D02班の研究概要

量子情報を用いた量子多体系の制御とテンソルネットワーク (21H05191)

研究代表者:奥西 巧一

量子スピン系や冷却原子気体系、トポロジカル物質など量子多体系の織り成す多彩な物理やダイナミクスを理解することは,凝縮系物性に残る本質的な課題のひとつです。そして,そのような量子多体系の精密な理解の鍵となるのが量子エンタングルメントの定量解析です。とくに,テンソルネットワーク(TN)法はそのための極めて実践的なフレームワークを提示するだけでなく,理論的に大変興味深い量子多体状態の記述法も提供します。さらに,テンソルネットワーク法の一つであるエンタングルメントくりこみ群とゲージ重力対応の笠-高柳公式との密接な関係が見出され,量子多体系やテンソルネットワークと量子情報や量子重力との境界領域の物理には、様々な分野の研究者からの大きな注目と期待が集まっています。D02班では、これまで凝縮系物性では見過ごされがちであった量子情報の操作論的側面に着目し,テンソルネットワーク法による量子状態の系統的制御機構を解明するとともに,それをTN法のアルゴリズム開発にも応用し,高次元・臨界系なども解析可能なTN法へと刷新することをめざします。さらに,これらの進展に立脚して量子多体系のダイナミクスに迫ることで,その背後にある数理構造を抽出し,量子情報の時代にふさわしい基礎学理を構築することも大きな目的です。また,D02班の研究の進展を本領域の他班と共有・連携して分野の枠を超えた研究展開をはかり,例えば,物性実験系を念頭においた疑似的量子重力現象の提案やその解明などで,実証面からの極限宇宙の基本法則の解明に貢献することもめざします。

D02のメンバー構成

[研究代表者]
奥西 巧一 新潟大学自然科学系・准教授

[研究分担者]
上田 宏 大阪大学量子情報・量子生命研究センター・准教授
桂 法称 東京大学大学院理学研究科・准教授
堀田 知佐 東京大学大学院総合文化研究科・教授
原田 健自 京都大学情報学研究科・助教

[領域ポスドク(研究協力者)]
Atis Yosprakob 新潟大学理学部・特任助教
尾崎 壮駿 東京大学総合文化研究科・特任研究員

[研究協力者]
引原 俊哉 群馬大学大学院理工学府・准教授
西野 友年 神戸大学大学院理学研究科・准教授
大久保 毅 東京大学大学院理学研究科・特任准教授
古谷 峻介 埼玉医科大学・講師

[大学院生]
岩木 惇司 東京大学大学院総合文化研究科・大学院生
中島 康太郎 新潟大学大学院自然科学研究科・大学院生