2021.11.10

量子情報を用いた量子宇宙の数理とその応用 (21H05189)

研究代表者:白水 徹也

時空の物理理論である一般相対論を土台とする宇宙論は様々な観測結果を説明し大きな成功を収めてきました。しかし、宇宙初期(インフレーション期)と現在の2回にわたる宇宙空間全体の加速膨張の起源は未だ現代科学最大の謎として残されています。これは人類の重力・時空に関する理解が未熟であることに起因していると考えられます。そこで、C03班は素粒子理論で発展してきたゲージ重力対応(特に笠-高柳公式)の量子情報理論的側面をブレーンワールドに取り入れることにより、宇宙創生・加速膨張の謎および、重力・時空の全容を解明することを目標としています。
「ブレーンワールド」とは、我々の住む宇宙が高次元空間の境界(ブレーン)に相当すると考えるモデルで、素粒子理論から自然に導かれます。このブレーンワールドの理論を笠-高柳公式と量子情報理論の考え方から構築し直し、他班と連携し宇宙の謎に迫ります。
一方、時空のさざ波である重力波が2015年に、ブラックホールの作る“影”が2019年に観測されたように、一般相対論が成立するか直接テストできる面白い時代になってきました。そこで、量子重力理論から期待される一般相対論からのずれの検出を念頭に置いた基礎研究も行います。

C03のメンバー構成

[研究代表者]
白水 徹也 名古屋大学大学院多元数理科学研究科・教授

[研究分担者]
泉 圭介 名古屋大学素粒子宇宙起源研究所・講師
小林 努 立教大学理学部・教授
棚橋 典大 中央大学理工学部・助教
野澤 真人 大阪工業大学工学部・講師
吉野 裕高 大阪公立大学大学院理学研究科・准教授

[領域ポスドク(研究協力者)]
吉田 大介  名古屋大学大学院多元数理科学研究科・特任助教
佐合 紀親  京都大学/大阪公立大学・研究員

[研究協力者]
山田 澄生 学習院大学理学部・教授

[大学院生]
Diego Soligon 名古屋大学大学院多元数理科学研究科・大学院生
金井 孝真 名古屋大学大学院多元数理科学研究科・大学院生
李 康載 名古屋大学大学院多元数理科学研究科・大学院生
付 磊 名古屋大学大学院多元数理科学研究科・大学院生
天羽 将也 京都大学基礎物理学研究所・大学院生
末藤 健介 大阪公立大学大学院理学研究科・大学院生

2021.11.10

量子情報を用いた量子多体系の制御とテンソルネットワーク (21H05191)

研究代表者:奥西 巧一

量子スピン系や冷却原子気体系、トポロジカル物質など量子多体系の織り成す多彩な物理やダイナミクスを理解することは,凝縮系物性に残る本質的な課題のひとつです。そして,そのような量子多体系の精密な理解の鍵となるのが量子エンタングルメントの定量解析です。とくに,テンソルネットワーク(TN)法はそのための極めて実践的なフレームワークを提示するだけでなく,理論的に大変興味深い量子多体状態の記述法も提供します。さらに,テンソルネットワーク法の一つであるエンタングルメントくりこみ群とゲージ重力対応の笠-高柳公式との密接な関係が見出され,量子多体系やテンソルネットワークと量子情報や量子重力との境界領域の物理には、様々な分野の研究者からの大きな注目と期待が集まっています。D02班では、これまで凝縮系物性では見過ごされがちであった量子情報の操作論的側面に着目し,テンソルネットワーク法による量子状態の系統的制御機構を解明するとともに,それをTN法のアルゴリズム開発にも応用し,高次元・臨界系なども解析可能なTN法へと刷新することをめざします。さらに,これらの進展に立脚して量子多体系のダイナミクスに迫ることで,その背後にある数理構造を抽出し,量子情報の時代にふさわしい基礎学理を構築することも大きな目的です。また,D02班の研究の進展を本領域の他班と共有・連携して分野の枠を超えた研究展開をはかり,例えば,物性実験系を念頭においた疑似的量子重力現象の提案やその解明などで,実証面からの極限宇宙の基本法則の解明に貢献することもめざします。

