概要
水回り関係のトラブル(詰まり・水漏れ)が起きて業者に修理を依頼しなければならなくなったときの流れです。
- 修理を依頼する前に、加入している保険を確認してください
- 火災保険に水漏れなどを保証する特約がついていることがあります
- 修理を依頼する前に保険会社にトラブルの内容を伝え、どこまで保証してくれるのか確認しておきます
自前でのトラブルの対処
トラブルが発生したら、とりあえず問題が進行しないよう応急処置をしましょう。 近所の金物屋やホームセンターに行って相談すると、自前で修理できるかとか、専門の修理業者を呼ぶべきかどうかとか教えてくれます。
水漏れ
- 止水栓(個別の蛇口の栓)を締めてください。
- 止水栓がどこかわからない、あるいはどこで漏水してるかわからない場合は元栓(家全体の給水を止める栓)を締めてください
- 元栓がどこにあるかは予め把握しておきます(水道メーターのところです)
- この文章を読んでいて元栓の位置を知らないのであれば、さっそく探しに行きましょう
- 止水栓は元栓を締めてからゆっくり探せば良いです。
トイレの詰まり
詰まりの原因が便とトイレットペーパーであれば、ほぼ100%自力で解決できます
- 作業に入る前に、トイレの説明書の詰まった時の対応方法のページを一読します。
- 説明書がなければ、トイレの型番を探してメーカーのHPで検索しましょう
- トイレの種類(和式・洋式・節水型)に合わせたラバーカップを常備しておきましょう
- 100均で売っているものは和式トイレにしか使えないタイプがほとんどなので、ホームセンターやネット通販で自分のトイレに合ったものを入手します
- ラバーカップでどうしてもとれない場合は、ワイヤ式のパイプクリーナーを買いに行きましょう
- トイレ詰まりには3〜5mくらいの短いもので十分です
- 洗いにくいので、使い捨て前提で使用します(値段は千円くらいです)
- 異物を奥に押し込むことになります。流すことが想定されていないもの(水に溶けないもの。ティッシュとかスマホとかおむつとか)が詰まったときに使うと状況が悪化しますので使用しないでください
吐瀉物をトイレを含む排水口に流すことは絶対に避けます
- 固形物や油分が含まれるので排水管が詰まります
- 吐瀉物はビニール袋に入れて、必要であれば新聞紙やトイレットペーパーも入れて水分を吸わせて、外に漏れないよう厳重に縛り、袋が破れても大丈夫なように二重か三重にして、生ゴミ(燃えるゴミ)として処分してください
修理依頼の流れ
業者の選定
修理業者を選ぶ前に、次のところに相談できるならまず相談しましょう。
- マンション … 管理会社
- 戸建て … 住宅メーカーや不動産会社
特に賃貸や借家の場合は必ず管理会社を通して水回りの修繕を行います。 経年劣化や通常の使用の範囲など借主に瑕疵がないトラブルであれば修繕費は大家の負担になります。
また、火災保険の付帯で水道修理が付いていることもあるので、そちらも確認します。
水道局のHPに相談窓口の連絡先が掲載されている場合もあるので、そちらもチェックします。 自治体によっては24時間対応しているところもあります。
自分で業者を選ぶことになった場合は、住んでいる地域の管工事業協同組合に電話してトラブルの内容を伝え、修理業者を紹介してもらうのが確実です
- 住所を伝えれば近所の対応できる業者の連絡先をいくつか教えてもらえます
- 地域の修理業者の相互扶助を目的とした組織で、悪質な業者に遭遇する確率が一気に下がります
住んでいる地域に管工協がない場合は、水道局のHPにある水道局指定工事店のリストを見てください。
- リストには多くの業者が掲載されているので、所在地が家から近い順に電話をかけると良いです
- 水道局指定工事店になるには簡単な審査だけなのでほぼ誰でも通り、悪質業者も混じっているので注意が必要です
- 自治体によっては水道局の対応エリアと異なる市区町村に所在地がある業者も登録できますが、悪質業者率がはね上がります
場合によっては数日間、トラブルのあった設備が使えなくなります。 このような場合に備えて普段から対処方法を考えておきましょう。
- 水漏れで元栓を締めても事態の悪化を防げない場合は水道局(連絡がつかなければ消防)にすぐ連絡
- トイレが使用できない場合は、近所の公園やコンビニのものを利用したり、災害用の簡易トイレを買ってきたりしてしのぎます
- 一人か二人暮らしならネカフェやビジネスホテルなどに避難するのも一つの手です
