Paris2(10月25日(月)、26日(火))

ここでは2004年10月24日から30日にかけて、フランスのパリに滞在しBaryons04に出席したときの模様を中心に、雑多なことを書きます。

10月25日(月)

6:30に起床。7時くらいに朝食を食べに食堂へ。S.I.N.さんも泊まってるので食堂で待っていると、理研のM.O.さんらに遭遇。他にもここを使ってる人がいたんですね。S.I.N.さんは現れないが、予定していた時間が近づいてきたので出発することに。RERに乗るためダンフェール・ロシュローへ。パリはとりあえず寒いという噂を聞いていたので、厚着の準備をしていたのだが、それほど寒く感じない。

駅で偶然E.O.はじめスペイングループと遭遇、E.O.にぎゅうぎゅうされる。バレンシアのドイツ人M.D.とも再会。元気そうでなにより。ちょうどいいので一週間定期「カルト・オランジュ(Carte Orange)」の買い方を教えてもらう、というかフランス語もできるE.O.に買ってもらう、というか買わされる。もともと買うつもりだったのでいいのだが。ここにこの番号を書いて、ここに写真を貼って、等と指導を受ける。

目的地はマシー・パレゾー(Massy-Palaiseau)。スペイングループの残り二人は10バリオンと8メソンの散乱計算をしているS.S.さんと媒質効果などをやっているV.K.Mさんであった。E.O.より「お前の腹はM.D.みたいになってきたな」と衝撃的なひとこと。

マシー・パレゾーで日本人の皆さんと遭遇、これで一安心。とおもいきや、東工大のN.I.さんといっしょに歩いてると知らない間に他の人がいなくなる。ぬ?よくしらべてみると、駅の反対側に出てしまった様子。あわてて陸橋をわたっていると、Baryons04と書いたプレートを持った人が立って案内している。バス出発時刻の9:00がせまっている、、、

と、正しいバス乗り場に到着したときには9:00のバスは出てしまっている。指導教官をはじめ他の日本人の方々もすでに行った模様。残念。会議関係者とおぼしきおじさんがよってきて、さっきも上で案内人が持ってたBaryons04と書いたプレートをみせて「これをここでもっていてくれるか?」と頼んでくるので臨時案内役。おじさんは駅の方へいってしまう。Baryons04では、会議でチャーターしたバスが駅から会場まで走っており、次のバスは9:10だがまだ来てない様子。

バス乗り場は会議のバス以外の路線バスのターミナルにもなっていて、何台か巡回している。前方に止まっているバスが動いて、少し向こうに止まっていたバスが見えるようになると、どうもそれがBaryonsバスっぽく、運転手がよってきて「ぽりてくにく?」と聞いてくる。英語は通じないがどうやらこのバスのようだ。プレートを渡したおじさんは帰ってこないが、とりあえず寒いんでバスにのりこんでみる。

バスは10分になっても人がそれほど増えないからか出発せず。しばらくしてS.I.N.さんが登場。朝食はゆっくり食べていたようだ。9:30くらいになってプレートを渡したおじさんが帰ってきて運転手に指示を出しバスが出発。バスは坂をのぼり自然豊かな地域へ。黄色く色づいた落葉樹がきれい。会場であるエコール・ポリテクニク(Ecole polytechnique)は大きな湖に面し(注:Baryons04ホームページのSome views of "Ecole polytechnique"参照)建物もきれい。

Polyakov 午前中はプレナリートーク。RCNPの実験のT.N.先生に始まり、DPPの最後のPであるM.P.による理論の話。バスの中でN.I.さんに聞いたところによると、M.P.はよく会議を直前でキャンセルすることで有名らしい。そういやDPPのDもSPring-8に一日遅れてやってきた。しかしPさん今回はちゃんと来てくれたようです。

S.I.N.さんの指導教官である韓国のH.C.K.さんもいる。H.C.K.さん小型の卓上三脚?をとりだしデジカメで写真をとっている。そういえば彼の共同研究者のM.P.さんもSPring-8の会議でデジカメで遊んでいたが、カイラルソリトンをやっているとデジカメで遊びたくなるものなのか。

指導教官が質問をしている人を指して「あれがアメリカのT.C.だ」と教えてくれる。ほほう。論文の内容から、T.C.は細身の人だと勝手に思っていたが、わりとでっぷりしてらっしゃる。大きい会議に出るとこういう有名人の顔(と形)が覚えられるのが楽しい。予想通りの人もいれば予想外の人も。

昼食は会議から渡された食券を使う。ビュッフェ形式なんだが、食券にポイントや値段が書いてないのでどれだけ取っていいのかわからない。メインにサラダにデザートに飲み物に、いろいろならんでいて取ろうと思ったらなんかいっぱい取れそう。学食みたいなところだが味はおいしい。食べる場所も広く、どこまでも奥があるような感じ。ただ味付けはそんなに濃くなく、塩、こしょう、マヨネーズなんかが小袋に入っていて取り放題で、各自好きなようにかけて食べるものらしい。

午後のパラレルセッションでトーク。部屋には自然科学で業績を残したえらいフランス人、おそらくエコール・ポリテクニクに関連しているであろう人たちの名前がついている。ポアンカレ(Poincaré)、ゲーリュサック(Gay-Lussac)、カルノー(Carnot)、、、でトークの部屋は"Monge"。ん?誰ですか?