D02のメンバー構成

[研究代表者]
奥西 巧一 新潟大学自然科学系・准教授

[研究分担者]
上田 宏 大阪大学量子情報・量子生命研究センター・准教授
桂 法称 東京大学大学院理学研究科・准教授
堀田 知佐 東京大学大学院総合文化研究科・教授
原田 健自 京都大学情報学研究科・助教

[領域ポスドク(研究協力者)]
古谷 峻介 東京大大学院学総合文化研究科・特任研究員

[研究協力者]
引原 俊哉 群馬大学大学院理工学府・准教授
西野 友年 神戸大学大学院理学研究科・准教授
大久保 毅 東京大学大学院理学研究科・特任准教授

[大学院生]
Atis Yosprakob 総合研究大学院大学・大学院生
岩木 惇司 東京大学大学院総合文化研究科・大学院生
中島 康太郎 新潟大学大学院自然科学研究科・大学院生

2021.11.10

量子情報を用いた量子ブラックホールの内部の物理学の解明  (21H05184)

研究代表者:飯塚 則裕

一般相対性理論で予言されるブラックホールは、その強力な重力場の故に、空間の曲がり具合が極限状態になっており、ホライズンと呼ばれる境界領域をもちます。そのホライズンより内側に一度物体が入ってしまうと、たとえ光速でもってホライズンより外に脱出しようと試みても、外にでることは古典的には不可能です。しかしこのブラックホールに現代物理学の基礎である量子論を適応すると、粒子が外に脱出できるようになります。これがホーキングによるブラックホールの蒸発です。さらにブラックホール時空は、「温度」と「膨大なエントロピー」をもつ熱力学的対象物であることもわかっています。通常、熱力学にはその背後に多体系の量子論、すなわち量子統計力学があります。ブラックホール時空自体が熱力学の対象物とするならば、その背後にあると考えられる多体系の時空の量子論、それこそが、量子重力理論です。近年の研究から、この量子重力理論を理解する上で重要な役割を果たすと考えられている概念が2つあります。1つは近年目覚ましく発展している量子情報理論。そしてもう一つが「ゲージ/重力対応」あるいは「ゲージ/弦対応」とよばれる、ゲージ理論(=場の量子論)と、量子重力理論としての超弦理論の等価予想です。B01班は、この2つの概念をフル活用して、ブラックホールの量子論を理解することを最大の研究目標に掲げます。特にホーキングが予言した、「ブラックホールの時間発展は量子論の原理と矛盾し、ブラックホール内部の量子情報は失われる」という、ブラックホールの情報損失問題に対し、ホーキングの誤りは何か?正しいブラックホールの時間発展がいかに量子論と無矛盾になるか?ブラックホールの内部の量子情報はどのように外部にとりだされるのか?について明快な答えを得ることを目標にして、そこで得られた知識から量子重力理論の基礎原理を解き明かしていきます。

B01のメンバー構成

[研究代表者]
飯塚 則裕 大阪大学理学研究科・助教

[研究分担者]
宇賀神 知紀 京都大学白眉センター・特定助教
重森 正樹 名古屋大学理学研究科・教授
寺嶋 靖治 京都大学基礎物理学研究所・助教
野海 俊文 神戸大学理学研究科・准教授

[研究協力者]
玉岡 幸太郎 日本大学文理学部・助教
橋本 幸士 京都大学理学研究科・教授
前田 健吾 芝浦工業大学工学部・教授

[ポスドク研究員]

[大学院生]
姉川 尊徳 大阪大学理学研究科・大学院生

2021.11.10

場の量子論のダイナミクスへの量子情報的アプローチ (21H05190)

研究代表者:西岡 辰磨

素粒子の標準模型に代表されるように私たちの身の回りの現象の多くは場の量子論の言葉で記述されています。ミクロな領域の物理を理解することは物質の究極的な構成要素を解明するだけでなく、多数の基本的な量子系が互いに協調して新たな物理現象を創発する量子多体系の本質を探る上でも重要です。D01班の目標はこのような量子的な振る舞いを示す物質のダイナミクスを理解することです。量子情報理論では様々な物理操作の下で量子系がどのように変化するかということが一般的な観点から調べられています。このような量子情報理論の視点を取り入れることで、従来の方法では分からなかった場の量子論の新たな側面が明らかになる可能性があります。特に場の量子論と量子情報理論の背後にある共通の数理構造に着目することで、個々の量子系に依存しないすべての場の量子論が持つべき普遍的な性質を見いだすことができると期待されます。また場の量子論のダイナミクスの解明に向けた相補的なアプローチとして量子計算機による場の量子論のシミュレーションを行います。有限密度系や実時間系を含む多くの物理系は古典計算機では困難ですが、量子計算機では効率的にシミュレートできると期待されています。場の量子論に適した量子計算の手法を開発し実装することで、素粒子の散乱過程やブラックホールの蒸発過程などの重要な現象を解明します。さらに場の量子論の量子情報理論的な側面を基礎としてホログラフィー原理や量子重力理論との関係性を模索していきます。

