1998年、スーパーカミオカンデの大気ニュートリノのデータからニュートリノ振動が発見された。 本講演ではこの発見にいたる経緯などを報告すると共に、時間があれば今後の(大気)ニュートリノ研究の方向についても議論したい。
LHC実験における125GeVのヒッグス粒子の発見により、標準模型は確立したと言える。 また、ヒッグス粒子の質量は、標準模型がどのような理論の有効理論であるかについての大きなヒントであろうと考えられる。 本講義では、ヒッグス粒子の背後にはどのような理論があるのか、現在わかっているヒントを整理しつつ、これまでに提唱されている理論を紹介する。 また、標準模型に内在する謎、標準模型では説明できない謎についての解説とそれらに対するアプローチについて議論する。
この講演の前半では、1990年代初頭にキャンデラス達によって発見された、複素4次元射影空間内の5次超曲面の位相的シグマ模型の相関関数のミラー対称性による計算法を、背景とともに解説する。 後半では、5次超曲面の位相的シグマ模型の扱い易い有効理論としてウィッテンによって提唱されたGauged Linear Sigma Modelについて紹介し、その模型がミラー対称性の研究にどのように使われたかを解説する。 特に、最近の超対称ゲージ理論の局所化による計算手法の進展と、ミラー対称性の研究の関わりについて解説する。
この講義では、ゲージ・重力対応の基礎とその応用に関して概説する。 講義前半ではゲージ・重力対応の考え方を場の量子論の基底状態の変換になぞらえて解説する。 またゲージ・重力対応の辞書を構成する基本的な考え方の解説をする。 後半では講演者の最近の仕事を中心に、ゲージ・重力対応が物理学の他分野、特に非平衡統計物理学に寄与できる可能性について探る。 全てを完全に解説する時間はないが、基本的なアイディア、講演者がこの研究を行うに至った過程など、通常の解説記事等では得られない考え方を伝え、この分野への参入が容易となるように工夫したい。