どうしても緊急で直さないといけない場合は、24時間対応の業者に依頼します。
- 24時間対応の業者はいつでもすぐ来る代わりに作業単価が非常に高いです
- 電話オペレーターや下請けの確保(ほぼフランチャイズ方式)に費用がかかるためです
- 緊急の一見客など弱みに付け込まれて確実にぼったくられます
- さらに言いなりになって不要な工事や部品交換までされる危険性もあります
- どうしても頼まないといけない場合は、普段から利用している会社(電力会社やガス会社、ホームセンターなどが水回りの修理を斡旋していることがあります)を経由したサービスを利用するのが無難です
- それすらもできない場合は、最悪の手段としてタウンページで探します
悪質業者
次の業者は悪質である確率が非常に高い(というかそれしかいない)ので一切関わらないようにします
- チラシ(マグネットタイプが多い)をポスティングしてくる業者
- 冷蔵庫に貼り付けてあるものは今すぐ処分を
- Googleなどで検索をしたときに出てくる業者
- トラブルの解決方法や業者の選び方を親切に説明しつつ、自社への修理依頼を誘導します(ページの上部や記事の最後に 0120-… の電話番号が登場する系のサイトは赤信号です)
- お勧めの業者をまとめたサイトや一括見積もりをしてくれるサイトも同様に危険です
- Google Mapの評価なども操作されてると思って間違いありません
インターネット検索では自治体あるいは機器メーカーのウェブサイトの情報以外は一切参考にしないでください。 検索結果は業者のSEO対策のせいでほとんどあてにならないので、Yahoo!知恵袋で検索するなり相談するなりした方がまだ確かな情報が得られます。
また、チラシやHPに記載されている料金はほとんど意味をなさず、高額な料金が請求されます。
見積もり
- 値段は業者によって全然違います。最低2社、できたら3社から相見積もりを取ります
- トラブルを避けるため複数の業者から相見積もりをとることは電話の時点で必ず伝えます
- 他社の見積結果や何件目の見積業者であるかは絶対に知られないようにします(もし聞かれたら初めての見積りであるとでも答えておいてください)
- 「他の見積もりを断って今即決すればさらに安くする」と言われても無視します
- 最後の見積もり業者で、契約を確定させる場合を除く
- 見積もりに来てもらう前に「出張料」「診断料」「見積料」など見積もりにかかる費用の有無と、契約に至らなかった場合に支払いは発生するか電話で確認してください
- 見積料はとらないけど出張料はとる、キャンセルする場合は見積もりにかかった費用を請求する、というケースもあります
- 電話では見積もり無料と言われたのにキャンセル時に料金を請求された場合は支払いを断固拒否してください。業者がどうしても折れない場合は警察を呼んでください。
- すべての業者に見積書を作成してもらってください
- 見積書には最低限、以下の情報が含まれていることを確認してください。一つでも欠けていたら有効な見積書とはみなせません
- 「見積書」などのタイトル
- 業者名と連絡先(住所・電話番号)
- 依頼主の宛名
- 見積日
- 有効期限
- 見積金額(税込)
- 料金の内訳
- 口頭やメモ書きなどで済ませると、あとあとトラブルになる可能性が一気に跳ね上がります
- どんなに少額でも見積書を作成してくれない業者とは絶対に契約しないでください
- 数千円の工事だから見積書はいらないとしていたら、支払い時に数万円を請求される、というトラブルが起こり得ます
- 「こんな簡単な作業に普通は見積書なんて作成しませんよ」などと言われたら間違いなく悪質な業者です
- 例え無料の工事であっても見積書は出します
- 緊急事態で24時間対応の業者を呼ぶ場合でも、必ず相見積りをします。
- 業者の到着を待っている間に相場を調べておきます
- 見積もり後に無料でキャンセルできるか電話で必ず聞き、できない業者には依頼しないでください
- 金額に納得できない場合はたとえ緊急でも断って次の業者を呼びます(せいぜい一時間程度のロスです)
- 工事の説明に使用されたメモ書きはすべてもらってください
- パソコンやタブレット端末などによる説明の場合は写真を撮ってください
- もし口頭だけの説明であれば自分でメモをとり、説明の最後にメモが正しいか確認してもらってください
- 少しでも気になることがあれば遠慮なく質問します
- 追加工事の可能性は必ず聞きます。その際にどの程度費用がかかるかも聞いてメモしておきます