D01のメンバー構成

[研究代表者]
西岡 辰磨 大阪大学大学院理学研究科・教授

[研究分担者]
松尾 泰 東京大学大学院理学系研究科・教授
奥田 拓也 東京大学大学院総合文化研究科・助教
本多 正純 京都大学基礎物理学研究所・助教
伊藤 悦子 理化学研究所数理創造プログラム・上級研究員

[研究協力者]
山崎 雅人 東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構・准教授
鈴木 了 Shing Tung Yau Center of Southeast University, Professor
丸吉 一暢 成蹊大学理工学部・准教授
土居 孝寛 大阪大学核物理研究センター・特任助教
田島 裕之 東京大学大学院理学系研究科・助教
筒井 翔一朗  理化学研究所数理創造プログラム・客員研究員
永野 廉人 東京大学素粒子物理国際研究センター・特任研究員
吉田 豊  明治学院大学 法学部 消費情報環境法学科・助手
猪谷 太輔  慶應義塾大学 自然科学研究教育センター・研究員
松本 祥 理化学研究所数理創造プログラム・特別研究員
居石 直久  慶應義塾大学・訪問研究員

[領域ポスドク(研究協力者)]
Pratik Nandy 京都大学基礎物理学研究所・特定研究員

[大学院生]
助野 裕紀 Stony Brook University・大学院生
奥山 義隆 東京大学大学院理学系研究科・大学院生
川畑 洸貴 東京大学大学院理学系研究科・大学院生
矢萩 慎一朗 東京大学大学院理学系研究科・大学院生
中西 泰一 京都大学基礎物理学研究所・大学院生

2021.11.10

量子ホール系による量子宇宙の実験 (21H05188)

研究代表者:遊佐 剛

ビックバンから私たちの住む宇宙が創成される量子宇宙(宇宙創成の初期段階で現れるとされる宇宙)の過程を理解しようとする理論的な努力が積み重ねられており、宇宙背景放射などの観測実験からの検証も試みられています。実験室で宇宙創成をそっくりそのまま再現し、パラメーターを変えながら実験を行って理論検証できれば理想ですが、そのようなことは不可能です。そこで本研究では理論的には等価な物理系、つまりトイ模型としての量子宇宙を研究室レベルの物性実験系で実現し、理論検証のための豊かな遊び場を提供することを目指しています。
私たちが実際に扱う物理系は半導体中の電子です。半導体産業は超高品質の結晶技術、微細加工技術、エレクトロニクスなど現代科学の粋を極めた技術の集積から成り立っています。本研究ではこのような最先端の技術を背景に量子ホール状態のエッジというきわめて特異な量子多体系を舞台として、トイ模型としての量子宇宙を半導体チップ上で実現し、実験と理論を通して宇宙創成のメカニズムを明らかにしたいと考えています。より具体的には、 (1)高度な量子測定技術を含む実験技術を確立して量子ホールエッジの実験を行い、(2)素粒子論、数理物理、物性理論、量子情報、宇宙論という多方面の理論から、量子ホールエッジによる量子宇宙を検証することを目的としています。

C02のメンバー構成

[研究代表者]
遊佐 剛 東北大学理学研究科物理専攻・教授

[研究分担者]
柴田 尚和 東北大学理学研究科物理専攻・教授
堀田 昌寛 東北大学理学研究科物理専攻・助教
米倉 和也 東北大学理学研究科・准教授

[研究協力者]
間野 高明 物質・材料研究機構・主任研究員
山本 一博 九州大学大学院理学研究院物理学科・教授
南部 保貞 名古屋大学理学研究科物理素粒子宇宙物理学専攻・准教授
堀田 知佐 東京大学大学院総合文化研究科・准教授
中山 和則 東北大学理学研究科・准教授
John Nicholas Moore 東北大学理学研究科・外国人特別研究員
Vadimir Umansky イスラエルワイツマン研究所・上級主任研究員
山口 幸司 ウォータルー大学・日本学術振興会海外特別研究員
佐々木 健一 NTT物性科学基礎研究所・主任研究員
渡邊 賢人 東北大学大学院理学研究科・特任研究員

