星の進化

重力波源のひとつである重力崩壊型超新星は大質量星の進化の最後に起こる現象です。超新星の爆発メカニズムを理解するためにはさまざまな物理をより正確にとり入れる必要があり、超新星の初期条件となる大質量星の構造や元素組成分布もそのひとつです。大質量星は進化の過程で水素燃焼から始まるいくつもの核燃焼過程、対流による物質の混合、質量放出などを経て構造と元素組成を変えながら最終的に鉄のコアを形成して重力崩壊します。そして、その進化と最終的な構造は星の初期質量と金属量に強く依存します。そこでわれわれはさまざまな初期質量や金属量を持つ大質量星の進化を重力崩壊直前まで計算し、超新星爆発直前の星の構造や元素組成分布を調べます。得られた星の構造と元素組成分布は超新星爆発の計算に用いて超新星からの重力波に関する研究に応用されます。また、近傍で超新星爆発が起きる場合には大質量星が超新星になる直前の前兆現象を観測できる可能性があります。われわれは大質量星の進化から超新星の前兆現象の観測可能性についても研究を進めています。

大質量星はガンマ線バーストの起源天体のひとつと考えられています。高速回転する大質量星の重力崩壊がガンマ線バーストを起こす可能性が示唆されていますが、これを示すには星の自転を考慮した大質量星の進化を重力崩壊まで追う必要があります。われわれは自転による物質混合や角運動量分布の影響を考慮しながら大質量星の進化を重力崩壊まで求める研究を進めています。そして得られた大質量星の構造を重力崩壊や爆発現象の研究に適用します。

最近の研究論文

K. Takahashi, H. Umeda, and T. Yoshida, Astrophys. J. 794, 40 (2014)

``Stellar yields of rotating first stars. I. Yields of weak supernovae and abundances of carbon-enhanced hyper-metal-poor stars''

T. Yoshida, S. Okita, and H. Umeda, MNRAS, 438, 3119 (2014)

``Type Ic core-collapse supernova explosions evolved from very massive stars''

K. Takahashi, T. Yoshida, and H. Umeda, Astrophys. J., 771, 28 (2013)

``Evolution of progenitors for electron capture supernovae''