超新星爆発・重力崩壊と高エネルギー現象
初期質量が太陽質量の約8倍を超えるような恒星は、進化の最後に鉄のコアを生成し、やがて重力崩壊を起こします。そして多くの場合は重力崩壊型超新星爆発を引き起こすと考えられています。重力崩壊型超新星爆発は、宇宙最大の爆発現象のひとつです。その最大光度は、星の集合体である銀河の光度に匹敵するため、古来より様々な観測事例が報告されています。しかし、爆発のメカニズムは未だに正確に判っていません。これまでにいくつかのシナリオが提唱されていますが、星の内側は光で見通すことができないため光学観測によって検証することは非常に困難です。それに対して重力波は星の中心部の情報を直接運んでくるため、重力波観測を用いて爆発メカニズムが区別できるのではないかと期待されています。そこでわれわれは、詳細な数値シミュレーションを用いて超新星爆発から放射される重力波の定量的な予言を行っています。また、重力波以外のシグナル(ニュートリノなど)と重力波の同時観測が可能になる時代に備えて、これらの組み合わせによって星の内部情報にどこまで迫ることができるのかについても研究を進めています。
大質量星の重力崩壊は場合によってはブラックホールを誕生させることも理論的に示唆されています。特に重力崩壊前の親星が大質量でかつ高速回転している場合には、ブラックホールとともに高温・高密度の降着円盤が誕生することが期待されます。このような系は、宇宙最大の爆発現象であるガンマ線バーストを発生させるのではないかと予想されています。ガンマ線バースト源は動的かつ非等方性を持つ一般相対論的な天体現象なので、超高強度の電磁波が放射されるだけでなく、観測可能な重力波も放射されるかもしれません。われわれは、重力崩壊によるブラックホール形成の理論的研究を通して、ガンマ線バーストの発生機構を探求しながら、重力波の波形の研究も進めています。
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