[大学院生他]
辻村 淳 名古屋大学理学研究科物理素粒子宇宙物理学専攻・大学院生
杉山 祐紀 九州大学大学院理学研究院物理学科・大学院生
郭 優佳 名古屋大学理学研究科物理素粒子宇宙物理学専攻・大学院生
早渕 恭章 東北大学理学研究科物理専攻・大学院生
金野 遼大 東北大学理学研究科物理専攻・大学院生
川田 怜司 東北大学理学研究科物理専攻・大学院生
大澤 悠生 名古屋大学理学研究科物理素粒子宇宙物理学専攻・大学院生
Donghyeon Kim 東北大学理学研究科物理専攻・大学院生
Yunhyon Jeong 東北大学理学研究科物理専攻・大学院生
小林 舜 東北大学理学研究科物理専攻・大学院生
横倉 孝洋 東北大学理学研究科物理専攻・大学院生
秋山 和範 東北大学理学研究科物理専攻・大学院生
近藤 綾香 東北大学理学研究科物理専攻・学部生
金田 海里 東北大学理学研究科物理専攻・学部生
高橋 佑太朗 東北大学理学研究科物理専攻 学部生

[過去のメンバー]
神山 晃範 東北大学理学研究科物理専攻・大学院生
丸元 郁弥 東北大学理学研究科物理専攻・大学院生

2021.11.10

量子情報を用いた量子宇宙の基礎理論 (21H05187)

研究代表者:高柳 匡

量子情報と重力理論をつなぐエンタングルメント・エントロピーの幾何学公式(笠-高柳公式)を端緒として、「重力理論の宇宙は量子情報の集合体である」という予想が得られ、世界的に注目されています。C01班の目的は、この予想を素粒子論に量子情報の視点を導入することで発展させ、「極限宇宙」の一つである「宇宙創成のダイナミクス(量子宇宙)」の基礎理論を解明することです。この土台となるのが、「ゲージ重力対応」、つまり「反ドジッター宇宙の重力理論は場の量子論と等価である」という仮説です。ゲージ重力対応は、多くの具体例の検証に耐えた有力な考え方ですが, 何故この対応が生じるのか?という原理の部分は今でも分かっていません。この基礎原理がわかれば, 宇宙が無から創成される機構を解明することが可能になり, 究極の物理法則の構築へと繋がると期待されます。また、反ドジッター宇宙は、負の曲率をもつ宇宙ですが、我々の住んでいる現実世界の宇宙や、宇宙創成の過程ではむしろ正の曲率、すなわちドジッター宇宙となっていると考えられています。本研究では、量子情報理論の手法とゲージ重力対応を組み合わせることで、ゲージ重力対応の基礎原理をまず明らかにし、次に、それをヒントに反ドジッター宇宙を超えて、ドジッター宇宙のような、より一般の宇宙に対してゲージ重力対応を大きく拡張することで、量子宇宙の基礎理論をひも解いていきます。

C01のメンバー構成

[研究代表者]
高柳 匡 京都大学基礎物理学研究所・教授

[研究分担者]
奥山 和美 信州大学理学部・教授
杉本 茂樹 京都大学基礎物理学研究所・教授
関野 恭弘 拓殖大学工学部・教授
疋田 泰章 京都大学基礎物理学研究所・特定准教授

[海外研究協力者]
笠 真生 Princeton大学・教授
吉田 紅 Perimeter研究所・教員

[領域ポスドク(研究協力者)]
Ibrahim Akal 京都大学基礎物理学研究所・ポスドク研究員
Jonathan Harper 京都大学基礎物理学研究所・特定研究員

[研究協力者]
上床 隆裕 釧路工業高等専門学校・創造工学科・講師
北村 比孝 立教大学理学部・特別研究員
後藤 郁夏人 京都大学基礎物理学研究所・学振特別研究員(CPD)
酒井 一博 明治学院大学法学部・准教授
宮下 翔一郎 早稲田大学理工学術院・講師(任期付)
宮地 真路 名古屋大学 理学研究科 YLC 特任助教
佐藤 芳紀 京都大学基礎物理学研究所・湯川特別研究員
鈴木 健太 立教大学理学部・助教

