研究指導のテーマ

高崎金久

注意:このページは京都大学在職時の記録です.

可積分系,組合せ論

可積分系は「解ける微分方程式」とは何かという問題意識から 19世紀半ばに登場した概念ですが,1960年代後半に「ソリトン」 と呼ばれる非線形波動の発見を通じて新たな研究が始まり, 大きな研究分野に成長しました.私はこのような可積分系を 数学的視点から (特に「代数解析学」と呼ばれる立場で) 研究しています.また密接に関連するテーマとして パンルヴェ方程式やツイスター理論などにも 興味をもっています.さらに,1990年代以降盛んになった 数理物理 (ゲージ理論や弦理論など) への応用や 近年の組合せ論的話題 (非交差経路や完全マッチングの数え上げなど) にも取り組んでいます.
参考:
戸田盛和「非線形波動とソリトン」(新版)(日本評論社)
和達三樹「非線形波動」(岩波講座現代の物理学)
三輪哲二・神保道夫・伊達悦朗「ソリトンの数理」(岩波講座応用数学)
野海正俊「パンルヴェ方程式」(朝倉書店)
白石潤一「量子可積分系入門」(サイエンス社臨時別冊・数理科学 SGC-28)
高崎金久 「可積分系の世界−戸田格子とその仲間−」(共立出版)
高崎金久 「ツイスターの世界−時空・ツイスター空間・可積分系−」(共立出版)
ソリトンや可積分系についてのその他の本のリストがこちらにあります >>>本のページ
ソリトンとは:
ソリトンとは何かを手っ取り早く知りたい人はこちらへどうぞ >>> ソリトンの様々な顔
振り子の話から説き起こすソリトンの入門的解説 >>>振り子からソリトンへ
組合せ論的話題:
高崎金久「ダイマー模型とその周辺」 (数理解析研究所講究録 No. 1541 (2007), 23--46, の改訂版) [tex | pdf]
溝口 佑爾「非交叉径路の数え上げとその応用」 (総合人間学部2009年度卒業研究) [要約| 本文]
高崎金久 「線形代数と数え上げ」(日本評論社)


計算・論理と物理の関わり

「計算」という概念の研究は数理論理学の問題を動機として 1930年代に始まり,その後さまざまな角度から研究が行なわれ, 非常に多様な内容をもつ「計算論」へと発展しました. 他方,物理の側から計算の意味を考える試みも古くからあります. 私はこのような計算・論理と物理の関係に興味があります. また,数理論理学の解析学への応用である「超凖解析」にも 関心があります.
参考:
A.ヘイ,R.アレン「ファインマン計算機科学」(原泰夫他訳,岩波書店)
西野哲朗「量子コンピュータ入門」(東京電気大学出版局)
竹内外史「無限小解析と物理学」(遊星社)
中村徹「超凖解析と物理学」(日本評論社)
釜江哲朗「超準的手法にもとづく確率解析入門」(朝倉書店)
高崎金久「微分方程式と計算可能性」(数理解析研究所講究録 1020 『離散可積分系と離散解析』, 1997年12月) [tex | pdf]


これまで卒業論文や修士論文で指導したテーマ

数学,数理物理学関係:
『レプリケータ方程式とその応用』
『平面分割の数え上げとシューア関数』
『非交叉径路の数え上げとその応用』
『Yang-Mills方程式の幾何学』
『Dressing法の拡張とその格子可積分系への応用』
情報科学関係:
『量子コンピュータのアルゴリズムと計算量』
『コンピュータ支援言語教育の教育効果の評価と認知科学的考察』
『分散型データベースおよびデータからの知識獲得』
『マルチエージェント環境における交渉のモデル』
『コンピュータネットワーク上の情報セキュリティ』
『インターネットにおける対話的教育環境の研究と開発』