と気になってしまったので調べてみるとこんなやつであった。数学者ですな。エコール・ポリテクニク校長もやっていたようだ。

Mongeにはプロジェクターがついているが、トークは会議側のPCを使うことを強制される。pdfも用意してあるので問題はないといえばないのだが、keynoteで作った影つきは全部消えてしまうしアニメーションもいきなり全部表示状態になってしまう。トークの間を円滑に進めるためかもしれないが、Macユーザーに対してもう少し柔軟な対応が望まれるところである。

今回はなぜか順番が東工大のえらい先生二人に挟まれており、そのまわりは実験の話。会場はそれほど広くないが、客はまあまあ入っているのでやや緊張。査読のある会議で発表するのも今回が初めてである。ページ数が多かったせいか、逆に急いでしまい最後は時間が少しあまった感じで終了。ちょっともったいなかった。師匠D.J.がカイラルについて聞いてくる。予想していた質問なんだが回答がいまいちうまくいかない。E.O.が助けてくれた。

セッションはつつがなく終了。今日はこのあとレセプションでカクテルパーティーみたいなのがあるようで、皆さんそれまでコーヒーを飲んで時間つぶし。T.N.先生に実験の言葉遣いについて教えてもらう。Upper Limitという言葉は普通は「これ以上増やすとfitが悪くなる」というような意味の、まさに「上限」という意味で使うものである。あと東工大のH.S.先生にいろいろ個人情報が伝わっているんだがこれはTTT経由か。

しかし疲れたしホテルに夕食もあるのでレセプションはスキップ。帰ろうとすると阪大のY.O.君と一緒になる。が会議でもらった帰り道地図で、今どこにいるのかがわからない。その辺を歩いていた人に聞くと、親切にもこの道はわかりにくいからこっちがいいよ、と途中まで連れてってくれる。ありがとうございます。しかし途中から雨が降ってくる。おいおい傘はおいてきてしまったではないか。

来るときはチャーターバスがあるのに帰りは自力で帰れ、というのがフランス流か。方法は2通りで、会場近くから路線バスでマシー・パレゾーまで行くか、少し歩いてRERの駅ロゼール(Lozère)まで歩くか。ロゼールまで歩いて少しなら、くるとき利用すればいいじゃないか、と思うのだが、ロゼールから会場は上り坂で帰りは下り坂。だから行きはおすすめでないらしい。

で、今はバスの時間がわからないのでロゼールまで歩いていくことに。下り坂というのはほとんど山道である。こりゃのぼりは大変だろう。滑りそうになりながらもなんとか到着。だいぶん濡れてしまった。駅で雨宿りしているうちに雨はあがり、電車がくる頃には晴れ間も見えてくる。パリ市内行きの電車に乗り込みダンフェール・ロシュローへ。

Y.O.君はメトロを乗り継ぐそうなのでダンフェール・ロシュローでお別れ。歩いてFIAPまで戻る。が、曲がるところを一つ間違えたらしく、教会の前みたいなところに出る。サン・ドミニク(St-Domminique)教会であった。ちょうど7時だったようで、荘重な鐘の音が響きわたる。だいたいの方角にあたりをつけて歩いて行くと、昨日通った道にたどり着き無事FIAPに帰還。歩けない距離ではないが、微妙に遠いダンフェール・ロシュローとFIAP。

夕食はチケットに20ポイントと書いてあり、料理が置いてあるところにポイント数が書いてあるのでわかりやすい。はずなのだが適当に取ってたらめでたくオーバーし、追加料金をとられる。しかしボリュームたっぷりの夕食を食べて一段落。思えばトークももう終わったし、残りの日程を気楽に過ごせるのがよい。

FIAPは部屋に冷蔵庫がないので飲み物を買って保存しておくことが出来ないのが難点。しかしのどが渇くので水はとりあえず確保しておく。

10月26日(火)

前日と同じくらいに起き、朝食を食べる。朝食はクロワッサンとバゲットまたはラスク×2を主食にし、ジャムやチーズ、ジュース等を自由に選べる。コーヒー、シリアルは取り放題で、ここまで食券についている。ハムは有料だが他の2食でたっぷり肉を食べているのでよしとする。

前日の経験からバゲットはいまいち好きになれないことがわかったので、今日はラスク。ラスクは小袋に入っており、2つと聞いていたので小袋を2つとるが、あけてみると一つの小袋に2つのラスク。しかしレジは何も言われずに通過したのでよしとする。