[ポスドク研究員]
Shan-Ming Ruan 京都大学基礎物理学研究所・ポスドク研究員

[大学院生]
魏 子夏 京都大学基礎物理学研究所・大学院生
瀧 祐介 京都大学基礎物理学研究所・大学院生
小川 順生 京都大学基礎物理学研究所・大学院生
川本 大志 京都大学基礎物理学研究所・大学院生
鈴木 優樹 京都大学基礎物理学研究所・大学院生
津田 崇史 京都大学基礎物理学研究所・大学院生
土井 一輝   京都大学基礎物理学研究所・大学院生

2021.11.10

人工量子物質による量子ブラックホールの解明 (21H05185)

研究代表者:手塚 真樹

ブラックホールは徐々に熱輻射(ホーキング輻射)を出して蒸発し、最後には消滅します。つまりブラックホールに投げ入れた情報は何であれ最終的には“消失する”ことになりますが、これは量子力学におけるユニタリー時間発展(情報の保存)と矛盾しており、「ブラックホール情報損失パラドックス」と呼ばれます。どのような機構で情報が消失しているように見えるのかを明らかにすることは量子論と重力理論を統合した「極限宇宙」の理論構築を目指す本領域の主要な目標です。
本計画研究B02の目的は、「極限宇宙」の問題の一つであるブラックホールの量子論的側面の研究を、冷却原子実験と理論研究の連携により推進することです。ブラックホールの蒸発過程は、ゲージ重力対応を適用すれば、量子物質のダイナミクスに置き換えることができます。そこで、制御性の高い人工量子物質である冷却原子系を用い、その非平衡ダイナミクスを実験室で解明することを通じて極限宇宙のブラックホールの本質に迫ります。
冷却原子系において、散逸・測定の効果により起こる測定誘起量子相転移の観測、量子情報の非局所化の指標となる非時間順序相関の測定、およびそれに対応した理論構築を目指します。並行して、非平衡相転移の理論や、量子計算機による非平衡状態の計算方法の開拓、Sachdev-Ye-Kitaev模型などの量子ブラックホールとゲージ重力対応すると考えられる量子多体系での量子エンタングルメントの研究を進めます。

B02のメンバー構成

[研究代表者]
手塚 真樹 京都大学理学研究科・助教

[研究分担者]
中島 秀太 京都大学白眉センター・特定准教授
上西 慧理子 慶應義塾大学理工学研究科・特任講師
森 貴司 理化学研究所創発物性科学研究センター・研究員
山本 大輔 日本大学文理学部・准教授

[海外研究協力者]

[領域ポスドク(研究協力者)]
山下 和也 京都大学理学研究科・特定研究員

[研究協力者]
段下 一平 近畿大学理工学部・准教授
Juan Pablo Bayona Pena 京都大学理学研究科・技術補佐員
Giacomo Marmorini 日本大学文理学部・研究員

[ポスドク研究員]
山下 和也 京都大学理学研究科・特定研究員

[大学院生]
權平 航 青山学院大学理工学研究科・大学院生

2021.11.10

量子情報を用いた量子ブラックホールの数理の解明 (21H05186)

研究代表者:石橋 明浩

一般相対論に量子情報理論を組み合わせることで,量子重力理論の構築へ向けた新しいアプローチを開発し,量子ブラックホールの基礎理論を解明することが,私たちB03班の研究目的です.一般相対論のブラックホールは時空の曲率のみを構成要素とする宇宙で最も単純な構造物であるにも関わらず,通常の物質と同じく熱力学的な性質をもつ不思議な存在です.ブラックホールの中心には物理法則の破綻する時空特異点が存在し,その因果的境界である事象の地平面の面積はブラックホールのエントロピーを与え,さらに量子論的効果によりHawking輻射を放出して蒸発することが分かっています.こうしたブラックホールの不思議な性質は、ブラックホールの量子論的な自由度と情報の行方に関する「ブラックホールの情報問題」という,重力・量子・情報にまたがる根源的問いを投げかけています.本研究班では,ブラックホールの事象の地平面が情報伝達の境界として量子エンタングルメントに結びつくこと,その構造とダイナミクスは一般相対論の枠組みでは光的エネルギー条件で規定されることに着目します.そして量子重力の基本的力学自由度と量子情報が集約・顕在化する時空領域・構造はブラックホール地平面を代表とする様々な因果的境界にあるという予想のもと,そのダイナミクスを決定する「量子エネルギー条件」などの基礎方程式を導出・整備し,量子ブラックホールの数理を明らかにすることを目指します.また,ゲージ重力対応を用いて,量子ブラックホールや量子宇宙の観測可能量の問題にも挑みます.それにより「宇宙は量子情報の集合体である」という本領域全体に通底する「極限宇宙」予想の証明に迫ることが目標です.

