありそうだが、考えただけで手が止まる。

またrefereeが送られてくる。最近JPSJが妙に多い。今日やっと図書券を使った ところだったのに。ちょっと分野的にはそのままではないから見てから他に 送るか判断するか。ちょっと前までは何故かJPSJはあまりこず大抵PRL&PREだったの だが。


7/9:

Daniel Hongの訃報が奥さん から送られてくる。絶句。3月に会ったときには体は確かにぼろぼろだったが、 復帰への執念を感じたのだが。

どうも本当にtailだけしかべきは見えない様で数値計算でそういったsingularity を拾うのは難しいようだ。理論的にも超関数のフーリエ変換が必要で微妙。まあ ともかく接続した(数値)式を作る。これで輸送係数を計算してみるがちょっと信頼度 に欠ける。


7/8:

はかどらない。数値的にFourier変換すると精度が悪いので singularityが消えてしまう。それでは困る。間に合わない!

SantosからBGKのexact solutionについての論文が大量に送られてきた。再投稿 目前だったがこれでまた大幅に書き直しが必要になった。


7/5:

午前中は授業。力学は質点系の話、文系物理はトンネル効果、半導体、Diracの 陽電子の話。これで金曜の講義は終了。

数値計算。原点が特異点なので数値解がすんなりと求まらず。手計算による漸近解 と接続して求めた。時間がかかりすぎ。後は各種積分を求めるだけなのでもう一息。 毎週土曜が潰れるのが痛い。


7/4:

眠い。授業を行って学生の指導をして宮下さんの長電話につきあったら殆んど終わり。 但し(恥ずかしいことだが)inelastic Maxwell modelはいわゆるMaxwellian molecule の非弾性バージョンであることを悟った。今の計算に少し意味が出て来たかな。 宮下さんには連続体の原稿は不評だったようだ。面倒だから このまま没にしようかな。とりあえず 夏は岩波から片付けることにしよう。


7/3:

プログラムは出来たが結果が漸近解と違うように見える。プログラム以前の勘違い があるか。


7/2:

基本解のプログラムに入るが金君のテーマ変更について議論していたらプログラミング が終了せず。明日には完成させないといけない。

岩波から電話。岩波に没にされた原稿の一部を岩波の雑誌に使ったことを見ていた。 しかしそれは没にしろと言われた原稿でっせ。まあ何にせよそろそろ片をつけない といけない。

Lougeの講演に自前のお金を出そうとするとわが国の官僚主義を痛感せざるを得ない。


7/1:

異常を示すパラメーター領域は狭い。科目会議は長かった。会議が増殖して収集が つかない。


6月