学術変革領域A「極限宇宙」市民講演会(第三回)


おかげさまで、本講演会は大盛況のうちに終えることができました。参加者の皆様に心よりお礼申し上げます。スライドや講演動画をGoogleドライブで公開しております。後日Youtubeでの講演動画の公開も予定しています。

    日時:  2024年12月14日(土)  10時00分―12時30分
    場所: オンライン(zoom)開催

    講演者: 

    飯塚則裕(国立清華大学(台湾)物理学専攻・副教授/京都大学基礎物理学研究所・特任准教授、専門:量子重力理論と弦理論)
    奥西巧一(新潟大学自然科学系・准教授、専門:統計物理)

    講演スケジュール: 

    高柳 匡「はじめに」[スライド]
    10:00-11:00  飯塚 則裕「思考実験とブラックホールと量子論」 [スライド][講演動画]
    11:10-12:10  奥西 巧一「物質中に広がる小宇宙―スピンで見る物質と量子情報の世界―」
    [スライド][講演動画]

    講演終了後、12:30まで質問タイムを設けます。

    対象者:  当講演会にご関心のある全ての方

    参加費:  無料

    問合せ先:学術変革領域研究A「極限宇宙」事務局 extuniv-office@yukawa.kyoto-u.ac.jp 

    講演概要

    飯塚 則裕「思考実験とブラックホールと量子論」                                                          

     ブラックホールの情報損失のパラドックスというのを聞いたことがありますか?ブラックホールは、アインシュタインの一般相対性理論によって存在が予言された極めて高密度な天体です。ブラックホールはあまりにも強過ぎる重力を持つが故に、一度その中に入ってしまうと、光でさえ脱出する事が不可能になります。一方、現代物理学は量子論という法則に則っていることがわかっており、実験によっては何十億分の一の精度で量子論で非常に詳細に記述できることがわかっています。この量子論を単純にブラックホールに適用すると非常に不思議なことが起こることが予想でき、そのことは多くの物理学者を混乱させました。本講演ではなぜこのことが多くの理論物理学者を巻き込んだ論争になるほど深淵な問題であるかを思考実験や例えを通じ、その本質をなるべく平易に解説したいと思います。


    奥西 巧一「物質中に広がる小宇宙―スピンで見る物質と量子情報の世界―」

     日常生活で目にする物質は、気体・液体・固体のみならず、電気伝導や磁石、そして生体現象に至るまで驚くほど多彩な物理現象を示します。実質的にわずか数十種の原子の世界からマクロな物質の持つ様々な性質が発現する姿は、まさに物質中の小宇宙と呼ぶにふさわしく、その発現メカニズムの解明は物理学上の最も基本的な問いの一つとなっています。21世紀、物質中ミクロな構成要素の量子の繋がり方を分解・ネットワーク状に再結合して扱うことが可能になりました。量子情報の時代に、小宇宙、そして宇宙そのものの持つ階層性にいかに挑むのか、スピンと呼ばれる磁石の最小単位を例にその最前線を紹介したいと思います。

    ポスター(画像をクリックするとpdfファイルが開かれます。):

       

    過去の「極限宇宙」市民講演会へのリンク