B03のメンバー構成

[研究代表者]
石橋 明浩 近畿大学理工学部・教授

[研究分担者]
前田 健吾 芝浦工業大学工学部・教授
村田 佳樹 日本大学文理学部・准教授

[領域ポスドク(研究協力者)]
松尾 善典  近畿大学理工学部・研究支援者
木下 俊一郎  日本大学文理学部・博士研究員

[研究協力者]
岡村 隆 関西学院大学理学部・教授
木村 元 芝浦工業大学システム理工学部・教授
野海 俊文 神戸大学理学部・准教授

[ポスドク研究員]

[大学院生]
上田 航大 近畿大学大学院総合理工学研究科・大学院生
山口 大輝 近畿大学大学院総合理工学研究科・大学院生
松本 玲 近畿大学大学院総合理工学研究科・大学院生

2021.10.27

理論物理学のための量子情報理論基礎 (21H05183)

研究代表者:森前 智行

量子力学には、量子的重ね合わせや不確定性原理、No-cloningといった、古典物理にはない不思議な性質があります。この不思議な性質をうまく利用して、これまでにない高性能な情報処理技術を実現するのが量子情報という研究分野です。とりわけ、高速な計算が可能となる量子計算、古典にはない様々な新しい暗号的タスクが実現できる量子暗号などが主要な応用例であり、活発な研究が行われてきています。また、このような量子情報技術の研究を推進すると、量子を使うと何ができて何ができないのかが明らかになってきます。これは、不思議な量子論がなぜこのような形をしているのかを理解する助けにもなります。量子論はなぜこのように不思議なものなのかを心の底から理解することは、量子論ができた当時からの物理学者たちの長年のゴールです。さらに、量子情報で得られる結果や知見、テクニックなどが他の物理にも有用であることが分かってきています。素粒子理論におけるAdS/CFT対応や、統計物理における分配関数、物性物理におけるテンソルネットワーク、ブラックホールにおける量子ランダム性などの様々な概念が量子情報を通じて新しい視点から研究することが可能となってきています。
本計画班は量子情報の専門家からなる班であり、「量子情報を基礎として極限宇宙の物理法則を創る」という領域全体の目的の達成に向けて、必要となる「言語」を他班に提供する役割と、量子情報の基礎理論そのものを深化させることによりその「言語」をより良いものに磨き上げる役割を担っています。

A01のメンバー構成

[研究代表者]
森前 智行 京都大学基礎物理学研究所・准教授

[研究分担者]
中田 芳史 京都大学基礎物理学研究所・特定准教授
東 浩司 NTT物性科学基礎研究所・特別研究員
Francesco Buscemi 名古屋大学情報学研究科・教授

[領域ポスドク]
Arthur Parzygnat 名古屋大学情報学研究科・特任助教

[研究協力者]
Andrew Darmawan 京都大学基礎物理学研究所・特定助教
Michele Dall’Arno 京都大学基礎物理学研究所・特定助教
山崎 隼太 ウィーン大学・海外学振
加藤 豪 NICT 未来ICT研究所・研究マネージャー

[ポスドク研究員]
Aditya Nema 名古屋大学情報学研究科・特任助教

[大学院生]
早川 龍 京都大学基礎物理学研究所・大学院生
廣岡 大河 京都大学基礎物理学研究所・大学院生
米川 岬 京都大学基礎物理学研究所・大学院生
鍵谷 拓海 京都大学基礎物理学研究所・大学院生
松浦 孝弥 東京大学工学系研究科・大学院生
田宮 志郎 東京大学工学系研究科・大学院生