B02班の研究概要

人工量子物質による量子ブラックホールの解明 (21H05185)

研究代表者:手塚 真樹

ブラックホールは徐々に熱輻射(ホーキング輻射)を出して蒸発し、最後には消滅します。つまりブラックホールに投げ入れた情報は何であれ最終的には“消失する”ことになりますが、これは量子力学におけるユニタリー時間発展(情報の保存)と矛盾しており、「ブラックホール情報損失パラドックス」と呼ばれます。どのような機構で情報が消失しているように見えるのかを明らかにすることは量子論と重力理論を統合した「極限宇宙」の理論構築を目指す本領域の主要な目標です。
本計画研究B02の目的は、「極限宇宙」の問題の一つであるブラックホールの量子論的側面の研究を、冷却原子実験と理論研究の連携により推進することです。ブラックホールの蒸発過程は、ゲージ重力対応を適用すれば、量子物質のダイナミクスに置き換えることができます。そこで、制御性の高い人工量子物質である冷却原子系を用い、その非平衡ダイナミクスを実験室で解明することを通じて極限宇宙のブラックホールの本質に迫ります。
冷却原子系において、散逸・測定の効果により起こる測定誘起量子相転移の観測、量子情報の非局所化の指標となる非時間順序相関の測定、およびそれに対応した理論構築を目指します。並行して、非平衡相転移の理論や、量子計算機による非平衡状態の計算方法の開拓、Sachdev-Ye-Kitaev模型などの量子ブラックホールとゲージ重力対応すると考えられる量子多体系での量子エンタングルメントの研究を進めます。

B02のメンバー構成

[研究代表者]
手塚 真樹 京都大学理学研究科・助教

[研究分担者]
中島 秀太 大阪大学量子情報・量子生命研究センター・特任准教授
上西 慧理子 慶應義塾大学理工学研究科・特任講師
森 貴司 理化学研究所創発物性科学研究センター・研究員
山本 大輔 日本大学文理学部・准教授

[海外研究協力者]

[領域ポスドク(研究協力者)]
山下 和也 京都大学理学研究科・特定研究員
Giacomo Marmorini 日本大学文理学部・研究員

[研究協力者]
段下 一平 近畿大学理工学部・准教授
高三 和晃 東京大学理学系研究科・助教
Juan Pablo Bayona Pena 京都大学理学研究科・技術補佐員

[ポスドク研究員]

[大学院生]
山本 和樹 京都大学理学研究科・大学院生
權平 航 青山学院大学理工学研究科・大学院生