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目的

 創造の瞬間、それは、宇宙の創生にはじまり、生命の起源やこころの進化から、文明の誕生など多岐にわたる。従来、このような創発現象は客観科学の立場から分析され、法則や原理が探究されてきた。しかし、私たち人間のこころが輝きわたる創造の瞬間も存在するということを忘れてはならない。アインシュタインによる相対性理論やダ・ヴィンチによるモナリザは、こうした主観的なこころのはたらきによる創造の成果である。確かに、創造の成果である新理論や芸術作品は、人から人へと伝承可能である。ところが、こころのはたらきそのものは表現不可能である。そのため、トルストイは「芸術家による創造の瞬間は解明不可能」と考えていた。本研究プロジェクトでは、物理学、心理学、看護学、社会学、教育学、博物学及びプロジェクト構成員の多様な分野の組み合わせによる対話を通じ、この解明不可能とされてきた‘未踏領域’を‘未科学への挑戦’として科学的に解明することを目指す。
 本プロジェクトの目的は、この世紀の大問題である創造の瞬間にはたらく‘創発原理’を解明すること、そして、そのために必要となる新たな学問体系として異分野統合に基づく「統合創造学の創成」である。