会議のコーヒーもそうだったのだが、ここではコーヒーサーバーの横にミルクサーバーが置いてある。コーヒーに入れるのに粉やフレッシュではなくホットミルクがあるというのがフランス流か。ちょっといい。クロワッサンもうまい。

今日は一度通った道なので迷うことなくダンフェール・ロシュローへ向かったつもりが、こんどは最初に曲がる方向をまちがえたらしい。しかし見慣れた太い道に出たのでなんとか駅にたどり着けたが、遠回りをしてしまったようだ。

RERのダンフェール・ロシュローの改札はいわゆる自動改札で、カルト・オランジュについてる切符を入れる。ホームには電車の到着時間を示す電光掲示板と、次の電車の停車駅を表示しているのがある。停まる駅のランプが点灯するようになっており、初心者にもわかりやすい。マシー・パレゾー方面に行く電車は多いのだが、手前のラプラス(Laplace)止まりだったり途中から支線の方へ進んで行ったりする電車も多く、なかなか目的地に行くのが来ない。

バスにはS.I.N.さんがいて、後ほどT.N.先生があらわれる。昨日のレセプションのお酒は不思議な色とにおいと味だったそうだ。ビールが無かったことを悲しむS.I.N.さん。

ところでFIAPの予約はS.I.N.さんと一緒にやっており、日程は24〜29と申し込んだ。出発が30日なので、29の夜まで泊まります、という意味だったのだが、初日にフロントで聞いたところ29に出発になっていたようで、S.I.N.さんもそうなっていた。FIAPのフロントはだいたい若い兄ちゃんがやっているのだが、基本的に不親切で、さらにいまいち英語が通じにくいところもあり、意思疎通がむずかしい。宿泊を延期したい、と言うと、Baryons04の方に言ってくれ、との返答。

ローカルサポート代わりのFIAPの宿泊は、会議の方で次の日曜まで部屋をいくつか押さえてあって、滞在を延ばすのも可、と言っていたので、事務の人に聞いてみる。それではFIAPに連絡しておくよ、とのこと。Baryons04では、事務関係者は青い名札をつけているのでわかりやすい。某会議では特に意味もなく2色の名札を使っていたのだが。

Cohen 午前のプレナリーではスピン・フレーバー相互作用のクォーク模型で有名なL.y.G.氏、カイラルユニタリーのM.L.に昨日でっぷりであることを確認したT.C.氏。有名人ぞろいである。写真はアロハで登場し、コンピューター接続がうまくいかない間をつなぐためにベレー帽(仕込みネタ?)をかぶったT.C.氏。

合間にD.J.さんとラグランジアンの構成について。秋の学会でもT.K.先生から質問があったが、この研究の目的はよく定義されたEffective Field Theoryをコンシステントに展開することではなく、物理的な2メソン雲の効果を半定量的に調べる事である。ということを最初にちゃんと言ったほうがいいのかもしれない。話すたびに、説明すべき点、したほうがいい点が出てきて、時間通りにおさめるのがなかなかむずかしい。

昼食時に午前のトークについて激しく議論しているE.O.氏とM.L.氏。というか一方的にいろいろ言っているE.O.氏。師匠D.J.は瓶入りワインを持っている。ビールもあったよとのお言葉。これも食券でもらえるらしいので、次はぜひ挑戦してやろう。少しワインをいただく。

午後は再びペンタクォークセッション。指導教官、S.I.N.さんをはじめ知り合いが多数出場。H.C.K.さんのトークでは特殊文字系がいっぱい文字化けしていた。が、一対一対応なので最後の方ではみんな飛行機マークがΘと読み替えられるようになっていたが、こっちのパソコンをつなげさせてくれないからこういうことがおきるのである。

パソコンといえばネットワーク接続だが、会場にワイヤレスはなく、受付のある部屋にPC数台とルータから線が何本か出ているのを使う。のだがこの線がDHCPではなくIP手入力。***-***-***-001〜060までの番号を入れて下さい、と書いてある。要は人が使ってない番号を適当に入力して使えというもの。こんなのは初めて見た。番号はかちあっても他のを試せば済むのでいいのだが、部屋がそんなに広くないのでいつも込んでおり、いまいち実用性に欠ける。近くにネットカフェでもないのか?と受付に聞いてる人も。

今日も帰りはロゼールまで歩き。こちらの駅には自動改札はなく刻印機が置いてある。いちおう券を機械に通しておく。駅までの道でスペイングループ、日本人グループと一緒になる。指導教官とみなさんは、フランス語も出来るE.O.にレストランに連れて行ってもらうそうな。

「パリは食事が高いんだよ〜」とぼやいていた指導教官は、FIAPでただの夕食が食べれると自慢してやるとすごくうらやましそうだった。今回は朝食、夕食はローカルサポートでいただき、昼食は参加費に入ってたので、滞在中の食事にお金を使わずにすみそうである。しかも昼、夜はそれなりに豪勢なのを食べれるのがすばらしい。

Paris3(10月27日(水))へつづく

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