常設展示
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ソリトンのさまざまな顔
高崎金久(京都大学)
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KdV 方程式< --
変形 KdV 方程式 --
Sine-Gordon 方程式
展示室入口
Sine-Gordon 方程式 utt - uxx + sin u = 0
「sine-Gordon 方程式」という言葉はおそらく一種の冗談で、
明らかに相対論的場の理論の「Klein-Gordon 方程式」から来ている。
この名が示すように、この方程式は1+1次元次空の相対論的非線形方程式
である。KdV 方程式同様、その先駆けは19世紀の数学(Darboux の
曲面の幾何学の仕事)に見い出される。sine-Gordon 方程式もまた、
相対論的場の理論にとどまらず、固体物理、非線形光学、など広範囲の
応用をもっている。
解を可視化するため、ここでは連成振り子模型を用いる。
これは力学的な模型で、弾性のあるワイアー(あるいはむしろ、バネ)
に等間隔で垂直に棒を刺したものからなる。棒は振り子として振舞い、
ワイアーのねじれを通じて隣合う棒から角方向の力を受ける。
(ワイアーと棒の代わりにゴムひもとマチ針を使えばもっと安価な
実験ができる。)棒の間隔が0になる極限で、この力学的模型は
sine-Gordon 方程式に近づくのである。
sine-Gordon 方程式のソリトン解は KdV や変形 KdV 方程式よりも
はるかに多様である。1-ソリトン解ですら、「キンク」と「反キンク」
の2つの異なる場合がある。キンクは左の無限遠方で0、右の無限遠方
で2πの境界値をとる解である。反キンクの境界値は0と-2πである。
もっと直観的に言えば、いずれの場合も振り子の列はワイアーに
沿って1回、ただし逆向きに、回る。同様に、2-ソリトン解は、
2個のキンクの衝突、2個の反キンクの衝突、キンクと反キンク、
および「breather(呼吸)解」と呼ばれる一種の「束縛状態」とに
分類される。「呼吸」解を言葉で説明するのは難しいが、動画では
その振舞いがはっきりわかる。
- kink-antikink collision
[gif]
ここお見せするのはキンク-反キンクの衝突の動画である。
キンクと反キンクは逆向きに同じ速さを与えられている。
振り子の列の捻れが衝突中のある瞬間(t = 0)に消えている
ことに注目されたい。
[kink-antikink solution before collision (coupled pendulum model)]
solution: u = 4*Arctan[ (p*Sinh[Sqrt[p^2 - 1]*t]) /
(Sqrt[p^2 - 1]*Cosh[p*x]) ].
parameters: p = 2.
- kink-kink collision
[gif]
ここでお見せするのはキンク-キンク衝突の動画である。
キンクは同じ向きに捻れているので、振り子は衝突の間も
(2巻き)捻れたままである。面白いことに、2つの
キンクは衝突するというよりはむしろ「反発」するように
見える。(この動画を作るまではこういう現象をまったく
想像していなかった!)
[kink-kink solution before collision (coupled pendulum model)]
solution: u = 4*Arctan[ (Sqrt[p^2 -1]*Sinh[p*x]) /
(p*Cosh[Sqrt[p^2 - 1]*t]) ].
parameters: p = 2.
- breather solution
[gif]
ここでお見せするのは「呼吸解」の動画である。
この名前は波形の振舞いに由来している。波形は
規則的に上下に振動するので、息をしているように
見えるのである。動画でわかるように、振り子模型
ではこの振舞いは局在した集団的振動に他ならない。
[breather solution (coupled pendulum model)]
solution: u = 4*Arctan[ (p*Sin[Sqrt[p^2 +1]*t]) /
(Sqrt[p^2 + 1]*Cosh[p*x]) ].
parameters: p = 2.