- やってみないとわからないと言われれば、起こりうる事態を想定できないレベルの業者ということで、依頼は控えましょう(一般家庭でそうそう特殊なことは起きないので)
- 追加工事があればそのたびに見積書を作成し直してもらうように依頼します
最低限、
- 適正金額を知るために相見積もりは絶対にする
- どんなに少額でも見積書のない契約は絶対にしない
を肝に銘じておけば大丈夫です。
工事
- 着工前にいろいろな角度から修理箇所や被害状況の写真を撮っておきます
- 汚物であっても躊躇してはいけません
- 床を外さないと破損箇所が見えないなど、修理の途中にしか撮影できない場合は、そのときに撮影させてもらいます
- 工事には最初から最後まで立ち会い、すべての作業を見守ります
- 「時間がかかるので部屋で休んでいて良いですよ」「下水管を露出させるのでここにいると臭いですよ」など(たとえ善意で)現場からの退出を促されても断ります
- 工事中も適宜写真を撮ります
- 何の作業をしているのかわからない場合は遠慮なく聞き、事前に説明された工事内容と照らし合わせます
- 追加工事が発生したら、そのたびに新しく見積書を作成してもらいます
- 口頭で許可しない、メモ書きで済ませない
- 工事内容が事前の説明と違ったり、追加工事の金額に納得できなければ、工事を中断して原状回復することを要求します
- 修繕を依頼する原因となった問題を解決するための工事以外は一切受け付けないようにします
- 「ここも古くなっているのでついでに修理したほうがいいですよ」「まとめてやると安くできますよ」は拒否
- 緊急度が低い上、追加工事分は言い値になってしまうので、通常は改めて相見積りしたほうが安くなります
- 追加工事分が無料であると約束できるならやっても良いと思います
- 工事終了直後の写真も撮っておきます
支払い
見積書に書かれている金額のみを業者に渡し、領収書を受け取ります。 持ち合わせがないなどその場で代金を支払えない場合は、請求書を作成してもらって指定された期日までに振り込みます。 今すぐ銀行で下ろしてくるように言われても従う必要はありません。
- 以下のような場合は支払いを拒否してください
- なにかと理由をつけて見積書よりも高額な代金を請求された
- 事前に説明のない追加工事や部品交換がされており、その金額も請求された
- なんらかの手違いで見積書を作成しておらず、工事終了後に説明よりも高い金額を請求された
- 到着と同時に突然工事を始められ、代金を請求された
- 工事が完了していない(問題が解決していない)のに代金を請求された
- 工事代金の支払いで業者と衝突してしまった場合は、請求書をその場で作成してもらうか後日郵送するようにお願いして、いったん引き取ってもらいます
- 反論しても確実に水掛け論になるどころか言いくるめられる危険性もあるので、支払いに納得できない理由とこの場では払わないことを伝えたらそれ以上のやり取りは不要です。相手の言い分に反論する必要はありません。
- 請求書の作成を依頼しておかないと、料金を踏み倒そうとしたとして逆に不利になる恐れがあるので注意してください
- 警察は民事不介入ですので、呼んでもあまり役に立ちません(それどころか、面倒事を避けるため払うように促す場合すらあります)。ただし以下の場合は刑事事件になるので警察を呼びます。
- 請求書の作成に応じず帰らない場合(不退去罪)
- 払わないと身体や財産に被害が出ることをほのめかされた場合(脅迫罪)
- (暴力は流石にないと思います。適正な代金すら手に入らなくなる&高々数万〜数十万円のために刑務所に入る羽目になる、ので)
- 業者が帰ったらすぐに最寄りの消費生活センターに相談します
- 一度代金を支払うと取り返すのは裁判でもしない限りほぼ不可能なので、おかしいと思ったものは絶対に払わないようにします
- 消費生活センターから払うように指示されたらおとなしく払いましょう
その他
- 家に複数人いる場合は、業者とやり取りする代表者を一人だけ決めて、それ以外の人は工事の許可や代金の支払いを絶対に行わないでください
- 「同居人に支払いの同意を得ているので払ってください」「あなたから代金をもらうように言われたので払ってください」などと言われたら、嘘の可能性大なので本人に直接確認してください
- 不当な代金を請求されたのでいったん帰ってもらったが、後日代表者がいない時に再び来て払わせようとするケースが厄介です。同居人への周知を忘れないでください。