近畿大学 集中講演会
「量子情報科学入門 -- 特に完全正値性と量子測定過程の操作主義的な理解に向けて --」
- 講師:木村 元 先生 (芝浦工業大学)
- 日時:2023年3月1日(水)~ 3月3日(金)
- 会場:近畿大学東大阪キャンパス3号館501教室(対面形式)
- 対象:量子情報を専門としない大学院生から学部生
- 時間割:
初日14:00より2コマ、2日目:10:00より4コマ、3日目10:00より2コマ
最終日3コマ目(大凡 15:00~16:30 の予定)にセミナー講演会「完全正値性の物理」もあります - 概要:
量子情報科学の分野では,状態や測定の一般的記述として,密度演算子,POVM(Positive Operator Valued Measure)測定,CPTP(Completely Positive Trace Preserving)写像,CPインストルメント(あるいは測定演算子)などの数学的道具が当たり前のように用いられる.これらを伝統的な量子力学の教育を受けた学生に話すと,「何ですかそれ?」「私の知っている量子力学ではない!」といったことを聞くことになる(私も学生の頃にそう思って苦労した…).
この集中講座では,そのような学生(や物理屋さん)を主なターゲットとし,伝統的な量子力学と量子情報科学の概念的道具の「橋渡し」をすることを目的とする.より具体的には,上述した量子情報科学の道具が,伝統的な量子力学の記述をベースに操作主義的に自然な形で得られること,また,対象系の言葉に翻訳するとごく自然に出ること,そして,これらを利用する意義を理解することが目標である.特に,測定過程の記述を「射影測定」など天下り的に与えず,操作主義的に自然に出てくることは今でもあまり理解されていない重要な点である.
また,講義の最後には,CP性(完全正値性)の物理や非因果的局所量子論といった最新の話題にも触れる予定である.
*前提知識として,伝統的量子力学の理論(状態ベクトル(波動関数)による状態,エルミート演算子による物理量の表現,シュレーディンガー方程式,波束の収束など),また,(有限次元に限定するので)線形代数の知識(線形演算子,エルミート演算子,ユニタリー演算子,スペクトル(固有値)分解定理など)を予習・復習しておくと良い.
- 参考文献:量子情報科学入門(共立出版,2012),特に,第4章と付録
- お問い合わせ先:
〒658-8501 東大阪市小若江3-4-1
近畿大学 理工学部理学科物理学コース 石橋明浩
電子メール:akihiro_at_phys.kindai.ac.jp
学術変革領域(A)極限宇宙
計画研究B03班: 量子情報を用いた量子ブラックホールの数理の解明