京都大学・みえむ未来創成フォーラム

学びの力で未来を拓け

  • 日  時:2018年11月17日(土)13:00 – 17:00
  • 場  所:三重県総合博物館 3階 レクチャールーム
  • 共  催:京都大学未来創成国際研究ユニット 三重県総合博物館
  • 対  象:中学生、高校生、学校教育・医療・看護・介護関係者
  • 申込方法:事前申し込みの必要はありません。当日先着40名まで参加可能です。
  • 問合せ先:三重県総合博物館(MieMu:みえむ)/ TEL 059-228-2283
  • (1)理科好きや進路選択期の中・高校生には特別講演がぴったりの内容です。
    (2)教育や学習関係者には特別講演、第三部が参考になります。
    (3)教育・医療・看護・介護関係者など、人と人との関わりの最前線で活躍されている関係者には、第二部の人と人とのつながりについての研究者による講演が参考になります。

趣旨

 めまぐるしく変化する時代にあって、未来を拓く学びの力とは何でしょうか。本フォーラムでは、1)好奇心と学び、2)人とのつながり、3)地域で育てる学びの力、という3つの観点から探ります。スピーカーには、オーストリア・ウイーン大学や国内の専門家および三重で教育に深く関わっておられる皆さんにお願いしています。

プログラム

時間 演題 講演者
第一部: 特別講演
13:00 – 14:15 「パーフェクトでなくても、好奇心をもっていろいろチャレンジして楽しもう!」(英語・通訳あり)
※講演内容については、下記詳細をご覧ください。
ヨハン・ホーエネガー(ウイーン大学・名誉教授)
第二部:人とつながる / 座長:村瀬 雅俊(京都大学基礎物理学研究所・准教授)
14:25 – 15:45 「倫理の学び」 森下 直貴(浜松医科大学・教授)
「繋がりと学び <拡張自己による創造>」 肥田野 登(東京工業大学・名誉教授)
「学びと癒し」 村瀬 智子(日本赤十字豊田看護大学・学部長)
第三部:地域で育む学びの力 / 座長:大野 照文(三重県総合博物館・館長)
15:55 – 16:50 「好奇心に導かれて三重から京大へ」 東海 留維(京都大学・2回生 三重県出身)
「三重中学校高等学校の理科教育の歩み」 小西 伴尚(三重中学 三重高等学校・教諭)
「学校ができる地域の再生(松阪市の例)」 寺村 善樹(三重県教育委員会 高校教育課 高校教育班・指導主事)
「英語の力をつける(仮)」 西岡 慶子(株式会社光機械製作所・代表取締役社長)
16:50 – 17:00 まとめ 座長:村瀬 雅俊(京都大学基礎物理学研究所・准教授)

特別講演

  • 演 題:「パーフェクトでなくても、好奇心をもっていろいろチャレンジして楽しもう!」
        ”Interested in many things without achieving perfection in anyone”
  • 講演者:ヨハン・ホーエネガー(ウイーン大学・名誉教授)
        Professor Johann Hohenegger, Vienna University, Austria

                                                                                                

【要旨】
 高校卒業後、大学に入った時、高校の地理か生物か地学の先生になるか、フレンチホルンの演奏家になるか迷いました。2年間しっかり勉強したあとで、科学の道に進むこととしました。そして、2年後、幸運にも新しく設けられた助手に採用されました。その後、論文を書き、哲学、論理学、動物学、さらに古生物学の二つの分野の厳しい試験に合格して哲学博士になりました。
 やがて、助教授になり、顕微鏡が必要なくらい小さな化石を対象の微古生物学の研究をして、150ほどの論文を著名な学術雑誌上に出版しました。研究するときはいつも、今までにはない答えを出そうとチャレンジしました。その時に役に立ったのが論理学や科学についての哲学、そして数学です。
 専門分野の研究のかたわら、生物学で種や属と呼ばれているものがほんとうは何を意味しているのか、また、地球の自転や公転の微妙な変化が生み出す環境の変化の周期を見積もる方法、さらには多次元統計学や生態学にも興味を持ちました。
 教えることも好きで、大学の初級過程で地球科学についてなんども講義しました。音楽についても、再び興味をもはじめ、自習してルネッサンスリュート、アーチリュート、テオルボやバロックリュートを演奏しました。どれもこれも、まだまだパーフェクトではありませんが、私は地球科学の分野で新しい考え方を見つけようと常に試み、また、伝統的な講義を新たな学問的な問いについてよりよい答えを見つけられるものに変えてゆく努力もしました。2012年には定年退官しましたが、今も5人の博士課程の大学院生たちと一緒に研究を続け、35の論文を出版しました。そのために必要な学びを常に続けています。
【Abstract】
 Starting after Senior High School, I selected from different University studies in which I was interested either to become a High School Teacher for Geography, Biology and Earth Sciences, or becoming a musician playing French horn.
 Two years later the concentration on Science resulted, again after additional 2 years, in a position as an assistant professor in Paleontology, where by chance this position was newly founded. The Doctor of Philosophy was gained after finishing a thesis by strong examinations about Philosophy, Formal Logics, Zoology and 2 examinations on Paleontology.
 Becoming an associated professor, my scientific work on micropaleontology resulted in many papers, up to now more than 150 in high quality journals. In these papers, I always tried to found new solutions to the given problem, mainly using formal logics, philosophy of science and mathematics.
 Beside these special studies, the problem of species and genera in biology, time estimation with periodic functions represented by orbital cycles, spatial statistics and ecology became interesting.
 I like teaching, and many basic courses for bachelors in Earth Science were given by me. Beside scientific work, I rediscovered my musical interest and studied by myself to play the different types of lutes like Renaissance Lute, Archlute, Theorbo and the Baroque Lute.
 Never reaching perfection, I always tried to find new ways of thinking in Earth Sciences and was responsible for the change of traditional lectures into new ones better answering the new questions arisen in Science. Since my retirement in 2012, I continued scientific work with 5 PhD students and published 35 papers. This made a permanent learning necessary.